かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:BCJの「メサイア」

今回のマイ・コレは、BCJが演奏するヘンデルの「メサイア」です。

ヘンデルメサイアは以前マイ・コレでエントリを立てています。

マイ・コレクション:メサイア抜粋
http://yaplog.jp/yk6974/archive/417

実は、この時ご紹介したものを完全な形で聴きたくて、当時探していたのですが、売り切れまたは廃盤状態。そこで、当時ファンになっていたBCJのものを選択したというわけなのです。

メサイアは1742年に初演されたヘンデルのオラトリオですが、実は演奏形態が固定されていません。バッハのほうがまだ固定化されているくらいで、ヘンデルの生前に一つとして固定された編成で演奏されたことがない曲なのです。

メサイア (ヘンデル)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A2_(%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB)

あくまでもウィキで掲げられている編成は現代の基本的なものととらえてくださって構いません。モダン演奏が中心だった時代はまず基本的な編成で後はいろんな形態を適当に組み合わせるやり方で演奏されていましたが、ピリオド演奏も盛んな現代では、ヘンデルのある時の演奏を基本として、指揮者が自分の美学と突合して編成を決めるというのが通常になっています(だからこそ、昔ながらのやり方をする人もいます)。

そのため、CDによって演奏が非常に異なるのが、メサイアの特徴となっています。そのことが、このCDをはじめ聴いたときに驚きの連続だった理由でした。

2枚組の一枚目の第1曲は、通常であれば全体の序曲としての役割があるシンフォニアが来るはずなのですが、それは第2曲目。その前に朗読が入ります。ヴァ―ジルの「牧歌」第4巻からの文章を引用し、それを受けてシンフォニアが始まるのです。

ウェルギリウス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9
(※ヴァ―ジルは、ウェルギリウスの英語読みです)

これがなぜだったのかをもう少し掘り下げると、この演奏はもっと面白いだろうなと今では思っています。当時はそこまで考えなかったですね。

さらに、次のシンフォニアですが、これがピノックのものとは若干違うんですね。あれ、音符が違うのか?と。恐らく、若干違っていると思います。ただ、音の高低ではなく、リズムなので、音楽として全く違ったものになっているということはここではありません。

ここではとつけるのは、その後には違っているものがあるからなのです。特にそれが現われるのは2枚目の、ちょうどキリストが十字架につけられ、復活するまでの重要な場面(第2部)で相次ぎます。ここをヘンデルはそのたびに様々な想いをこめて作り直しているような印章すら受けます。ピノックのものでは、「何ゆえ国々は騒ぎ立ち」は独立していますが、BCJではその後にアタッカで「我らは、枷(かせ)をはずし、縄を切って投げ捨てよう。」が続きます。その上で、「何ゆえ国々は騒ぎ立ち」は最後の音形と音が全く変わっています。

だからこそ、ヘンデルの生前のどの演奏に範をとるのか、あるいは今までのいわゆる「通常版」を使うのかという判断が、指揮者に求められるわけなのです。それを知った、重要なCDです。

演奏はピノックのイングリッシュ・コンサートBCJはなんら遜色はありません。後は鈴木氏が選んだ1753年コヴェントガーデン版が、自分の美学に合うか合わないかだと思います。私は第2部の一部はピノックの方が好きで、つい最近まではピノックのものもほしいなあと思っていましたが、今では基本これだけでもいいかなと思っています。とは申せ、実はその後2つもメサイアは全曲を買ってしまうんですが・・・・・

歌った経験もいくつかあるメサイアは、どうしてもその視点から聴いてしまうんですが、その経験のあるハレルヤと「その血で神のために、屠られた子羊は」はBCJはのびやかに、かつ力強い演奏を見せてくれます。ティンパニピノックのと違いあまり鳴り響きかないのが不満ではありますが、かといって演奏が悪いわけでは決してないので、そういったすっきり系が好きな方には十分満足できる演奏です。何しろ、世界的にもトップクラスなのですから!

なお、ロケーションはヨハネの時の日本大学カザルス・ホールと違い、神戸松蔭女子学院大学チャペルとなっています。



聴いているCD
オルグ・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
オラトリオ「メサイア」全曲
鈴木美登里(ソプラノ)
米良美一カウンターテナー
ジョン・エルウィス(テノール
デイヴィッド・トーマス(バス)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(キングレコード Romamesca KICC217/8)
※輸入盤はBISから出ています。お好みでどうぞ。ただ、私的には解説がきちんと載っている国内盤をおすすめします。英語が読めれば輸入盤で安く済ます手もあるでしょう。


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