かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:オペラ合唱曲集

今回のマイ・コレは、シノ―ポリが指揮したオペラ合唱曲集です。オケと合唱はベルリン・ドイツ・オペラです。

この組み合わせであればまあ、演奏面では不満はほとんどないといっていいでしょう。最初の「魔笛」で若干アンサンブルが崩れ気味なのが・・・・・って感じでしょうか。ナブッコはフレーズが長く息継ぎが大変な曲なんですが(これは歌った経験からはっきりと言えます!その時のオケは神奈川フィルでした)、それをいとも簡単にやってのけてしまうのはさすがプロです。

それにしても、今度はいきなりオペラですか!とおもう方も少なくないのではないでしょうか。ここまで私はオペラを取り上げたのはわずか一つしかないのですから。しかも、抜粋です。

マイ・コレクション:カラヤンが振る「ラ・ボエーム
http://yaplog.jp/yk6974/archive/479

しかし、その「ボエーム」があったからこそ、このCDをチョイスしたという経緯があります。たいてい、オケ付きの合唱のCDとなれば、オペラになるのです。そして国内盤でもいくつかの種類が出ています。それはそのうちの一つにすぎません。

マチュア合唱団の中では、幾つか「派閥」があります。大まかに分ければそれは3つで、宗教曲を歌いたい人たち、日本の合唱曲を歌いたい人たち、そしてオペラ合唱曲を歌いたい人たちです。わたしが入っていた合唱団もご多分に漏れず大抵この3つに分かれるのでして・・・・・

実は、私自身オペラ合唱曲が宗教曲と同じくらい大好きです。取り上げていないVHSにはヴェルディワーグナーのオペラでいっぱいです。ですから、このCDを買うことにさほど迷いはありませんでした。

とは言え、実は私はオペラの場合、DVDで買うことが前提で、CDは買わないのが基本です。なぜなら、オペラは「舞台芸術」であるからで、単なる音楽ではないからです。なぜ衣装が付けられているのか、舞台装置があるのか・・・・・小劇団をやられている方なら、それは頭だけではなく体で理解できることでしょう。

だからこそ、合唱だけを抜き出したこれだけはCDで買ったという訳です。しかし、購入した理由はそれだけではありません。合唱団でオペラ合唱曲を歌うことになったこともその理由です。その曲とは、ワーグナーの「タンホイザー」より、大行進曲「歌の殿堂をたたえよう」です。

この曲はタンホイザーの中でも重要な事件である、ヴァルトブルクの歌合戦(それ故、実は「熱闘甲子園」のテーマ音楽に採用されたことがあります)の前に歌われる合唱曲です。

タンホイザー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC

歴代テーマソング
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E9%97%98%E7%94%B2%E5%AD%90%E5%9C%92#.E6.AD.B4.E4.BB.A3.E3.83.86.E3.83.BC.E3.83.9E.E3.82.BD.E3.83.B3.E3.82.B0

そんな理由から購入したこのCDは、ある特色を持っています。それは、オペラの歴史を辿る形になっていることです。第1曲目がモーツァルトの「魔笛」、次がベートーヴェンの「フィデリオ」、3曲目と4曲目がウェーバーの「魔弾の射手」(ちなみに、3曲目は有名な狩人の合唱)、5曲目が上記に挙げたワーグナー、そして6曲目以降11曲目まではヴェルディがならび、その最後の第10曲目と第11曲目は「アイーダ」の凱旋と勝利の合唱が並びます。そう、サッカー日本代表を応援する、あの曲です。

アイーダ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%80

その上で、最初と最後がともにエジプトを扱ったオペラ(正確には魔笛は「ジングシュピール」ですが)になっていることも注目でしょう。そして、魔笛アイーダにはウィキには違いがあるとありますが実は共通していることがあります。それは共に、民族主義が背景にあるということです。魔笛は初めてドイツ語を使うという点で、そしてアイーダは実際に危機を演出してみせることで国家の団結を訴えるという点で、です。

この二つには時間の経過で違いが出てはいますが、実は民族主義という点で実に似通った背景を持つ作品なのです。しかし、内容は全く異なります。ここに、現代を生きる私たちにとって有益な情報が隠されているように思います。それを、合唱曲を聴くことで知ってほしい、そしてオペラを見るきっかけにしてほしいという編集者の意図が見え隠れします。

これを演奏面だけで語ってしまうCD評というのは、果たしていいのかどうか・・・・・今の日本の状況を見ますと、私は判断に迷いますが、取りあえず自分のスタンスで語りまして、今回は筆をおきたいと思います。語り出すと長くなりそうです・・・・・本当はこれも1曲づつ語りたいくらいの内容です。



聴いているCD
オペラ合唱曲集
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
歌劇「魔笛」から「イシスとオシリスの神に感謝を」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
歌劇「フィデリオ」から囚人の合唱「おお、なんという自由のうれしさ」
カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲
歌劇「魔弾の射手」より狩人の合唱「狩人の喜びは」、村人たちの合唱「勝利だ!勝利だ!」
リヒャルト・ワーグナー作曲
歌劇「タンホイザー」より大行進曲「歌の殿堂をたたえよう」
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
歌劇「ナブッコ」よりヘブライの捕虜たちの合唱「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」
歌劇「十字軍のロンバルディア人」より十字軍兵士と巡礼の合唱「おお主よ、ふるさとの家々を」
歌劇「マクベス」よりスコットランド亡命者の合唱「しいたげられた祖国」
歌劇「トロヴァトーレ」よりアンヴィル・コーラス「朝の光がさしてきた」
歌劇「アイーダ」より凱旋の合唱「エジプトとイシスの神に栄光あれ」、勝利の合唱「戦いに勝った将軍よ、前に出よ」
ジュゼッペ・シノ―ポリ指揮
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、合唱団
(ドイツ・グラモフォン POCG7150)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。