かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ラルフ・オットーが振る「ハイレゾ」のヨハネ

今月のお買いもの、令和2(2020)年3月に購入したものをご紹介しています。ラルフ・オットーが振ったバッハのヨハネ受難曲です。e-onkyoネットストアでの購入です。

つまりは、ハイレゾ、です。96kHz/24bit。ヨハネの編成なら、この程度でも十分臨場感あふれる演奏を聴かせてくれます。

それよりも、その演奏の完成度の高さ、です。マタイでどこかそっけない部分も感じられたオットーの指揮ですが、そのマタイとほとんどタレントとオケが一緒なのに、すごくドラマティック!

ある意味、オットーの解釈はこれで推測できるのかなと思います。つまり、ヨハネとマタイの性格付けを愚直に、そして極端にやってのけた、というものです。

以前、私はヨハネとマタイを、それぞれ「決然と死にゆく(かっこいい)イエスを描く」と「悩みつつ人類の原罪を償うためにやむを得ず死にゆくイエスを描く」という二つです。私はその中でもドラマティックな部分がそれぞれあると思っているのですが、オットーはその差をつけるために、ヨハネではドラマティックさを際立たせ、マタイでは静かに死を描くことに傾注した、と考えられるわけです。

わたしはキリスト者ではないですから、それが正しいのかどうかを判断する立場にはありません。しかしながら、その解釈への好みを述べることは可能です。そしてその回答としては、「ヨハネはいいが、マタイはちょっと」です。1725年版をつけているのは面白いですけどね(ヨハネ第1部の最終部分でマタイの同じく第1部最終部分を使っているのとかが聴けるのは楽しいですが)。詳しくは以下のサイトを。

https://ml.naxos.jp/album/8.573817-18

このヨハネは、すでに持っているBCJの演奏と比肩します。音質はこのオットーが断然いいです。しかしながら細部はBCJが素晴らしい!いかにBCJが世界レベルなのかを、こういった演奏が示してくれるんですね。特にどちらも第2部の会衆の気の狂いようが見事!

自分たちが生き残りたいがゆえに、イエスを差し出すユダヤ人たち。それを決然と受け入れて死を選び望むイエス・・・・・歴史では常に現出してきたことです。フランス革命ロシア革命、そして東京裁判、あるいは「悪夢の民主党政権」と言われて与党を勝たす現在・・・・・いくらでも例示できます。それぞれイエスに相当するのが、マリーアントワネット、ロマノフ王朝の人々、A級戦犯、そして旧民主党執行部。

国家が右に振れようが左に振れようが、人間の本質は一緒です。バッハの二つの受難曲は、そういった人間の「恥部」をイエスという視点で描く素晴らしい人間ドラマです。できうるならば、もう少しそういった「人間ドラマ」にフォーカスしてほしい指揮者だなと、オットーのタクトを聴いて思います。ただそれは、私がキリスト者ではなく、仏教徒だからかもしれませんけれどね。

 


聴いているハイレゾ
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヨハネ受難曲BWV244
オルグ・ポピュルツ
マティアス・ヴィンクラー
ユリア・クライター
ジャスミン・マリア・ヘルナー
ゲルヒルト・ロンベルガー
ダニエル・サンズ
クリスティアン・ラトゲバー
クリスティアンワーグナー
ダニエル・オコア
マインツ・バッハ合唱団
ラルフ・オットー指揮
マインツ・バッハ管弦楽団
(Naxos 8.573817,18 96kHz/24bitハイレゾ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。