かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブレンデルの「第23番」

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を取り上げます。ピアノはブレンデル、マリナー指揮アカデミー・オブ・ザ・聖マーティン・イン・ザ・フィールズです。

この音源は実はカップリングで第22番が入っているのですが、そちらは以前ご紹介済みなんです。

神奈川県立図書館所蔵CD:モダン演奏のモーツァルトピアノ協奏曲〜ブレンデルホロヴィッツ
http://yaplog.jp/yk6974/archive/446

で、なぜその時この演奏を採り上げなかったか、上記エントリではっきりと説明しております。

「なぜブレンデルで来たのにホロヴィッツが出てくるのか説明しましょう。もちろん、ブレンデルでほしかったのですが・・・・・・

パッケージには「一部音飛びがします」と書かれてあったのです、第23番で。残念です・・・・・ブレンデルカデンツァが聴きたかったのに・・・・・・」

と言うわけです。しかし、実は借りてきたとき、ディスクに特に傷がないことを確認済みだったのです。しかも、以前のNECのPCの時代です。そのせいもあるのかもと、内心思っていました。

で、新しくフロンティア(これも今では古くなったんですが)に代わったので、試しで借りてリッピングしてみようと思い立ち、でもなかなか踏ん切りがつかず、ようやく再度借りてきたのがこの音源でした。なお、この音源は小学館の「モーツァルト全集」の中からのものです。

今では、小学館の全集でしか、マリナー指揮アカデミー・オブ・ザ・聖マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏なんて手に入れることは難しくなりましたからねえ。もし可能なのであれば、リッピングしておきたいって思ったわけなのです。

と言うのも、ブレンデルの演奏の魅力を、上記エントリで私はこう述べており、それは今でもブレンデルのピアノを聴くときの楽しみになっています。

モーツァルトのピアノ協奏曲は第20番から第25番まではカデンツァが残されていません。モーツァルトもピアニストでしたから、実は第5番から第19番まではモーツァルト作曲のカデンツァが残されているのですが・・・・・

ですから、第20番から第25番までは、当然ピアニストがカデンツァを「作曲」しなければいけないのです。せっかくブレンデルで統一しようとしていたわけですから、ここまで来たら全部ブレンデルで聴きたかったのですが・・・・・・」

そこで、当時はホロヴィッツの演奏で代替えしたのでしたが、再び第23番で聴き比べをすることになるこの試みは、素晴らしいギフトを私にくれたのでした。

まず、結論を申し上げますと、「意外と、ホロヴィッツのほうがよかった」なんです。一つこの演奏で気になったのは、テンポでした。ホロヴィッツのではかなり快速で通りぬけていくにも関わらず、豊潤なアンサンブルと高い芸術性を楽しめることができました。で、このブレンデルのもそれはそれでいいのですが、いまいち乗り切れないんです、わたし自身が。

余りにも、ホロヴィッツの演奏がよかったために、それが強い印象として残っているんですよねえ。それでも、世の中には凌駕する演奏と言うものはあるはずで、ブレンデルに期待したのですが、いまいちだったと言うわけです。

カデンツァも素晴らしんですよ。でも、ホロヴィッツのもけっこういいんですよ。共に第1楽章の旋律からテーマを取り、展開していくのですが、モーツァルトの晩年のピアノ協奏曲が持つ転調の素晴らしさによる陰影のコントラストのみごとさは、ホロヴィッツのほうがよりよかったんです。

ブレンデルカデンツァは定評があるだけに、期待値も大きかったんですが、遂にホロヴィッツを凌駕することは今でもありません。こんなこともあるのね〜って思います。かといって、私はブレンデルの演奏がダメと言いたいわけではなくて、第3楽章のノリにノッている演奏は非常に緊張感と安定感のバランスに優れ、私たちをワクワクさせてくれます。ですから、指揮者とのテンポ設定ミスかなあって思います。それ次第ではまだまた変ったかもしれません。

アカデミーの室内オケと、ブレンデルのモダンピアノとのバランスは絶妙ですし、その意味では、私が常に指摘する、ともすれば現代はモーツァルトを演奏するには編成が大きすぎるという点を、見事に証明してくれてもいる、素晴らしい演奏なのです。単にホロヴィッツと比べればというだけであって、本来はどちらも素晴らしい演奏です。ただ、全体的により生命力があるのは残念ながらホロヴィッツであった、ということが証明もされてしまった、と言うわけです。

全体的には受け入れることができる演奏ですが、よりどちらが好きかと問われれば、第23番においてはホロヴィッツですね。でも、収穫もたくさんある演奏でもあり、その収穫こそ、私にとっては素晴らしい「ギフト」だったのです。




聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482
ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
サー・ネヴィル・マリナー指揮
聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー(アカデミー室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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