かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヘンデル ジョージ2世の戴冠式アンセム他

今月のお買いもの、平成28年3月に購入したものをご紹介します。ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ジョージ2世の戴冠式アンセムのCDです。

感のいい方は、もう影響されて買ったのですか!と思われることでしょう。そうです、このCDを買ったのは、フィルハーモニック・コーラスさんの演奏会がきっかけだったのですから。

コンサート雑感:フィルハーモニックコーラス 10周年記念第5回演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1407

この演奏会を聴いて、買おうと思ったのですが、まさかいきなり中古市場で買えるなんて思ってみませんでした・・・・・

指揮はサー・ネヴィル・マリナー。古典派の演奏では定評ある指揮者と、オケは聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー。これも古典派からバロックまでの作曲家を得意とするオケであり、素晴らしい組合わせです。

合唱団も聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミーで、ベストな組み合わせのように思います。ヘンデルの作品をモダンでやるという、今ではあまりやられなくなったことをやると言う、素晴らしい演奏です。

勿論、この作品がイギリス国王の即位式のための作品であるということもあるのだと思いますが、録音時期(1984年)を考えると、古楽でもいいはずです。それをモダンでやるというのが素晴らしいんです。

いや、私は古楽を否定しているわけではないんです。BCJは好きですし、その音色が嫌いどころか大好きです。けれども、アマチュア古楽器に障れるのかと言えばそうではないですし、私自身、年代的に古楽よりもモダンの演奏を聴いてきた世代です。モダンの「ピッチ」を聞くと安心するという部分はあるんですね。

ですので、モダン演奏だと嬉しいわけですが、かといって、古楽もたくさん聴いてきているので、モダンの、ともすれば後期ロマン派的な演奏だと、ヘンデルではないよなあっと思うわけです。マリナーと聖マーティン・イン・ザ・フィールズであれば、古楽的でかつモダンの演奏が聴けるという、まことに嬉しい組み合わせなのですね。

合唱団も軽い発声でかつ力強いですし、ジョージ2世の戴冠式の喜びを、実に喜びをもって表現していると思います。それはイギリスという国の歴史にも立脚するのでしょうが・・・・・

イギリスは民主主義の国ですが、立憲君主国家でもあります。その歴史をして、この演奏であるとも言えます。国王を否定しないが、かといって民主主義も否定しない・・・・・簡単に言えばそういう歴史をイギリスは持ちます。「君臨すれども統治せず」の歴史を持つがゆえに、この演奏に至ったとも言えます。

どういうことかと言えば、大陸では多くの王家が倒されたわけです。それは統治を手放そうとしなかったからだと言えます。しかしイギリス国王は手放した。だからこそ、歴代国王に対して、たとえそれが統治する時代であっても、大切にする風土があると言えます。ですからこの演奏も、ジョージ2世に対するリスペクトが、音の上がり下がりの部分でダイナミックでありかつ丁寧でもあるという部分からもうかがえるのです。

編成的にも、聖マーティン・イン・ザ・フィールズは適切だと思います。なぜなら、ジョージ2世が即位した時代であれば、編成はへたすれば聖マーティン・イン・ザ・フィールズでも少し大きすぎるくらいであるはずで、戴冠式という一大イベントであれば、聖マーティン・イン・ザ・フィールズ程度の編成に膨れ上がるだろうと想像できるからです。

ジョージ2世 (イギリス王)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B82%E4%B8%96_(%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E7%8E%8B)

ジョージ2世の戴冠式アンセム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B82%E4%B8%96%E3%81%AE%E6%88%B4%E5%86%A0%E5%BC%8F%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%A0

実際、「司祭サドク」の編成は聖マーティン・イン・ザ・フィールズ程度になっており、室内オケの規模が初演時の編成に近いことが窺えます。つまり、古楽では下手すれば小さすぎるという弊害があるのですね。まあ、BCJであればかなり編成を流動的にやるのでできないことはないと思いますが・・・・・

こういった作品こそ、ガーディナーに取り上げてほしいものですし、実際かなり取り上げているのが分かります。

http://ml.naxos.jp/opus/35659

これだけ演奏例はある作品だという事に、あらためて驚かされます。

カップリングは有名な「ユダス・マカベウス」から3つですが、一番最初の「見よ、勝利の英雄がくる」は表彰式の音楽として有名です。原曲の意味を適切に使っているのはいいことです。できればこういった音源を購入して、その背景、筋書きなどを知ったうえで聴きますといいのではと思います。そのテクストでは、スポーツにあっては、勝者のみが英雄とは限らないので、表彰式で勝者のみに演奏するのは如何なものかと思います。その意味では、例えばセンバツで準優勝校にも演奏されるのは素晴らしいと思います。

どれも聖マーティン・イン・ザ・フィールズの実力がいかんなく発揮されており、すっきりとした演奏です。古楽演奏が圧倒的に多い中、モダンで古楽に引けを取らない、優雅でかつ力強い賛歌は、それ自身に賛歌を送ってもいいように思います。





聴いているCD
オルグ・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
ジョージ2世の戴冠式アンセム
「マカベウスのユダ」より第58〜60曲
ジョアン・ロジャース(ソプラノ)
キャサリン・デンリ(アルト)
アンソニー・ロルフ・ジョンソン(テノール
ロバート・ディーン(バス)
サー・ネヴィル・マリナー指揮
聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー
(Philips 412 733-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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