かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:メトネル ピアノ協奏曲第1番・第3番

今月のお買いもの、平成27年7月に購入したものをご紹介します。今回はディスクユニオン新宿クラシック館で購入しました、メトネルのピアノ協奏曲集のアルバムをご紹介します。レーベルはナクソスです。

いやあ、こういった作曲家を採り上げるのはさすがナクソスだと思います。まずはウィキのページを挙げておきましょう。

ニコライ・メトネル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%8D%E3%83%AB

ほぼラフマニノフと同世代です。そして、音楽的にもラフマニノフを尊敬していたこともあり、似たものになっています。かといってラフマニノフそのものになろうはずもなく、どうしてもラフマニノフの作品よりは、この2つの収録されている作品は劣るものになっています。

では、聴いてつまらないのかと言えば、そんなことないのです。むしろ、ラフマニノフほど超絶技巧ではないことからすれば、アマチュアオーケストラ向きだと言えますし、またラフマニノフのような超絶技巧はあまり好きではないという向きには、ぴったりの作品だと思います。

まず、ピアノ協奏曲第1番ですが、このアルバムでは4つのトラックが降られていますが、3楽章形式です。そしてそれは続けて演奏される構成となっています。

ピアノ協奏曲第1番 (メトネル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%8D%E3%83%AB)

ウィキでは単一楽章という説明になっていますが、兎に角。3つの部分からなる作品です。その点では、リストだけではなく、サン=サーンスの影響も受けているかもしれません。

調性もしっかりしていますが、何よりも、この作品には古典的美が備わっています。超絶技巧の部分だけを注目してしまうと、この作品そのものが持つ「美」を見失いかねません。構造の美と、内面の美。その二つをいかに両立させるかがこの作品のコンセプトのように思われます。それだけに、演奏者としては、単に上手に演奏してみせるのではなく、丁寧に演奏することを心がけつつ、いかに自らの内面から湧き上る共感を演奏として現出させるかに傾注する必要がある作品だと言えるでしょう。

続く第3番は、調性無視「気味」の作品であり、それほど無調性ではないものの、幻想的な雰囲気がまるで同時代の作曲家ラフマニノフを彷彿とさせます。ただ、この第3番でもそれほど無調性ではないという点から、ラフマニノフのような超絶技巧を突き詰めるために調性から離れるという路線は、メトレルは取らなかったとも言える作品ではないかと思います。

ピアノ協奏曲第3番 (メトネル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%8D%E3%83%AB)

「バラード」という題名とその由来からして、メトレルが超絶技巧のみを追求したものではないことははっきりとしているように思います。当時は超絶技巧ばやりですから、ピアニストからの委嘱とすれば超絶技巧に走りがちだと思うのですが、超絶技巧にあまり走らず、むしろピアノを超絶技巧を織り交ぜながら「歌わせて」いる作品であると言えます。

その意味では、演奏家としては超絶技巧を受け入れつつも、メトネル自身の作曲のレヴェルを考えた場合、それほどの超絶技巧に走るべきなのかということを考えたとおもわれます。作曲家としてのデビューは、演奏家としてよりは遅かったわけですから。ですから、あまり超絶技巧ではないことは特段驚くに値しません。

20世紀のピアニズムが超絶技巧だらけで、それでは疲れてしまうというリスナーもいるかと思います。そんな人は、一度メトネルをきいてみるといいと思います。20世紀の香りの中に、19世紀が混在し、ちょうどいい塩梅になっていることに、喜びを感じることでしょう。

演奏は、超絶技巧もしっかりと表現しつつ、歌うことも忘れていません。ppからffまでのダイナミックレンジもナクソスにしてははっきりしていて、作品が壮大さを持つこともしっかりと私たちに伝わってきます。ロシア革命後海外へ脱出したメトネルの、音楽に対する姿勢が、この二つには如実に出ているように私には思われますが、演奏も特段アコーギクがないからこそ、作品が持つ特徴がはっきりと浮き出ているように思います。

ナクソスのこういった素直な演奏は、時として作品が持つ素の姿を私達に見せてくれているように思います。ロマンティックで幻想的で、過度に超絶技巧ではないその演奏は、私達を素直に音楽を聴く喜びへと誘ってくれます。

出来れば、第2番や、多くのこされたピアノ・ソナタも聴きたいものです。




聴いているCD
ニコライ・メトネル作曲
ピアノ協奏曲第1番ハ短調作品33
ピアノ協奏曲第3番ホ短調作品60「バラード」
コンスタンティン・シチェルバコフ(ピアノ)
ウラディーミル・ジヴァ指揮
モスクワ交響楽団
(Naxos 8.553359)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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