神奈川県立図書館ショパンピアノ作品全集の今回は第7集を取り上げます。ポロネーズの第2部となります。
ショパンの代表ジャンルとも言うべきポロネーズは全部で16曲。そのうちこの第7集では第8番から第16番までが収録されています。
そして、この第7集に収められている作品ほど、ショパンらしい哀愁を感じる作品はありません。祖国への想いと、ジョルジュ・サンドとの関係など、いろんなものが見え隠れしますね。
音楽としては確かにロマン派の香りがしますが、その底流には次の国民楽派へとつながるものだったり、逸れ以前の作曲家から受け継いだ構造であったりとかが、ここで入り混じります。
この第7集では決して有名な曲ばかりではないのに、ここでようやくショパンがなぜ「ピアノの詩人」と言われるのかが明らかになります。全集の編集方針がここではっきりと見えてきます。
ショパンはなぜ、ピアノの詩人なのか。その一方、ショパンはそれだけで語ってしまっていいのか・・・・・
正直言いまして、他の音源を借りてくることだってできました。ほかの方からしますと、他にもっと聴くべき素晴らしいピアニストの音源もあるのに、どうしてアシュケナージなのだとお思いの向きもあるかと思います。私も借りる時にはその点を悩みに悩んだ末、この音源を借りてきています。
そして、今はこの全集を借りてきて本当によかったと思っています。この全集であれば、ショパンのピアノ曲というものをきちんと俯瞰することが出来ます。その上で、気に入った曲だけCDを買うとか、また図書館で借りてくるとかすればいいのです。
この第7集ではずいぶんとアシュケナージはアコーギクの強い演奏をしています。第6集の軍隊ポロネーズや英雄ポロネーズとは大違いです。アシュケナージが聴いてほしいのはこちらなのだろうなと私は思っています。そしてアシュケナージとしては、「これこそショパンなのだ」という意思表示なのだと思っています。
それに同感するかどうかは人それぞれです。しかし、私は完全ではないですが、このアシュケナージの意思表明に一票を入れます。正直言いまして、第6集よりも私はこの第7集に入っている曲のほうが断然好みです。もちろん、「軍隊」も「英雄」も好きなのですが、それでもこの第7集に収められている曲は、私の心を素直にとらえて離しません。
特に、この第7集の中で唯一作品番号がついている、第8番から第10番までの作品71は、音楽の流れ、転調、色彩においてダントツです。こんな素晴らしい曲が題名なしにあったのだなと、それに出会えたことに喜びを感じます。
この第7集に収められている曲決してヴィルトォーソな曲ではありませんが、それだけに淡々と心の中で鳴り響き、印象に残り続けます。こういった曲に出会えることこそ、音楽があることの喜びであると思います。
皆さんにもそのような曲があらんことを!
聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
ポロネーズ
第8番 ニ短調作品71-1(1825?)
第9番 変ロ長調作品71-2(1828)
第10番 ヘ短調作品71-3(1828)
第11番 ト短調作品番号なし(1817)
第12番 変ロ長調作品番号なし(1817)
第13番 変イ長調 遺作(1821)
第14番 嬰ト短調 遺作(1822)
第15番 変ロ長調作品番号なし「別れ」(1826)
第16番 変ト長調 遺作(1829)
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
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