東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はトランペット協奏曲集を取り上げます。
トランペット協奏曲のアルバムは、じつはすでに以前横浜関内にあった輸入CD店、プレミアムジークで購入した廉価盤を持っていますが、これも違う演奏がと思って選んだものでした。
演奏するは、トランペットがギュトラー、指揮がレークナー、オケがベルリン室内管弦楽団で、じつは旧東独。私がもともと持っていたモーリス・アンドレのものがドイツ・グラモフォンなので、対抗して録音されたものだったのだと思います。
これもまたギュトラーのトランペットが随所で冴えている演奏で、素晴らしいです。また、取り上げている作曲家や作品も、また違った視点があって面白いです。
トレッリはアンドレも協奏曲を収録していますが、このアルバムはソナタを収録。しかし聴きますとどこを切っても協奏曲のような感じです。バロックの時代はそういうものだったのですから、さもありなんです。
2曲目はファッシュの協奏曲。バッハも参加したコレギウム・ムジクムにも参加した作曲家で、いわゆるバッハの息子たちとおなじ年代の、バロックと古典派の橋渡しをした重要な作曲家だと言えます。
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5
収録されている作品はどことなくバロックの様相であり、多感様式よりはもう少し古風な感じです。
3曲目がグロッシのソナタ。グロッシはボローニャ学派の作曲家で、じつは1曲目のトレッリとおなじなのです。
ボローニャ楽派
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A3%E6%A5%BD%E6%B4%BE
こういうところ、なかなかこのアルバムはにくいですね。バロックの作曲家で、協奏曲、ひいては器楽作品隆盛の礎を築いた一の一人だと言えます。ソナタなので4楽章ですが、ソロのトランペットとオケとの掛け合いはまさに協奏曲です。
4曲目は有名なアルビノーニ。音楽史上最高のアマチュアだと言えるアルビノーニですが、収録されているトランペットを含む管楽器のための作品は、実にバロックを代表すると言っていいだけのクオリティを持つ作品です。
最後がヘルテル。まるで楽譜の名前のような感じですが、それは別人。親子で作曲家になったひとですが、ここに収録されているトランペット協奏曲は、生まれた時代の割には先進的で、古典派の和声が聞こえます。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者でもあったので時代区分としてはバロックに含まれるにかかわらず、です。
その意味では、時代区分というのはあくまでも目安でしかないということを、如実に語る作曲家だとも言えるでしょう。
こう、イタリアバロックとドイツ・バロックが色とりどりにならべられつつ、演奏するギュトラーの爽快な演奏と、オケの軽めの演奏が相互に明るく青空のような演奏を実現させています。レークナーの端正な解釈も抜群!正直、トランペット自体はアンドレほどの色艶はありませんが、実に明るく、ちょっと凹むことがあったようなときでも、ああ、明日も頑張ろっと思わせてくれます。
感動することだけが音楽なのではなく、音楽とは、私達の魂に働きかけ、人生をより良いものにしてくれるものだとすれば、楽しいことや喜びを感じることもまた、大切な要素です。その意味では、この演奏は音楽が果たすべき役割を十分担っていると言えるでしょう。
聴いている音源
ジュゼッペ・トレッリ作曲
5声のソナタ第1番ニ長調(管弦楽とバッソ・コンティヌオのための)
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ作曲
トランペット協奏曲ニ長調(2つのオーボエと管弦楽、バッソ・コンティヌオのための)
アンドレア・グロッシ作曲
ソナタニ長調作品3-10
トマソ・アルビノーニ作曲
トランペット、3つのオーボエとバスーン、バッソ・コンティヌオのための協奏曲ハ長調
ヨハン・ヴィルヘルム・ヘルテル作曲
トランペット協奏曲第2番変ホ長調
ルートヴィヒ・ギュトラー(トランペット)
アルミン・タールハイム(オルガン、チェンバロ)
ハインツ・レーグナー指揮
ベルリン室内管弦楽団
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村