かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:バッハ ヨハネ受難曲1725年版1

今月のお買いもの、平成29年1月に購入したものを御紹介しています。今回は前回に引き続き、「古楽かふぇpresents ライヴアンドトーク B&G そのころドイツで、音楽家たちがみんな知っていた二人の巨匠」の会場で購入しました、バッハのヨハネ受難曲をご紹介します。

ヨハネ受難曲はすでに、BCJの物を御紹介しています。

マイ・コレクション:BCJヨハネ受難曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/668

では、なぜ買ったのですか?と言うことになります。他の音源が単に聴きたいと言うのであれば、リッピング時面倒はありますが図書館で借りてくるという選択肢もあるからです。それは、このCDが1725年版である、ということなのです。

どういうことかと申しますと、ヨハネは作曲から4度の改定が行われていまして、その変遷がとても興味深いものになっているのです。

バッハの受難曲とヨハネ受難曲の変遷
http://www.prmvr.otsu.shiga.jp/ensemblevoce/Bach/Bach24.html

ヨハネ受難曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E5%8F%97%E9%9B%A3%E6%9B%B2

段々先祖帰りしていく・・・・・ね、面白いでしょ?普通はどんどん変わっていって、始めのものとは変わってしまうことも珍しくない中で、オリジナルへと還っていくその変遷は、とても興味深いものです。

2枚組の1枚目は、前半と後半前半部分が収録されていますが、まず前半はいきなり冒頭合唱が違うんですね。歌詞をよーく見ればわかりますし、聴けば、あ!マタイだ!と声を上げることでしょう(あるいは、えー!マタイじゃん!って叫ぶかもしれません)。元々コラールなんですが、マタイの第1部終了合唱に採用されたものです。それを。1725年版のヨハネでは、冒頭合唱に使っているのですね。私はモダンで聞き慣れているのでピッチが多少違和感がありましたが、それを除けばこの合唱も冒頭合唱として、「毅然と死にゆくイエス」というテクストに、何とあっていることか!

他の変更点は、ペトロが嘘をつく部分の前後と、第2部の前半にと、夫々一つずつ新しくアリアが挿入されている点です。この1枚目を聴いている範疇では、変えられているのは第1部冒頭合唱だけで、他はなーんにも代えられていないんです。

その点から、少なくとも1枚目を聴いた時点においては、私は上記2つのサイトのうち一つ目で、筆者の方が鈴木雅明氏の意見を引用していますが、私はその鈴木氏の意見に同調します。つまり、一つの可能性として、「マタイ受難曲」を演奏するつもりで作曲を進めていたが、間に合わないと判断して、「ヨハネ受難曲」を改訂したのではないか、というものです。

此れはバロック演奏家である鈴木氏ならではの視点だと思いますし、じっさい上記サイトでは筆者の方もこの鈴木氏の意見を大事にされているように見受けられますが、それはバロック音楽を聴いて来れば納得の話しなんです。自作を他の自作に転用するなんて当たり前の時代なんです。その証拠が、冒頭合唱がマタイと同じ、という点でしょう。そんなことをしているうちに、オリジナルのヨハネの姿は切り刻んでいくような形になってしまった・・・・・そのため、ヨハネはなるべくオリジナルの形で残した置きたい、そのため、改訂のたびに、オリジナルに返っていったのかもしれません。これはあくまでも私が考える仮設ですが。

それが証拠に、ヨハネはそのほとんどが、聖ニコライ教会で演奏されているんです。唯一、聖トーマス教会で演奏されたのが、この1725年版、つまり第2稿とされているものなのです。なぜこの第2稿があるのか、そしてなぜオリジナルへと回帰して行ったのかは、そのあたりから推測できそうです。ですから、私は鈴木氏の観点を支持しますし、先祖帰りになっていたは必然であるという結論に達するわけなのです。

演奏は、もしかするとヘレヴェッヘが出しているのなら、そちらのほうがよかったかな〜とも思います。アンサンブルは素晴らしいですし、アリアはどれも人間的で素晴らしいのですが、ドラマティックさに欠けるんです。もうすこし大胆に演じてもよかったんじゃないかな〜って思います。勿論、これはまだまだ前半。磔刑の場面が出てきていません。2枚目ではどのような演奏になっているのか、磔刑の場面がどのように表現されているのか、楽しみにしたいと思います。




聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヨハネ受難曲BWV245
マッハテルド・ブラウマンス(ソプラノ)
マールテン・エンゲルティス(アルト)
マルセル・ベックマン(テノール
マティス・ファン・デ・ウォールト(バス)
フランス・フィゼリエル(イエス
ザ・ラ・フリア・アンサンブル(合唱)
ニコ・ファン・デル・メール(指揮、エヴァンゲリスト
コンセルト・ドゥ・アムステルダム
(Quintone Q08001-1)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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