かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ オルガン作品全集1

神奈川県立図書館所蔵CD、今回からシリーズでバッハのオルガン作品全集を取り上げます。

バッハといえばオルガン作品と言ってもいいくらい、オルガン作品は充実していますが、これもまた、圧迫的だとか誤解されているジャンルだと私は思っています。

そのなんかモヤモヤしたものを払拭すべく、「亀さん、乗ってみよう」(十津川警部)と言うことで、実際はどうなんだろうと以前からオルガン作品は全て聴きたいと思ってきました。

そもそも、バッハといえばクラシックの歴史の中で最も評価され続けてきたのは鍵盤作品です。その中でも大きな柱が、チェンバロとオルガンであるといっていいでしょう。

そのため、借りてきたのがこの全集なのです。実はこの全集をきっかけにさらにもう一種類全集を借りていますが、それはまた別の機会に話すとして、今回から13回に渡りまして、アンドレ・イゾワールの演奏のものを取り上げていきたいと思います。

まずは第1集。初期の作品たちが並んでいますが、その初期の作品から目立つのがコラールを使った作品です。その意味ではバッハのオルガン作品はキリスト教と密接に絡んでいます。けれども、私達日本人は基本キリスト教徒ではないために、バッハのオルガン作品を聴く機会は少ないと言えます。え、だって、トッカータとフーガとかよく演奏されるし聴かれるでしょって言うかもしれません。しかしその曲は、バッハの多数あるオルガン作品の中のたった1曲に過ぎません。それですべてを判断するんですか?

以前、私が鈴木雅明の演奏を取り上げたときに触れているかと思いますが、鈴木雅明氏の演奏で面食らったのは、いわゆる圧迫感と言うか、壮大な演奏ではなく、美しさと謙虚さに満ちた演奏でした。そしてそれは、私達がリヒターの演奏にあまりにも慣れすぎてしまった結果でもあります。

このイゾワールのは、そんな圧迫感のある演奏からは程遠く、とにかく美しさと内面性とのバランスを追求した、繊細な演奏になっています。それはそもそもが、バッハのこれらの作品が宗教作品という、人と神との関係性にフォーカスしている作品だからだと言えるでしょう。その姿勢に、私はキリスト教徒ではないものの拍手を送ります。なぜなら、この演奏にはすべての宗教というか、「自分を超えた大きな存在」を信じる人達が共感できる普遍性を持っているからです。それはバッハの作品が持つ特質だとも言えるでしょう。その特質への理解と共感に演奏が満ちているからこそ、拍手喝采なのです。

バッハのオルガン作品を演奏するとき、実は重要なのが当然といえば当然なのですが、どのオルガンで弾くか、です。この演奏ではフランスはペリゴールの聖シブリアン修道院にあるグレンツィング・オルガンを採用しています。スペインはグレンツィング社製のオルガンのことを指しますが、じつに繊細で見事な音になっています。バッハのオルガン作品に壮麗壮大な部分があり、それが人によっては圧迫感を感じることはあるかと思います。ただそれは人の受け取り方であり、バッハ自身は神という「自分を超えた大きな存在」に対する讃美として作品を紡いでいます。その点を踏まえた増えで、バッハ自身も一人の人間であり、そして演奏者も同じ人間なのだという点を踏まえた演奏は、私の魂にストレートに響いてきます。

とはいえ、私は決してキリスト教徒ではありません。むしろとても日本的な神仏習合の思想を持った人間です。けれども、魂は揺さぶられるのです。これが作品が持つ普遍性なのです。こんな初期の作品においてすでに普遍性を内包しているのです。その魅力を余すことなく引き出している演奏者に、どうして共感しないことがありましょうや!

バッハのオルガン作品を一通り聴いてみるということは、バッハの作品の全体像に迫ることになると同時に、「真の姿」へと至る道程でもあると、私は思っています。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
�@プレリュードとフーガ ハ長調BWV531
�Aコラール「ああ主よ、哀れなる罪人われを」BWV742
�Bコラール「いと高きところには神にのみ栄光あれ」BWV715
�Cコラール「心より慕いまつるイエスよ、汝いかなる罪を犯し」BWV1093
�Dコラール「神を讃えまつれ、汝キリストの徒よ、こぞりて」BWV732
�Eコラール「おお、イエスよ、いかに汝の姿は」BWV1094
�Fファンタジーとフーガ イ短調BWV561
�Gコラール「天にましますわれらの父よ」BWV737
�Hコラール「天にましますわれらの父よ」BWV762
�Iコラール「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」BWV726
�Jコラール「キリストは死の縄目につながれたり」BWV718
�Kコラール「讃美をうけたまえ、汝イエス・キリストよ」BWV722
�Lコラール「わがいとしの神に」BWV744b
�Mプレリュード ト長調BWV568
�Nフーガ ト長調BWV576
�Oコラール「光にして日なるキリスト」BWV1096(註:ノイマイスターコラール集、偽作、J.パッヘルベル作。「バッハ事典」P.335)
�Pコラール「おお主なる神よ、汝の聖なる御言葉は」BWV1110
�Qコラール「輝く曙の明星のいと美わしきかな」BWV739
�Rペダル練習曲BWV598
�Sプレリュード イ短調BWV569
㉑コラール「神の子は来たりたまえり」BWV724
㉒フーガ ハ長調Anh.90
アンドレ・イゾワール(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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