かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:イタリアのオーボエ協奏曲集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回で、イタリアのオーボエ協奏曲集と題した2枚組を取り上げます。元々はエラートだったと思います。

エラートは実はこのような複数枚組のCDを幾つか出していまして、神奈川県立図書館にはいくつか収蔵されています。

このように、シリーズで取り上げることによって、例えばこのシリーズではオーボエ協奏曲の歴史に触れることができます。とはいえ、このオーボエ協奏曲集に関しては、必ずしも歴史を辿るという側面だけではなく、オーボエとオーケストラのための作品を取りあえず並べてみたという側面もあります。

特にその傾向があるのが、今回取り上げます第1集なのです。第1曲目は一応チマローザの作品なのですが、原曲はチェンバロソナタです。しかも、前奏付き。編曲したアーサー・ベンジャミンが凝っているんですねー。まあ、ベンジャミンが優れた作曲家であった故、なんですが。

ドメニコ・チマローザ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%9E%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B6

アーサー・ベンジャミン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%9F%E3%83%B3

でも、このような作品を聴きますと、がぜん今度はベンジャミンの作品が聴きたくなりますから、不思議ですよねえ。しかもベンジャミンは新古典主義音楽の影響も受けており、かつフランス近代音楽の影響も受けた人。こりゃあ、面白そうです。

次の作品が歴史的な作品だと言えるでしょう。ベッリーニオーボエ協奏曲です。ベッリーニと言えばロマン派の作曲家で、何と言っても有名なのは此の協奏曲・・・・・ではなくて、オペラ。「清教徒」「ノルマ」です。でも、オーボエ協奏曲も本当に素晴らしい作品です。ロマン派の作曲家としては少し古風な作品ですが、それゆえに過度な独奏楽器の披露がなく、オケとの共演を存分に楽しむことができる作品です。

ヴィンチェンツォ・ベッリーニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A9%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B

次のリギーニは古典派の作曲家で、ベートーヴェンがリギーニの旋律を使って変奏曲を書いています。

ベートーヴェン : リギーニのアリエッタ「恋人よ来たれ」による24の変奏曲
Beethoven, Ludwig van : 24 Variationen über die Ariette "Venni amore" von V.Righini WoO.65
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/1149/

リギーニのオーボエ協奏曲はわずか4分足らずなんですが、明快で明るい作品です。全部がつながっている作品ですが、幻想曲的な側面があるようにも感じます。もっと調べてみないことにはネットだけではわかりかねますが、他の作品からの転用という可能性も否定できません。

次の作品はフィオリッロの協奏交響曲ヘ長調。このフィオリッロという作曲家もベートーヴェンと同時代の作曲家です。この作品は3楽章形式でそれぞれ独立した形を取っている古典的でかつ、協奏交響曲となっていますがむしろ二つのオーボエのためのという作風です。モーツァルトが生きていたら・・・・・と想像できそうな、平明で伸びやかな作品です。

次のコレッリは、以前このブログでも全曲を取り上げましたがその中にはオーボエ協奏曲は入っていません。ですからこれも後世の編曲ということになるんですが、それがなんと、あの大指揮者バルビローリなんです。

コレルリ/バルビローリ編:オーボエ協奏曲ヘ長調
http://kuruitans.jp/Corelli.html

え、バルビローリが編曲?って思うじゃないですか。じつは作曲もしておりまして、この音源の最後を飾る、バルビローリのペルゴレージの主題による協奏曲ハ短調もその一つです。

ジョン・バルビローリ
録音
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AA#.E9.8C.B2.E9.9F.B3

実に素晴らしい編曲ですが、コレッリのはむしろ幻想曲を4つの楽章に分けたと言っていいでしょう。むしろ純然たる協奏曲の様式を備えているのは、ペルゴレージの主題による協奏曲ハ短調だと言えます。

勿論、イタリアのオーボエ協奏曲と言えば、最近取り上げましたアルビノーニを忘れてはいけないんですが、このCDでは敢えて入れていないようです。つまり、アルビノーニオーボエ協奏曲はそれだけメジャーなんですね。この音源ではむしろマイナーな作品に焦点を当てているようで、再びこのように聴いてみますと、興味深いものばかりです。

第2集も当然ですが、マイナーな作曲家、作品が並んでいますが、それはまた、来週ご紹介することにいたしましょう!

演奏はと言えば、二人のソリストは時に歌わせ、時に端正さを前面に出し、実に多彩です。オケがシティ・オブ・ロンドンシンフォニアで、所謂室内オケ。イギリスならモダンでは聖マーティン・イン・ザ・フィールズがあるにも関わらず、端正でしっかりとした演奏を聴かせてくれます。室内オケであるせいなのか、とても落ち着いているのも魅力的で、その上でオケも歌い、美しさと荘厳さを持っています。知られざる作品たちががぜん輝きを放つのを聴くのは、実に幸せです。




聴いている音源
イタリアのオーボエ協奏曲集1
ドメニコ・チマローザ作曲(A.ベンジャミン編曲)
オーボエ協奏曲ハ長調
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ作曲
オーボエ協奏曲変ホ長調
ヴィンツェンツォ・リギーニ作曲
オーボエ協奏曲ハ長調
フェデリーゴ・フィオリッロ作曲
協奏交響曲ヘ長調
アルカンジェロ・コレッリ作曲(ジョン・バルビローリ編)
オーボエ協奏曲イ長調
ジョン・バルビローリ作曲
ペルゴレージの主題による協奏曲ハ短調
アントニ―・カムデン(オーボエ
ジュリア・ガードウッド(オーボエ、フィオリッロ)
ニコラス・ウォード指揮
シティ・オブ・ロンドンシンフォニア

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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