神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、アルビノーニのオーボエ協奏曲全集を取り上げていますが、今回はその第2集を取り上げます。
第2集は作品7が収録されていますが、作品9とさほど大きな差はありません。作品7-5の第2楽章と第3楽章がつながっているほかは、きれいな3楽章形式を取っています。
このことからも、このアルビノーニの作品7と作品9は、独奏楽器による協奏曲の、新しい地平を切り開こうという意欲作であると言えるでしょう。その上、新興楽器であるオーボエを採用するという点にも、アルビノーニの独創性を感じます。まさしく、アマチュアならではの作品です。
アルビノーニは宮廷音楽家を目指した形跡がない作曲家として知られています。その点では、古典派のベートーヴェンの先駆けだったと言えるでしょう。和声があまりにも当時の流行に合っているのでごまかされますが、アルビノーニは当時としては商人の家に生まれ、一応形だけでも実業家でしたから、アマチュアという立場は自立した音楽家であるということを意味したのです。その立場が生み出したのが、この作品7であり、前回取り上げています作品9なのです。
アルビノーニの音楽が様式的にも古典派を先取りする点があることからも、その音楽は後の作曲家たちを魅了したことでしょう。その中にベートーヴェンもいたとすれば、彼の生い立ちから自立の道を選択するのは、自然だったと言えるかもしれません。
演奏はさらにアグレッシヴかつ生命力がありつつも、気品を失わないものです。軽妙さも備え、聴いていて思わず体を揺らしてしまいます。インデアミューレのオーボエは、技術的にしっかりしているにも関わらず、決してひけらかすものではなく、それでもしっかり存在感があって、思わずうなります。爽快さの中にコントラストから生じる気品があり、このままずーと聴いていたい!と思わせます。
なかなかそういう演奏はないんですよねえ。バロックがバッハだけではないという時代になって、バロック演奏の技術はさらに向上して、聴衆サイドは実に楽しく聴けるようになりました。バッハの場合はかなり生い立ちからして特殊な部分があって、どうしても作品自体にバッハの苦しみだったり、影の部分が反映されたりするので、重々しい演奏もアリなんですが、そのバッハでさえ、舞曲を多く使っていることから、あまり重々しいのも似合わないんですが、いわんやアルビノーニをや、です。参加している演奏家たちはその点が合格点だと言えます。
軽く演奏しつつも、軽薄ではなくしっかりと気品を備えている演奏は早々できるものではありません。この演奏も決してテンポはそんなに速くないんです。それでもアグレッシヴさがあったり、生命力があるんです。八分音符の演奏の仕方など、かなり工夫が見られます。これぞプロだなあと思います。
聴いている音源
トマゾ・アルビノーニ作曲
オーボエ協奏曲作品7(全曲)
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)
ジャック・ディース(オーボエ、2本のオーボエのための協奏曲)
クラウディオ・プリツィ(指揮、オルガン)
リノ・ベルニッツィ(ファゴット)
フェデリコ・デル・ゾルド(チェンバロ、2本のオーボエのための協奏曲)
リンダ・ディ・カルロ(チェンバロ、オーボエ協奏曲)
イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ(コンサート・マスター:パオロ・フランチェスキーニ)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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