かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:シュニトケ チェロ協奏曲、チェロソナタ他

今月のお買いもの、平成26年11月に購入したものをご紹介しております。今回はディスクユニオン新宿クラシック館で購入しました、ナクソスから出ているシュニトケのチェロのための作品集を取り上げます。

シュニトケの名前を知っていても、聴いたことないという方もいらっしゃるかと思います。かく言う私も、その一人でした。バリバリの現代音楽ですから・・・・・

ルフレット・シュニトケ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%88%E3%82%B1

日本ではドイツ名で訳されるので、ドイツの作曲家かと思ってしまいますが、実は旧ソ連の作曲家です。そして旧ソ連の作曲家たち、例えばショスタコーヴィチがそうであったように、シュニトケもまた、国家からの抑圧を受けた人生を送ることになります・・・・・

しかもシュニトケの場合、ショスタコとは異なり、宗教心が強いがため、常に国家の圧力を感じて作曲することとなります。それでも、雪解け以後が活動の主な時代であったが故、まだましであったと言えますが、それでも、私達西側の人間からすれば、十分とは言えない中での創作が続くこととなります。

宗教心が強いことから、当然ですが宗教的作品も多いシュニトケですが、人間の声に近いとされるチェロを用いた作品から入れたのは、とても幸せであると、このCDを聴いて思います。まさしく「初めての作曲家は室内楽から入る」という、私の持論を真正面から行ったこの選択は、今回とてもよかったと思っています。

まず、チェロ協奏曲は、、ウィキでは第1番と表記があるもので、1986年に作曲されました。4楽章形式で、なおかつ古典的な急〜緩〜急ではなく、緩〜急〜緩とも言うべき構成となっており、むしろ管弦楽と独奏チェロのための管弦楽曲という趣です。双方が対等に渡り合うのは近代的協奏曲の趣ですが、かといって激しさが前面に出ているわけではありません。ですが、熱さも内包するという、現代音楽の中でも珍しく「生命」を感じる作品です。

続く「チェロとヴァイオリンのための静かな音楽」は、本当に静かな作品で、最初音楽が始まっているかさえ分かりません。現代音楽なのに、なぜかしんみりする作品です。

最後の「チェロ・ソナタ」は当然ピアノとの二重奏ですが、どちらも激しい!ウィキでは第1番として掲載されている作品で、1978年の作曲です。実は、最後二つの室内楽は1979年と78年の作曲と、70年代後半の作品ですが、それらしい不協和音が鳴り響く中で、一つは静かな方向、一つは激しい方向へとなっているのは興味深い点です。でもどちらも、何故か生命力をやはり感じるのです。

シュニトケの苦しみの人生を反映しているのかそうではないのか、歌うチェロはまるで人の声のようでもあります。不思議なもので、チェロが人の声と言われてもそうだねえとはなかなか思えないことが多い中で、現代音楽バリバリ、不協和音だらけのこのシュニトケの二つの作品は、何故か納得となってしまうのです。その意味では、チェロのための作品をずらっと並べたこのCDは、シュニトケ音楽入門としては、とてもいい教材なのかもしれません。

いずれの作品も、シュニトケとしては決して十分に恵まれたとは言えない時代の作品ですが、ショスタコーヴィチがそうであったように、シュニトケも同様に苦しみの中で創作を続けた作曲家です。そんな苦しみが、音楽から滲み出ているのは確かだと思います。

演奏は、とにかく熱いというよりも、思いがこもっていると言うべきかと思います。チェロ協奏曲にしても、続く二つの作品にしても、チェロが絶えず喘ぎ、呻いているのが分かります。チェロが人の声と同じだとすれば、それはシュニトケの声なのかもしれませんが、演奏者はそれを念頭に置いて、まるで自分のものとして演奏されているように思います。ショスタコーヴィチのようなドグマではなく、素直な呻き声として表現されている点を、どうとらえるか・・・・・

そんなことを、明確に考えさせてくれる演奏になっているのは、嬉しいですね。




聴いているCD
ルフレット・シュニトケ作曲
チェロ協奏曲第1番
ヴァイオリンとチェロのための静かな音楽
チェロ・ソナタ第1番
マリア・クリーゲル(チェロ)
ラインムント・ハヴニス(ピアノ)
ブルクハルト・ゴドホフ(ヴァイオリン)
ゲアハルト・マルクソン指揮
ザールブリュッケン放送交響楽団
(Naxos 8.554465)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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