かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:オーケストラ・ナデージダ 第18回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年2月18日に聴きに行きました、オーケストラ・ナデージダの第18回演奏会を取り上げます。

ナデージダさんはもう何回か聴きに行っていますので、実力のほどもよく知っており、今回も安心して聴いていられるのが素晴らしいです。アマオケでそんな時代がくるなんて、本当に夢のようです。

当日のプログラムは、以下の通りです。

�@グラズノフ バレエ組曲「ライモンダ」より第1幕 第2場への導入
�Aメトネル ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品50
�Bシンディング 交響曲第1番ニ短調作品21

このうち、私がCDなど音源を持っているのはグラズノフのみ。その他は始めてでした。特にシンディングは初めて聴く作曲家だったので、特にワクワクして会場に行きました。前回は船堀でしたが、今回は荻窪杉並公会堂

杉並公会堂はアマチュアオケが演奏するにはちょうどいい「箱」だと思います。特に多摩地域にはアマチュアオケ向きなホールが多くあると思います。是非ともアマオケの皆さんは都心だけではなく、都下のホールも演奏会場として考慮に入れてほしいです。

さて、まずはグラズノフ。それほど派手ではないんですが、優雅かつ壮大な音楽を、存分にオケが鳴ることで表現しているのは本当にナデージダさんならではだなあと思います。ただダスビに比べるともうすこしだけアマチュアらしい痩せた音が鳴るのが玉にきずなんですが、それでも全体的なアンサンブルは素晴らしく、下手なプロを聴くくらいならナデージダさんを聴きに行くほうが私は「お得」だと思います。

でも、なぜにバレエ音楽?序曲を普通は持ってこないの?とおっしゃる読者の方もいらっしゃるかと思います。でもグラズノフのこの曲は、序曲なんです。第2場への導入ですから、「前奏曲」というようにも言えるかと思います。ですから、コンサートの1プロとしてふさわしいと言うわけです。こういう点は、正にロシアと北欧の秘曲を採り上げるという、ナデージダさんらしいと思います。

次のメトネルですが、作品だけは実はこのブログでもご紹介済みなんです。それも、今回と同じピアノ協奏曲。

今月のお買いもの:メトネル ピアノ協奏曲第1番・第3番
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1322

上記エントリで、私は奇しくも、以下のように述べています。

「出来れば、第2番や、多くのこされたピアノ・ソナタも聴きたいものです。」

それから3年。なかなかメトネルの作品とはいかない中で、今回第2番を聴く機会が与えられたのは、本当にしあわせです。第1楽章、ピアノがまず先行しすぐオケが出るというのは、ベートーヴェンの「皇帝」を彷彿とさせます。第1番よりさらにダイナミックに、そして第3版よりはずっと調性的なこの作品は、力強さと美しさの両面が表現として必要な作品で、それだけ神経を使うと思います。ピアニストも思い切った素晴らしい演奏でしたし、ナデージダさんも実に素晴らしいアンサンブルをきかせていただき、豊潤な音を楽しませていただいたのですが、次のシンディングを聴いた時、多分協奏曲は相当神経使ったんだなと感じました。ダイナミクスが少しだけかけてるんですよね。勿論それは作品の性格もあるでしょうし、だからダメとかは言えないと思います。それはまた私が再びCDあるいはハイレゾなどで聴く機会があったら再度評価したいなと思います。

ピアノ協奏曲第2番 (メトネル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%8D%E3%83%AB)

そして、シンディング。もしかすると同時鑑賞会あたりで聴いたことがあるのかもしれませんが、私が記憶している限りでは、初めて聴く作曲家、そして作品でしたが、壮大で美しい作品だと思います。元々ヴァイオリニストを志したのですが、ライプツィヒ音楽院で学んでいた時作曲の才能に気が付いて作曲を初め、ドイツ的な重厚さを持ちつつも、祖国の民謡などを巧みに使うのが特色です。

そもそも、シンディングが活動した時代は後期ロマン派から20世紀にかけて、です。グリーグ亡きあとのノルウェーを代表する作曲家ですが、あまりわが国では知られていない作曲家だと思います。今回のナデージダさんの演奏はこのシンディングがもっともすぐれていたと思います。多分、アマチュアらしい痩せた音もそれほど聴こえてはこなかったと思います。本当にたまーにヴィオラで、って感じでしょうか。いやあ、そのレヴェルならもう最大限の賛美で良いと思います(といいつつ、実はこの日はダブルヘッダーでして、その夜の部のオケがかるーく超えて行ったのですけど)。

作品としては、後期ロマン派に属すると思います。発表当時、グリーグベートーヴェンの第九を引き合いに出して激賞したと言われるだけあって、ドラマティック。それを本当にナデージダさんは喜びをもって、ホールに音が満てるほどのびのびと演奏するんですね。ですから、メトネルでは少し遠慮したのかなあって思ったのです。その点は先日のセラフィックさんと同じことが言えるのかもしれません。ピアニストはあまり変えないほうがよいかもしれません。できれば前に共演したことのあるピアニストとしばらくは共演するほうが、ナデージダさんの良さが出るように思います。まあ。指揮者としては自力の底上げという意味があるのでしょうね。

全体としてはもう申し分ない演奏だと思います。他のアマオケに比べればはるかに少ないやせた音。今回もヴィオラで一部聴こえただけです。ダスビと被る人も多いのせいなのでしょうけど、本当にアマチュアとは思えないアンサンブルは何時聴いてもうっとりです。安心して聴いていられるんですよね。ホールの選択もいいと思います。船堀のタワーホール船堀にしても、今回の杉並公会堂にしても、うまいオケなのに、もっと大きなホールでも行けるだけの実力をすでに持ち合わせているにせよ、自分たちが思い切り表現するにはちょうどいいホールを選択しているんです。これは他のオケもとても参考になることだと思います。ホールも「楽器」ですからねー。指揮者と団員のセンスがいいんだと思います。ダスビと異なり、年2回の演奏会ですから、私は杉並公会堂くらいのホールがちょうどいいと思います。

次回はまたタワーホール船堀。本当に素晴らしい選択だと思います。その上、また土曜日だと言うじゃありませんか!ほぼ間違いなく、次回も聴きに行きたいと思います。




聴いてきたコンサート
オーケストラ・ナデージダ 第18回演奏会
アレクサンドル・コンスタンティノヴィチ・グラズノフ作曲
バレエ組曲「ライモンダ」より第1幕 第2場への導入
ニコライ・カルロヴィチ・メトネル作曲
メトネル ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品50
クリスティアン・アウグスト・シンディング作曲
交響曲第1番ニ短調作品21
小田裕之(ピアノ)
渡辺 新指揮
オーケストラ・ナデージダ

平成30年2月18日、東京杉並 杉並公会堂大ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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