かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ショスタコーヴィチ 協奏曲全集1

今月のお買いもの、平成28年4月に購入したものをご紹介します。今回から3回にわたりまして、ショスタコーヴィチの協奏曲全集を取り上げます。ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入したものです。

ショスタコーヴィチの協奏曲は神奈川県立図書館にて借りてきたような気もするのですが、もしかするとピアノ協奏曲だけかな〜と思いましたので、思い切って購入した次第です。3枚組で1028円。ブリリアント・クラシックスです。

ブリリアントは禅宗ではないことも多いのですが、この3枚組はしっかりと英語で「complete」と記載があったので、間違いはないだろうとは思いましたが、一応調べてみますと、やはり全集で間違いありません。

この全集、1枚目がピアノ協奏曲で、2枚目がヴァイオリン協奏曲、そして3枚目がチェロ協奏曲が収録されており、それぞれのジャンルをショスタコーヴィチは2曲ずつ書いています。CDに収まるように書いたのかと思うくらいですが、作曲年はバラバラなので、そうは言えないでしょう。

まず1枚目にはピアノ協奏曲が収録されているわけですが、ショスタコと言えばむしろヴァイオリン協奏曲のほうが有名です。しかし、一番最初の協奏曲の作曲はピアノ協奏曲なのです。

ピアノ協奏曲第1番 (ショスタコーヴィチ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

え、トランペットも・・・・・そうなんです。この作品、トランペットとの正式には二重協奏曲と言っていい作品です。正式名称には「ダブルコンチェルト」とはありませんが・・・・・

それは、トランペットがそれほどオケと協奏しているわけではないからです。主に協奏しているのはピアノであり、トランペットは従です。そのためか、二重教曲とは言われないのです。

では、どんなにキワモノなんだろう、演奏頻度は低いんでしょ?という、ア・ナ・タ。意外や意外、高いのです。確かに、トランペットソリストはオケから抜き出してもいいわけですからねえ。これはショスタコーヴィチも随分と考えたものだなあと思います。

4楽章形式を取っているのもキワモノ感をかもし出していますが、その第4楽章は完全にパロっていますし、それまでの楽章もパロディだらけという、後年のショスタコーヴィチの作風が存分に出ている、ショスタコーヴィチらしい作品だと言えます。交響曲の重厚さだけではなく、むしろ皮肉屋としての性質が音楽にそのままストレートに出ている珍しい作品だとも言えるでしょう。

第2番は戦後に書かれた割には古典的で、かつ社会主義リアリズムの影も濃く、その意味でもショスタコーヴィチらしい作品だと言えますが、第1番にあったようなアイロニーは影を潜めています。

ピアノ協奏曲第2番 (ショスタコーヴィチ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

第1番の解説で、ピアニストとしての挫折がウィキに記載がありますが、この二つの作品はその挫折が色濃く反映されているように思います。思いっきり作曲家としてピアノ作品をパロって倒す第1番と、それを通りぬけて、寂しさはあるが体制に順応しつつも自分の色を追求する第2番。悔しさと寂しさが作品に反映されながら、自身はその挫折を乗り越えていく・・・・・そんな姿が目に浮かびます。

演奏はピアノがクリスティナ・オルティス。決してヴィルトォーソ一本やりではないこの二つの作品の世界で、縦横無尽に暴れまくっています。かといって破壊的なのではなく、表現しきっているという感じです。オケはボーンマス響、指揮はシベリウスを得意とするベルグルンド。この組み合わせがたまりません。意外と隠れた職人オケボーンマス響と、これまた職人でありながら、フィンランド物を得意とするベルグルンドが、かつてフィンランドを支配したロシアの、社会主義国ソ連となった国の作曲家の作品を採り上げるなんざあ、どんなことになりますやらと思いきや、いえいや、むしろ体制に苦しめられたショスタコーヴィチショスタコーヴィチに寄り添い、端正でかつダイナミックな演奏を聴かせてくれます。

酸いも甘いもないまぜになっているショスタコーヴィチの二つの協奏曲を、存分に味わうのにふさわしいシェフのような気がします。




聴いているCD
ドミトリー・ショスタコーヴィチ作曲
ピアノ協奏曲第1番ハ短調作品35
ピアノ協奏曲第2番ヘ長調作品102
3つの幻想的な舞曲作品5
クリスティナ・オルティス(ピアノ)
パーヴォ・ベルグルンド指揮
ボーンマス交響楽団
(Brilliant Classics 7620-1)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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