かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショパン ピアノ作品全集5

神奈川県立図書館所蔵CDショパンピアノ作品全集の今回は第5集を取り上げます。「練習曲」の登場です。

練習曲と言いましても、そんな簡単なものなどではないのですが・・・・・

練習曲 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%B4%E7%BF%92%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)

全部で27曲あり、そのうち12曲ずつが「12の練習曲」の作品10と作品25であり、残り3曲が「3つの新しい練習曲」と呼ばれています。

ウィキの説明にありますように、それぞれの曲には目的が存在します。特に有名なのは作品10-3「別れの曲」と作品10-12「革命」でしょう。私たちは単にその曲をショパンの詩的な曲の美しさに目を奪われてしまいますが、実際には「別れの曲」には「旋律とポリフォニーの練習」、「革命」には「右手オクターヴ(さらに幾つかの音を追加した和音)の練習」という目的がそれぞれにあるのです。

しかし、特に革命などを聴きますと、これが練習曲なのかと驚きを禁じ得ません。私は「歌うたい」なので、この練習曲が弾けるだけでもその方を尊敬してしまいます。

私はこの練習曲には、もう一つ重要な「役割」があるのではという気がしてならないのです。それは、所々でなされる平行調への移行です。そこには、バッハの影が見え隠れします。

平均律クラヴィーア曲集
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%A2%E6%9B%B2%E9%9B%86

バッハはこの曲集で徹頭徹尾、「同主調」を使って並べています。同主調とは、長調短調に言い換えた調のことで、ハ長調であればハ短調のことを同主調と言います。こういったことをショパンはさりげなくですが、この練習曲の一部で平行調を採用することでやっているのです。平行調とは、♯や♭などの記号がついていてそれが長調だった場合、まったく同じ記号と数の短調のことを言います。

例えば、作品10であれば最初ハ長調ですが第2曲目はイ短調の曲が来ています。これは二つの曲が平行調なのですね。こういった点もこの練習曲では見逃せない点です。特にそれは作品25で顕著になります。

関係調
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E4%BF%82%E8%AA%BF

それと見逃せないのが、作品10を例にとりますが、最初ハ長調から始まるのですが、その次にシャープが3つつく「イ長調」を使い、その次にシャープが4つの「ホ長調」(別れの曲がそれです。別れという割には長調なのですね)となります。どんどん臨時記号の数が増えていって、いったんハ長調へ戻るということもやっています。これはさすがに私たち通常のリスナーではついてゆけません。しかし、ピアニストはそういった点を当然考慮して、全体では弾いていますよということを、アシュケナージはここで教えてくれています。しかも、まったくもって簡単に弾きこなして。

つまり、この練習曲はその言葉だけで簡単にとらえてはいけない曲なのです。特に作品10-12「革命」以外は私たちからすれば一見簡単そうな曲ばかりが並んでいるがため、錯覚を起こしてしまいます。しかし、ショパンはピアノの演奏技術の向上のため、いろんなことを考えて作曲しているのですね。

そういったことを頭に入れるだけでも、この曲集が語るものはがらりと変わるでしょう。単なる「詩集」ではないのです。練習曲だけに「論理重視」の、がっちりとしたものなのです。



聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
12の練習曲 作品10(1829〜1832)
第1番 ハ長調
第2番 イ短調
第3番 ホ長調「別れの曲」
第4番 嬰ハ短調
第5番 変ト長調「黒鍵」
第6番 変ホ短調
第7番 ハ長調
第8番 ヘ長調
第9番 ヘ短調
第10番 変イ長調
第11番 変ホ長調
第12番 ハ短調「革命」

12の練習曲 作品25(1832〜36)
第1番 変イ長調「牧童」
第2番 ヘ短調
第3番 ヘ長調
第4番 イ短調
第5番 ホ短調
第6番 嬰ト短調
第7番 嬰ハ短調
第8番 変ニ長調
第9番 変ト長調「蝶々」
第10番 ロ短調
第11番 イ短調「木枯らし」
第12番 ハ短調

3つの新練習曲 遺作(1839)
第1番 ヘ短調
第2番 変イ長調
第3番 変ニ長調
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)



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