かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リスト ピアノ作品全集26

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、リストのピアノ作品全集を特集していますが、今回はその第26集を取り上げます。いよいよ、「巡礼の年」が登場します。

と言っても、残念ながら、巡礼の年はこの第2年だけしか借りることができなかったんですね・・・・・

つまり、抜けている第22集と第23集は、ベト7・8と、巡礼の年が入っていた可能性がある訳です。それはちょっと残念です・・・・・

で、最近はベト7・8はCDで探しており、巡礼の年は別途借りてこようかと思っています。本当はナクソスであればいいんですけど、まあ、巡礼の年に関しては、様々出ていますから、ナクソスでなくてもいいでしょう。

さて、第26集はリストの編曲集となっています。え、もしや巡礼の年も?とお思いの方もいらっしゃると思います。その通りです。巡礼の年も、リスト本人の手によって、2台のピアノのために編曲されているんです。

巡礼の年
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A1%E7%A4%BC%E3%81%AE%E5%B9%B4

リスト : 巡礼の年 第2年「イタリア」
Liszt, Franz : Annees de pelerinage Deuxieme annee Italie S.161/R.10 A55
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/1457/

とは言え、ここに収録されているのは、最後の第7曲「ダンテを読んで」だけです。巡礼の年が巨大な作品ですので、全部を収録することは不可能ですが、この第7曲だけでも、巡礼の年というのが、リスト作品の特徴を凝縮したものであることが分かります。

次の収録作品がダンテ交響曲。もともと管弦楽作品を、2台のピアノのための作品に後年他者が編曲したものです。

ダンテ交響曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%86%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2

以前、リストの交響詩集で取り上げたこともあろうかと思いますが、ダンテの「神曲」を音楽で表現しようとした作品です。それだけに、リストの作曲技法がこれぞとばかり詰まっている作品です。後にピアノ2台用の編曲が残されました。これは実は、第九もなんですが・・・・・

PMF合唱団さんが、ブラームスドイツ・レクイエムを演奏した時、ピアノが2台だったと思いますが、その時はオケ版とあまり違いを感じなかったのを思い出します。ピアノ2台であれば、少なくともパートは4つになりますので、弦楽四重奏と同じ効果があるのですね。モーツァルトが自身のピアノ協奏曲第14番をピアノ四重奏曲版に編曲した時と同じです。

これも当然ですが、コンサートピースとして、或は広く演奏を求めるために、このような編曲をしたことは想像に難くありません。オーケストラはまだまだ贅沢なものだったのです。市民階級はまだまだ、独奏楽器や弦楽四重奏というジャンルが、聴くのがポピュラーだったのです。それはまるで、現代クラシック音楽よりもポップスが主流であることと大差ありません。

こういった編曲は、音楽史を顧みさせてくれるだけではなく、その時代の人々がいかにして音楽を楽しんでいたのかを知ることにつながります。それは時として、現代に生きる私たちには共感となって響いてくるから不思議です。

この編曲の素晴らしい点は、原曲にもある合唱部分がしっかりと入っていることで、演奏でも再現されています。だからこそ、第九が惜しいんですよねえ。第九も同じようにリストは編曲しているので、やはり合唱団が入ってほしかったなあと思います。ピアノなので室内合唱団でいいと思います。どこかのアマチュア合唱団の方々、チャレンジしてみませんか?オケだとお金がかかるものも、ピアノ独奏、あるいは2台ならやれそうだと思うんですが・・・・・

演奏はフランツ・リスト・ピアノ・デュオ。合唱はハンガリー放送少年合唱団。このバランスがとてもいいんですよね〜。息の合ったデュオに、軽めの発声の少年合唱団。ダンテ交響曲ではまるで、天国を仰ぎ見るような、まさしくリストが表現しようとした天国へのあこがれが、そこにはあります。そして、この作曲時期からすれば、超絶技巧一本やりではなく、技術を変幻自在に使っていくといった部分も見え、後年の静謐な音楽も予見させます。

こういう作品は、是非ともアマチュア合唱団の人たちに聴いてほしいです。定期演奏会のネタが必ず転がっていると思います。




聴いている音源
フランツ・リスト作曲
巡礼の年第2年 イタリア S161/R10b第7番「ダンテを読んで」(ダンテ・ソナタ)(2台ピアノ版)(ヴィットリオ・ブレスチアーニ編曲)
ダンテ交響曲S648/R370(作曲家による2台ピアノと合唱版)
フランツ・リスト・ピアノ・デュオ
ハンガリー放送少年合唱団
ガブリエラ・テズ


地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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