かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ケルビーニ ミサ曲集1

今月のお買いもの、平成27年7月に購入したものをご紹介します。今回から7回にわたりまして、このコーナーではケルビーニのミサ曲を取り上げます。ディスクユニオン新宿クラシック館での購入です。

実は、ケルビーニのミサ曲は昨年末からずっと探していたものだったのです・・・・・その理由は、毎年足を運んでいる、コア・アプラウスの次の演奏会で取り上げられる作品が、ケルビーニのミサ曲だからです。その予習にと思ったのです。

しかし、ケルビーニのミサ曲は実はそれほど店頭に並んではいません。ディスクユニオンよりも、山野楽器銀座本店でずっと探していましたが、殆どないという状態・・・・・特に、今年平成27年の年明けくらいは、レクイエムぐらいしか扱っていないという状態でした。

ところがそのレクイエム、特に一番有名なハ短調は、すでにこのブログでも取り上げており、ナクソスから出ています。

マイ・コレクション:ケルビーニのレクイエム
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1020

ドイツ・シャルプラッテンから出ていたのはもう15年くらい前。それを知る人も殆どいないようです。なぜなら、今回ご紹介する7枚組のものくらいしか、出ていないというコメントが、ネットではあまりにも多いからです・・・・・

以前、ドイツ・シャルプラッテンから出ていたのです。それを、かつて是非とも欲しいと思っていましたが、残念ながらいつまでたっても再販しません。そのうちに、EMIが出したのがこの7枚組のボックスだったのです。

さて、ケルビーニという作曲家を、もう一度おさらいしておきましょう。

ルイジ・ケルビーニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%8B

主にオペラで有名な作曲家ですが、不遇の時代が多かったことから、後に宗教音楽の作曲を手掛けるようになり、当時や後世の作曲家たちに絶賛されることになります。

この曲集は、作曲順となっており、ケルビーニのミサ曲の変遷をも見ることができます。まず第1集に収録されたのが荘厳ミサ曲 ヘ長調 “シメイにて”です。専門のページはありませんが、ウィキの作曲者のページ、下の方にミサ曲が載っていますが、それによればさ作曲年代は18096年です。

そして、そこからミサ曲がずらり・・・・・そう、ケルビーニはミサ曲の作曲を、19世紀に入ってから始めたというわけなのです。

で、この「シメイにて」はケルビーニが1808年から09年までの間に留まっていた、シメイ公国のことを指します。今ではベルギーの一部となっているシメイ公国は、いまだに公爵が収める地域となっています。

ベルギーとフランスの国境、元シメイ公国の中心「シメイ城」
http://guide.travel.co.jp/article/6957/

まさしく、この「シメイにて」はそのシメイ城の宮殿においてという意味を持ちます。では、そもそもイタリア出身でフランスで活躍していたケルビーニがなぜ、フランス以外で活動していたのか。それは、その当時のフランスがナポレオン第1帝政の時代であったことと無関係ではありません。

ナポレオン・ボナパルト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%8A%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%88

フランスはそれこそ、全欧州を敵に回して戦争をしている時代であり、まともに芸術ができるような状態ではなかったのです。それを逃れるため、シメイ公国へとのがれたようです。その答礼という側面があったようです。

この「シメイにて」は、19世紀の作品ですが、いささか古風な構成です。各楽章がいくつかのパートに分かれるというもので、ロマン派のミサ曲とは少し異なります。その上で、この「シメイにて」は時間も長く、しかも教皇など教会がきっかけとも言い難く、その意味ではやはりモーツァルトまでとも異なります。まさしく、古典派からロマン派への移行期の作品だと言えるでしょう。

このミサ曲は荘厳ミサ曲、つまりミサ・ソレムニスです。ベートーヴェンもミサ・ソレムニスを書いていますが、このケルビーニの長さや構成をみますと、ベートーヴェンはケルビーニの作品を参考に書いたのではないかと考えるのが自然であろうと思います。

その上で、クレドの「エト・レジュレクシット」はモーツァルトのように明るく晴れやかで、かつ荘重です。ブックレットによれば、完成は1810年となっていてウィキと異なりますが、確かに、シメイ公の家族用であるシメイ宮の舞台では、この作品の巨大さをみますと編成的に乗らないだろうと思いますので、完成はブックレットの1810年が正しいのだろうと思います。

指揮はリッカルド・ムーティで、演奏はバイエルン放送交響楽団。このブログでも、ベートーヴェンのミサ・ソレムニスを取り上げた時に一度出てきているオケです。とても実直で真摯な姿勢が、演奏からしっかりと伝わってきます。勿論、恐らく初演は室内オケ程度の編成はあったであろうと思いますから現代オケのこの編成でも大きいとは思いますが、全くそれを感じさせない演奏です。それはそもそもが、このミサ・ソレムニスが未来におけるポテンシャルを持っていたという証拠であり、その点ではベートーヴェンに全く引けを取りません。

ベートーヴェンがなぜ、ケルビーニの作品をリスペクトしていたのかが、判る演奏だと思います。




聴いているCD
ルイジ・ケルビーニ作曲
ミサ・ソレムニス ヘ長調「シメイにて」
ルート・チエサク(ソプラノ)
ヘルベルト・リッパート(テノール
リダール・アブドラザコフ(バス)
バイエルン放送合唱団(合唱指揮:マイケル・グレイサー)
リッカルド・ムーティ指揮
バイエルン放送交響楽団
(EMI 6 29463 2-1)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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