かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:木下牧子 邪宗門秘曲

今月のお買いもの、平成28年9月に購入したものを御紹介します。今回は、ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、木下牧子の作品集をご紹介します。

木下牧子の作品を収めたCDは、6大学コンサート以来ずっと探し求めていました。勿論、木下牧子のCDはかなり出ていますが、私が欲しい作品が収録されていなかったのです。それは、「鴎」。

6大学コンサートで、大学生が歌うあの風景は、昨日のように覚えており、今でも感動で体が打ち震えるくらいです。その時以来、鴎は是非ともCDでほしいと思ったのでした。

ですので、このCDはタイトルは「邪宗門秘曲」ですし、それを中心にした合唱組曲が収録されているのですが、私が購入した理由は、鴎が入っていたから、なのです。

元々、鴎をきっかけにして、木下女史の作品を聴いてみたいという希望もあったのです。鴎のような小さな作品であれば当然ですが、他の作品とカップリングになるでしょうから。

ですから、最初から鴎だけが聴きたかったのではなく、鴎以外の作品がどんなものなのかが知りたくて、できれば鴎が入ったものが欲しいと思っていましたので、例えば、銀座山野楽器に行ったとしても、なかなか購入には踏み切らなかったのでした。

それが何と、中古市場であったとは・・・・・即決でした。

このCDは、木下牧子の、オーケストラと混声合唱のための作品が主です。「島崎藤村の詩による二つの女声合唱曲」以外は全て混声合唱作品で、半分がアカペラ、半分がオケ伴奏の作品です。とはいっても、元々はアカペラの作品、例えば、第1曲目の「虚無の未来へ」はもともとアカペラの作品をオケ伴奏に編曲したそうです。それは鴎もそうであると、ブックレットで作曲者である木下女史が語ってくれています。

収録は2001年。紀尾井ホールでのライヴ録音とのことで、良い残響が、作品を引き立てています。

一応、木下牧子のご紹介をしておきましょう。アマチュア合唱団員の間で有名な人ですが、合唱作品に限らず、様々なジャンルを作曲している人です。

http://www.m-kinoshita.com/

木下牧子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E4%B8%8B%E7%89%A7%E5%AD%90

そのせいなのか、例えば鴎のオケの使用はかなり面白く、まず第1節を合唱団が歌い終わり、次の歌詞に続くところで静かにオケが入ってきます。オケ版なのかそれともオリジナルのアカペラなの?と思わず聞き入ってしまうほどです。もともとはエリカf合唱団の委嘱による作品なので、旋律はわかりやすいのですが、意外と構造は込み入っている作品ですから、使用方法によっては元の作品のシンプルさが台無しになる可能性があった中で、さすが作曲者自身の編曲だなあと思わずうなります。

その他の作品は意外と、鴎で慣れている人にとっては不協和音が多用されている作品が多く、むしろアマチュア合唱団でも社会人向けだなあと思う作品が並びます。こういった作品を聴きますと、例えばピアノ作品も作曲しているという事で、ソナタや協奏曲も聴きたくなります。

例えば「島崎藤村の詩による二つの女声合唱曲」は、9部まで分かれるもので、アンサンブルを作る時にしっかりと周りの音を聴かないと成立しない作品となっており、彼女が優れた作曲家であることを如実に語るものとなっています。勿論それは、混声でも変わりありません。

いやあ、6大学コンサートへ言ってよかったと思うのがこういう瞬間です。鴎が目当てで買いましたが、木下牧子の他の作品が聴けて、様々な旋律の使い方を堪能できるのは本当に幸せです。しっかりと彼女も20世紀音楽の影響下にある作曲家だと言えるでしょう。

演奏は、大坂ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団。オケとともに「大阪コレギウム・ムジクム」を構成する合唱団で、日本の作品のみならず、西洋宗教音楽も得意とする合唱団です。アマチュア合唱団ですが毎回オーディションで団員が選ばれるだけあって、そのアンサンブルは安定していて、演奏を聴いていても自然で、アマチュアだからでしょうが、歌う喜びに溢れて居るのが素晴らしい!

特に、タイトル曲となっている「邪宗門秘曲」や、最終曲「鴎」は団員の想いが演奏に乗っていて、それでいて美しくもあるという、理想的な演奏が現出されています。できれば鴎はもう少しだけ喜びを爆発してもよかったかなあと思います。例えば、鴎は「つひに自由は彼らのものだ」が12回出てきますが、それは詩人三善達治と、作曲者木下牧子が想いを込めた部分だと思うんですね。それがとても丁寧なのはいいんですが、いつも組んでいて気心知れているはずのオケに、若干負け気味なのが気になりました。でも、クレッシェンドして行った先の感情の爆発はやはり素晴らしく、ジーンと来てしまいます。それでも注文を付けるとすれば、その「つひに」をもっとアインザッツを強めでもよかったのではと思うんです。

そうであれば完璧だったなあと思います。それは第九歌いの私の贅沢かもしれませんが・・・・・

軽い発声が逆にダイナミクスとなっており、力強くもあり、それぞれの歌詞に込められた想いが、団員を通じてこちらに伝わってくるようで、何度きいても飽きません。これぞ、トップレベルの演奏だと言えましょう。

オケ好きな人は是非とも、このCDを聴いて、日本の合唱作品の魅力に触れていただきたいなと思います。




聴いているCD
木下牧子作曲
虚無の未来へ
邪宗門秘曲
ELEGIA
島崎藤村の詩による二つの女声合唱曲
仏の見たる幻想の世界

当間修一指揮
シンフォニア・コレギウム大阪
大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団

(fontec FOCD3483)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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