かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ショスタコーヴィチ 協奏曲全集3

今月のお買いもの、平成28年4月に購入したものをご紹介しています。シリーズで取り上げてきました、ショスタコーヴィチの協奏曲全集、最後の第3集を採り上げましょう。チェロ協奏曲の登場です。

チェロ協奏曲は音楽史の上では様々な作曲家が書いており、有名どころは何と言ってもドヴォルザークであろうと思いますが、ショスタコーヴィチも2曲書いています。

で、第1番は4楽章形式なのですが・・・・・なんでショスタコはいずれの協奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ)でも、第1番は4楽章なのでしょうねえ。偶然?そうなのでしょうか。確証はないんですが、私には何かのメッセージに聴こえるんですよね・・・・・

チェロ協奏曲第1番 (ショスタコーヴィチ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

旋律的には思いっきり20世紀音楽している作品です。和声の諧謔性ショスタコーヴィチらしい作品ですが、なんで4楽章なのだろうということは、考えてみてもいいよなあと思います。20世紀音楽においては、演奏だけではなく、楽章数や楽譜への記載内容などが、重要な意味を持つことが多いのですから。

例えば、交響曲は本来4楽章制ですが、新古典主義音楽以降、3楽章の作品も多く書かれました。その意味は基本的には「自由」ですが、パトリオティズムの意味もあります。特にフランスに置いては、第1次大戦を引き起こしたドイツ後期ロマン派の一派である国民楽派の熱狂への反省があり、フランスバロック復興の意味がありました。故にナショナリズムに対抗する民族主義的な「パトリオティズム」を標榜するという意味があります。

その意味では、協奏曲は本来3楽章です。それを、当時はやっていた4楽章形式でというのも確かに言えるかと思いますが、元々3楽章で考えていたものをバランスの上で4楽章にしたということが言えますが、それだけではなく、やはり何か殻を破りたいという意識があったのではないだろうかという想いがあります。

次の第2番は3楽章制で楽章数としては古典的ですが、第1番よりもさらに20世紀音楽しており、機械的とも言えます。

チェロ協奏曲第2番 (ショスタコーヴィチ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

様々な病気を持っていたことから、強迫性が強かったのかもしれません。そもそも、ソ連の国家的抑圧によってかなり強迫的になっていたはずですから、第2番を作曲した時期のショスタコーヴィチが強迫的になっても何ら不思議ではありません。

二つともショスタコ晩年の作品であり、深い闇を持つ作品だと言えるでしょう。第1番は聞きやすいとの記事がウィキにはありますが、聴きやすいとはいえ、哀愁が全面を支配するようなカデンツァなど、ショスタコの晩年の内面が存分に表現されている作品だと言えますし、第2番は強迫性が強く出た作品だと言えましょう。

視点を変えれば、ようやく祖国においてショスタコはある程度の自由な表現が認められたとも言え、ショスタコの年齢に加えて、今まで抑圧していたものが堰を切ったように湧き出ている状態とも言えます。

演奏はポリャンスキー指揮モスクワ交響楽団ソリストはイヴァンスキン。作品の性格を理解した、素晴らしい演奏だと思います。端正ながらもショスタコの「想い」を汲み取ろうとする姿勢は、聴き手に旋律からは想像もできない人間性を喚起させます。人間の喜怒哀楽が意外と詰まっていることを気が付かされるのです。チェロという、人間の声に近い楽器のせいなのかもしれませんが、不協和音全開の二つの作品において、とても人間くさい部分が聴き取れるのが素晴らしいと思います。

特に第1番は躍動感に溢れ、生き生きとしています。そして第2番では鎮痛さも存分に表現されており、実に味わい深い演奏です。ショスタコの人生の変遷が見えるようで、それも素晴らしい点だと思います。




聴いているCD
ドミトリー・ショスタコーヴィチ作曲
チェロ協奏曲第1番変ホ長調作品107
チェロ協奏曲第2番ト長調作品126
アレクサンドル・イヴァンスキン(チェロ)
ヴァレリー・ポリャンスキー指揮
モスクワ交響楽団
(Brilliant Classics 7620-3)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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