かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リスト ピアノ作品全集28

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、リストのピアノ作品全集を取り上げていますが、今回はその第28集を取り上げます。元の音源はナクソスです。

第28集には、リストが作曲した交響詩の内、4つが収録されています。つまり、リスト自身の手による、交響詩の編曲なのです。しかも、2台ピアノ用。

前回の第九同様、2台ですと、弦楽四重奏と同じ効果があるので、1台よりもさらにシンフォニックな音色になっています。特に、最初の曲「前奏曲」は、ドラマティックで、最初の音がピアノの打楽器的効果を十分に生かした、まるで心臓がどくどくとなるような音になっているのは素晴らしいです。

第3曲のマゼッパもそういった作品の一つです。元々マゼッパは超絶技巧練習曲に収録されていたもので、最初はピアノ独奏曲であったものが、交響詩となり、さらにピアノ2台に編曲されたというわけです。

こういった経緯を見ますと、リストはピアノ1台で表現することにはこだわっていないことが分かります。だからと言ってピアノ1台で表現することをあきらめたのではなく、年齢と共に表現の仕方を変えていったと言えるでしょう。それはリストが年齢を経て衰えていくことと無関係ではなかったはずです。

自分が今できる範囲で、できる範囲の事をして、今までにない表現を追求していく。これがリストの姿勢だったとすれば、作風の変遷は実に自然です。勿論、それは私の推測であって、一つの私見です。でも、ここまで聴いてきた範囲では、私はそう思います。

マゼッパなどは、むしろ2台ピアノのほうがドラマティックで、ぐいぐいと引き込まれていきます。これぞリスト!という気がします。演奏を聴いて女性が失神したというのも、判るような気がします。かっこいいですからね〜

演奏は金沢多美とユヴァル・アドモニーの2人。息の合った演奏は、ただでさえシンフォニックな作品が、よりシンフォニックに聴こえるのが素晴らしいです。オケはいらないんじゃないかと思うくらいです。いや、実際はどうしても音を省略しないといけないので、重厚さはオケに負ける部分はありますが、荘厳さは引けを取らないこの作品を、気高く荘厳に弾いているのはかっこいいです。

1台で表現することを手放し、2台にしたリストの想いというものが、二人の演奏からはしっかりと伝わってきます。なぜこの作品は2台のピアノのためのものなのかをしっかりとスコアリーディングしているのがひしひしと伝わってくるんですよね。思わず聴いていて、前回の第九同様熱くなります。

自分の作品を一人でも多くの人に知ってほしい、味わってほしい・・・・・そのために2台のための作品に編曲したはずです。その想いが、演奏にはしっかりと受け継がれている・・・・・そんな気がします。

さて、リストの全集はここまでになります。当然、まだご紹介していない作品もあります。借りました時、その後どうしようかとさんざん悩んだのですが、これ以上は図書館にない以上、ここで打ち止めにしようと、リストの全集はひとまず終わりにしたのです。それ以外は、他のレーベルで借りるなり、CDで買うなりしましょう、と。久しぶりに聴きまして、さらにその思いを強くしています。まだ「巡礼の年」だって全部ないですしね。

こう見てきますと、リストのピアノ作品だけで、ハイドン交響曲にも匹敵するヴォリュームがあるんだなあと感じます。いや、それ以上?

リストに向き合うきっかけを与えて下さったのは、プロピアニストの瀬川玄氏です。音楽道場で聴いた「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」に出会わなかったら、図書館で借り、ここまで深く掘り下げ、理解を深め、共感し、人生の糧にすることはかなわなかったでしょう。この場を借りて御礼申し上げます。




聴いている音源
フランツ・リスト作曲
交響詩前奏曲」S637/R359
交響詩オルフェウス」S638/R360
交響詩「マゼッパ」S640/R362
交響詩「理想」S646/R368
金沢多美(ピアノ)
ユヴァル・アドモニー(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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