かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:マリナーと聖マーティン・イン・ザ・フィールズの「第九」

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介します。今回はマリナーが聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミーを指揮した、ベートーヴェン「第九」を収録したアルバムをご紹介します。

神奈川県立図書館から小金井市立図書館と府中市立図書館へと移して、確か最初に借りた第九だったのではないかと思います。ちょうどそのころ、室内オケの第九をどんどん聴きたいなと思っていた矢先に、棚で見つけたと記憶しています。

室内オケの録音は、マイクの本数や位置によっても聴こえ方が違ったりするので一概には言えないんですが、第1楽章から第3楽章は音の厚みに通常のオケとの違いをさほど見出すことができません。まあ、多少はやり厚みはないよねって感じがするくらいでしょうか。この録音でも同様です。

ただそれが第4楽章となると異なってきます。特にアラ・マルシアの後、テノール・ソロと男声合唱が終わった後のオケだけになる部分でそれが顕著です。なのですが、この聖マーティン・イン・ザ・フィールズではそれがほとんどないのです。もしかするとマイクを複数使っているかもしれません(同じような演奏がハイレゾのナガノ・チェンバー・オーケストラ)。

とはいえ、演奏の「生きの良さ」は素晴らしく、スタッカートやマルカートをことさらに強調している部分も嫌味がなく、歌詞が持つ「連帯と喜び」がいかんなく表現されているのも本当に素晴らしい!もう、第4楽章のいつも問題にする部分なんてどうでもよくなります(一応付言して起きますと、そこは極めてオーソドックスです)。

それにしても、この演奏を聴きますと、つくづく聖マーティン・イン・ザ・フィールズというオケは器用というか、ほれぼれします。単に器用であるだけではなく、しっかりとした表現力が魅力だと改めて気づかされます。室内オケという団員の少なさによる音の薄さを、個々人の表現力をオケ全体の力とするアンサンブルの力。その力が生み出す前進力と生命力。喜びに満ち溢れる讃歌・・・・・通常のオケに引けを取りません。

神奈川県立図書館とは違った府中のライブラリは、こういった隠れた「名演・名盤」を数多く収蔵している点にあると思います。とりあえず第九はもういいやと思っていた私の収集癖に火をつけたのは間違いなくこの演奏だったと思います。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
カリータ・マッティラ(ソプラノ)
アンネ・ゾフィー・フォン・オッターコントラルト)
フランシスコ・アライサ(テノール
サミュエル・ラメイ(バス)
サー・ネヴィル・マリナー指揮
聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー及び合唱団(アカデミー室内管弦楽団及び合唱団、合唱指揮:ラズロ・ヘルタイ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。