かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:流浪の民〜シューマン 合唱曲集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はシューマンの合唱作品集を取り上げます。ホルストノイマン指揮、ライプツィヒ放送合唱団・交響楽団の演奏です。

合唱曲と言えば、作曲家として誰を思い浮かべますか?と今時のクラシック・ファンに問うても、すぐに複数は出てこないでしょうし、出てくることすらないかもしれません。でも、今年齢が60歳以上くらいの人であれば、ブラームスシューマンブルックナーと、それはホイホイと出て来るもんなんです。

これが世代の差なのかもしれませんが、私は意図的にこのようにされたと思っていますので、少しさみしいです(なんで意図的と言うかは、ながーくなりますので、他の機会に譲ります)。

合唱曲、と言うよりもクラシック音楽自体の歴史を俯瞰するとき、シューマンの存在は実は本当に大きいのです。もっと言ってしまえば、前期ロマン派の2人、シューマンメンデルスゾーン、そして後期ロマン派のブラームスブルックナー、この4人はその時代を代表するような合唱曲を書いているんです。

その中で、実はこのブログではシューマンだけはあまりご紹介していませんが、宗教曲ですでに取り上げてはいます。その時にも付言していますが、シューマンはそれまでの合唱曲をさらに進化させた、音楽史上重要な作曲家です。

例えば、このアルバムの第1曲目である「流浪の民」。いちおう、ウィキによる説明はこんな感じです。

流浪の民
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E6%B5%AA%E3%81%AE%E6%B0%91

元々歌曲なのですが、シューマン自身の手で合唱曲へと編曲されています。この作品が生まれた時期は「歌曲の年」。優れた歌曲が数多く生み出された年ですが、歌曲として優れたものは、合唱曲としても優れていると言えるかもしれません。

日本ではこの合唱版で有名な作品です。でも、もっと重要なのは、この流浪の民のみならず、特にこのアルバムに収録された作品は、どれも幾つかの組曲となっているんです。

つまり、それだけシューマンは声楽曲の中で、歌曲と合唱曲のヴォリュームが多いと言えるのです。しかも、世俗曲に優れたものが多く、その代表的な作品が「流浪の民」なのです。

元々、流浪の民自体は、ピアノと四重唱曲なので、そのソリストパートをそのまま合唱団で歌えば、みごとに合唱曲として成立すると言うわけですが、途中ソリストが歌う部分があるのは、元々歌曲であったというなごりです。でも、このようなことをするのは、実は歌曲を多くの人に楽しんでもらおうという趣旨もあるわけです。モーツァルトが自身のピアノ協奏曲をピアノ四重奏曲に編曲したように。

シューマンも同じなのですね。ですから、このアルバムでも伴奏はピアノだけ、です。一定の年齢層の人にとっては、懐かしい編成だと思います。とはいえ、この曲、オケ伴奏でも味わいあるんですよ〜。まあ、なかなか録音はないですけどね。

フルオケのモテット以外は殆どピアノ伴奏で、モテット以外でピアノ以外であるのは、トロンボーン木管楽器を使っているのだけではないでしょうか。これも実は宗教曲からのインスピレーション。その他はアカペラ、です。なかなか、伝統的な編成の作品がずらっと並んでいます。

一つ一つの解説をしていると本当に紙面長くなりますので、後は個別に調べるのがいいと思いますが、いっそCDを借りてブックレットを書き写すほうが早いと思います。私も一応根拠を示すためにネットで調べて、ウィキなどを上げますけれども、けっこうブックレットを書き写しています。最近はそこまでの時間ないんですけどねえ。そこまでの時間が本当に欲しい〜

そこまでやると、図書館って本当に知識の宝庫です。学校に行けない子供たちには、是非とも試してほしいなって思います。東京なら、都立図書館はNGなんですが、小金井市府中市西東京市三鷹市はCDの貸し出しをしています。神奈川県内でも、県立図書館以外では藤沢市が行なっているはずです。是非とも、引きこもってしまった子供たちは、検討してほしいって思います。

演奏は、ライプツィヒ放送合唱団ですから、柔らかさと力づよさが同居する、素晴らしいものです。ppからffまでの表現が自在です。で、じつはこの音源を借りた決め手が、このライプツィヒ放送合唱団であるということに尽きるのです。この合唱団、このブログではもう顔なじみな合唱団ですが、私が触れた最初が、モーツァルトの戴冠ミサだったというのも、何かの縁だと思います。

宗教曲から世俗曲まで自在に表現し、美しいものをしっかりと美しく演奏するっていうのは、はたから見てそれほど当たり前の行為ではありません。人間の声程、環境に左右される「楽器」はないからです。体調にも左右されます。それを見事なアンサンブルにするには、日ごろの練習と、相互のコミュニケーションがうまくいっていないと難しいでしょう。日本のNHKにこのような優れた放送合唱がないことが、ある意味Nコンなどのレヴェル低下をまねているように思えるのですが・・・・・






聴いている音源
ロベルト・シューマン作曲
流浪の民(エマヌエル・ガイベル)
おぼろな光(J.C.フォン・ツェドリッツ)
小舟(ルートヴィヒ・ウーラント)�C大道芸人ヴィリー(ロバート・バーンズ
鍛冶屋(ルートヴィヒ・ウーラント)
ゲンゼブーベンのロマンス(マールブルクによるスペイン語の詩からの独訳)
ボーデン湖(アウグスト・フォン・ブラッテン)
狩人の歌(エドワルト・メーリケ)
おやすみ(フリードリヒ・リュッケルト
草刈人の死(ドイツの民謡)
森で(ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ)
モテット:深い悲しみも絶望しないで(フリードリヒ・リュッケルト
別れに寄せて歌う(E.フォン・フォイステルスレーベン)
ホルストノイマン指揮
ライプツィヒ放送合唱団・交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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