かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:アルビノーニ オーボエ協奏曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から2回にわたりまして、アルビノーニオーボエ協奏曲を採り上げます。

イタリアバロックといえば、コレッリの他にはアルビノーニが有名です。アルビノーニコレッリと異なり、実際に作曲したものが数多く残っている作曲家なのですが、そのアルビノーニが実はアマチュアから出発したのだと言えば、驚かれる方も少なくないかもしれません。

トマゾ・アルビノーニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%BE%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%8B

このウィキの説明は、その点ですこし不満ですよね〜。紙商人というか、カードを売っていたのですし。その点では、この音源のブックレットのほうが詳しいと思いますので、是非とも借りていただきたく思います!

アルビノーニは、アダージョで有名な人ですが、あらゆるジャンルを作曲しており、特に時代的にオペラは代表で、さらに器楽曲や管弦楽曲にも優れたものがたくさんあります。このオーボエ協奏曲も、そういった作品の一つです。

1715年に出版されたものですが、じつは、イタリアで初めてのオーボエ協奏曲、なんです。そもそもは北ヨーロッパ、フランスやドイツと言った、当時としては音楽後進国の楽器なんです。それが先進国イタリアへ入ってきたのですが、その最初の協奏曲を書いたのが、アルビノーニだったのです。

それは、やはりアルビノーニがアマチュアだった、ということが大いに関係していると思います。当時のイタリアの状況を考えてみると。宮廷音楽家が幅を利かせているため、後進国の楽器を使う協奏曲など考えられないでしょう。アルビノーニは裕福な商人に家で、栄達を考えずに作曲をした人です。しかも、彼も商人の血筋です。後進国の、珍しい楽器を使って、協奏曲が書けないかと、考えても不思議ではないでしょう。

それは、日本では須賀田磯太郎が、横浜の商人の家に生まれたことと、似ているように思います。ちょうど借りたのも須賀田磯太郎に出会ったころだったと思います。勿論、須賀田はプロとして音楽学校も行ったのですが、アルビノーニは全くアマチュアとして、音楽を勉強し、作曲し、その後プロへと転向したのでした。しかも、プロへと転向したのは、すでに名声が絶頂の頃で、かつ稼業のカード商が傾いてから、です。そこに、アルビノーニの才能と、当時のイタリアという社会のすそ野の広さを感じます。

そして、このオーボエ協奏曲の特徴は、基本的に急〜緩〜急の3楽章形式を取っている、ということです。その意味ではヴィヴァルディと双璧を成すと言ってもいいでしょうし、バロックにおいて先進性を持っていたとも言えます。偉大なるアマチュアアルビノーニの面目躍如と言っていいでしょう。

オーボエ協奏曲は作品7と作品9ですが、この全集では第1集では作品9を取り上げています。そのすべてが3楽章形式となっており、和声がバロック的である以外は、様式的には限りなく古典派に近いと言えるでしょう。古典派以降の協奏曲は、こういったヴィヴァルディやアルビノーニと言った作曲家の影響を受け、大バッハとその息子達を経由して、モーツァルトベートーヴェンによってさらに内面性の表現が加えられて、発展していくことになるのです。

私たちが知る協奏曲の基本的な様式は、この作品9ですべて見ることができます。オケが先行してその後独奏楽器が始まる点、カデンツァがある、急〜緩〜急の3楽章形式である、などがすべて詰まっています。上品かつ気品を持つこれらの作品はその当時の趣味に迎合しているうえで、しっかりとした個性も持っていた、ということなのです。ですから、それは20世紀の、先日ご紹介したピアソラまで、受け継がれていくのですね。

演奏するのはオーボエがトーマス・インデアミューレ。名手の演奏は実に楽しそうで、かつ軽め。肩の力が抜けているのに、音楽はしっかりと心に響いてきます。演奏している側の楽しさが、そのまま伝わってくるんですね。動画ならある程度判りやすいですが、音楽だけでそれを伝えてくるのは、すばらしいのひとことにつきます。オケであるイ・ソリスティ・ディ・ペルージャや、そのほかのソリストも本当に味わい深く、かつ軽妙で楽しさが伝わってくるのがいいですね〜。本当に心地いい〜

こういった演奏こそ、バロックで聴きたいものだなあって思います。




聴いている音源
トマゾ・アルビノーニ作曲
オーボエ協奏曲作品9全曲
トーマス・インデアミューレ(オーボエ
ジャック・ディース(オーボエ、2本のオーボエのための協奏曲)
クラウディオ・プリツィ(指揮、オルガン)
リノ・ベルニッツィ(ファゴット
フェデリコ・デル・ゾルド(チェンバロ、2本のオーボエのための協奏曲)
リンダ・ディ・カルロ(チェンバロオーボエ協奏曲)
イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ(コンサート・マスター:パオロ・フランチェスキーニ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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