かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ホルスト 合唱幻想曲、第一合唱交響曲

今月のお買いもの、平成26年11月に購入したものを取り上げています。今回は銀座山野楽器本店で購入しました、ホルストの合唱幻想曲と第一合唱交響曲を取り上げます。

さて、ホルストは「惑星」で有名な人ですが、それ以外の作品を知っている人って、どれくらいいるでしょうか?かく言う私も、殆ど知らなかったのです。ですから初め、このCDは珍盤として購入したのですが・・・・・

それが完全な誤りであるという事を、買った後知ったのです。

グスターヴ・ホルスト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%88

まあ、ウィキですから不完全ですので申し訳ないですが、では同じウィキでもこれではどうでしょう?

グスターヴ・ホルストの楽曲一覧
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E4%B8%80%E8%A6%A7

合唱作品が多いことに、驚かれることでしょう。惑星などの管弦楽も多いですが、同じかそれ以上、合唱曲を書いている作曲家なのです。

恐らく、ホルストの作品があまり知られていないのは、この合唱曲が多いという点に尽きると思います。日本では圧倒的に交響曲至上なので・・・・・どうしても、管弦楽作品である「惑星」が注目を浴びるのは当然であると言えます。

しかし、この二つの合唱作品も、実はオケ付きです。なのに、日本では殆ど知られていない現状・・・・・それは明らかに、この作品が立脚するのが、クラシック伝統の王道である、宗教曲であるからだと言えましょう。

まず、合唱幻想曲です。歌詞はとても宗教的ですが、宗教から採ったものではありません。初演の1年前に亡くなった友人、ロバート・ブリッジを悼み、その詩を採用しています。人間の生死を題材にしており、それゆえか、荘厳なオルガンで始まりますが、消えるように終わるのが特徴です。

この、オルガンで始まるというのは、私には同じ題名のある作曲家の作品を想起させます。それは、ベートーヴェンの合唱幻想曲です。

合唱幻想曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E5%94%B1%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2

この作品は、第九の原形とも言われる作品ですが、ロマン派以降の合唱付き交響曲は殆ど、第九の影響を受けていると言っていいでしょう。マーラーの影響ももちろんありますが、それよりもさらに、ベートーヴェンの影がここにはちらつきます。音楽は全く異なるものですが・・・・

ホルストは、ヴォーン・ウィリアムズとの関係が指摘されますが、ヴォーン・ウィリアムズは当時流行していた民謡採集にたずさわった一人でもありました。それはまさに、一つには12音階などへのアンチであり、そして新古典主義音楽などの民族主義に影響を受けたものです。

レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%BA

いずれ、ヴォーン・ウィリアムズ交響曲は県立図書館のコーナーで取り上げますが、ホルストも同じ系譜に連なると言っていいでしょう。この作品は民謡採集や新古典主義音楽の影響を受けつつ、一歩引いた作品です。あくまでも静謐です。

続く第一合唱交響曲は、1923年から24年にかけて作曲された作品です。これも静謐な作品です。でも、お祭りなども表現されている作品で、朗々と歌い上げられています。第一とついていますが第二は作曲されませんでした。

で、合唱曲なのになんで交響曲?と思いますが、実は、途中にスケルツォがあるんですね。ですので、作曲者は交響曲としたようです。序曲以下4つの部分で構成され、それぞれに歌詞が付いています。序曲を序奏と考えれば、4楽章制の交響曲と言えなくもないですが、ソナタ形式はありません。

しかし、合唱幻想曲に比べればクライマックスも持っており、劇的です。それはそれで、第九など合唱付き交響曲を意識しているとも言えます。

演奏は極めて端正で、静謐さが際立っています。ですから、劇的なものを求める向きにはなかなか受け入れがたいでしょうが、ルネサンスなどの合唱作品を数多く聴かれている方であれば、素直に耳を傾けることが出来るのではないかと思います。私自身は、ホルストの合唱作品をもっと聴いてみたいと思っています。

このCDをきっかけにして、ホルストという作曲家の「本当の姿」が何であるかを知る「旅」は、私にとってかけがえのないものになりそうです。じっくりと歌を聴かせる解釈はとても自然ですし、魂の平安が湧き上がってくるようなその演奏は、作品そのものの価値を高めているように思います。




聴いているCD
グスターヴ・ホルスト作曲
合唱幻想曲H177作品51
第一合唱交響曲H155作品41
リン・ドーソン(ソプラノ)
ジョン・バーシュ(オルガン)
ヒラリー・デヴァン・ウェットン指揮
ロイヤル・フィルハーモニック
ギルドフォード合唱協会
(HELIOS CDH55104)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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