かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲集

今回の神奈川県立図書館所蔵CDは、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲集です。ダンチョフスカのヴァイオリン、コルト指揮、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。

このCDはシマノフスキが好きなには結構人気のようで、CDDBでもすぐ出てきますし、アマゾンやHMVでも検索しますと出てきます。ただ、私は県立図書館で借りてきたというわけです。

こういったCDを探し出すのが図書館へ行く楽しみでもあります。

さて、この音源(CD)は、ヴァイオリン協奏曲集でありながら、その実はシマノフスキの創作の変遷が辿れるという内容になっています。曲順が演奏会用序曲、第1番と第2番となっているからです。

なぜそういえるかといえば、以下のウィキの説明が一番分かりやすいでしょう。

カロル・シマノフスキ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD

演奏会用序曲は1905年の作曲で、第1番が1916年、そして第2番が1932〜33年の作曲で、各々創作第1期、創作第2期、創作第3期を代表する作品だからなのです。それが年代順に並べれば、この音源の収録順になる、というわけです。

始め、私は解説を読むまでそれに気が付きませんで、単にヴァイオリン協奏曲の変遷が分かる編集でそれに演奏会用序曲をカップリングさせたんだなと思って借りました。しかし、演奏会用序曲が一番最初に来ていることに違和感を覚えました。単にこの曲が威勢のいい、まさしく演奏会の幕開けにふさわしい曲なので一番最初という編集なのだろうと。しかし、それは間違いでした。

演奏会用序曲と、ヴァイオリン協奏曲との音楽性が全く違うのです。これは面白いと思いましたが、それこそこの音源の編集者が言いたいことだったのです。それは解説のシマノフスキのこの言葉に集約されています。

ストラヴィンスキーは、天才だ。私は彼に魅せられ、その結果、ドイツ人を嫌悪しはじめた。」(第1番の解説より)

第1期は影響を受けた作曲家たちとして主にドイツの作曲家の名まえが並びます。ですから、演奏会用序曲は後期ロマン派の香りがする音楽であるのに対し、創作第2期の作品であるヴァイオリン協奏曲第1番は妖艶で、形式的にも一楽章を採るという、いきなりリストのピアノ協奏曲のような、その時代にはやり始めた形式が古典的なものを通り越していきなり出てきます。和声も不協和音の連続で、演奏会用序曲の作曲から10年ほどで音楽は大転換をしています。

そのきっかけとなったのが、1913年のストラヴィンスキーの「ペトルーシカ」との出会い、そして翌年の14年に実際にストランヴィンスキーと会ったことなのです。

それがやがて、彼を民族音楽への興味へといざない、第2番ではさらにポーランド南部山岳部タトラ地方の民謡を巧みに使って、神秘的な世界を創り上げています。その意味では、創作第1期に影響を受けたスクリャービンの音楽が、彼の中にあったと言えるかもしれません。ドイツ音楽からの決別というよりも私は、当時の国民楽派に素直に影響を受けたと言えるかと考えています。その意味でも、創作第1期に影響を受けた作曲家の名まえにショパンがあることも、重要な要素だろうと思います。

ヴァイオリン協奏曲第1番 (シマノフスキ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD)

ヴァイオリン協奏曲第2番 (シマノフスキ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD)

タトラ地方の民謡
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD#.E3.82.BF.E3.83.88.E3.83.A9.E5.9C.B0.E6.96.B9.E3.81.AE.E6.B0.91.E8.AC.A1

ダンチョフスカのヴァイオリンは、それを意識してなのか、縦横無尽かつ繊細です。それが二つのとてもシマノフスキらしいヴァイオリン協奏曲を美しいものとして提示しています。不協和音が鳴り響き、古典派のようなメロディラインのはっきりした音楽を好んで聴いている人には何じゃこりは〜という印象をはじめは受けるかもしれませんが、徐々に妖艶でかつ神秘的で、しかし健康的な美をそこにみることでしょう。同居しないと思われそうなこの三つのファクターが見事に同居し統合されたのが本来シマノフスキの芸術なんですよと、私はこの音源で教えられたのです。

それ以降、私は「今月のお買いもの」で交響曲をご紹介するなど、シマノフスキへ傾倒していったのは言うまでもありません。きっかけはmixiの某コミュで知り合った方でしたが、引きずり込まれたのはこの音源だったのです。



聴いている音源
カロル・シマノフスキ作曲
演奏会用序曲変ホ長調作品12
ヴァイオリン協奏曲第1番作品35
ヴァイオリン協奏曲第2番作品61
カヤ・ダンチョフスカ(ヴァイオリン)
カジミエシュ・コルト指揮
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団



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