かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:BCJが演奏するバッハのモテット

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は元音源BISの、BCJが演奏するバッハのモテットのアルバムを御紹介します。

BCJが広く日本で受け入れられてきたのかを端的に言えば、オケ付きだからと言うことになるかと思います。勿論、BCJのオケも素晴らしいのですが、合唱が秀逸であるのも魅力で、海外ではむしろその合唱が評価されている部分もあります。

だからこそですが、このバッハのモテットのアルバムは、BISだからこそだとも言えます。果たして、国内盤でバッハのモテットを出そうという決断をしたかと言えば、オケこそクラシックというファンが多いこの国にあっては、難しかったと思います。海外レーベルであるBISだからこそ可能であったと言えます。

そもそも、モテットはヨーロッパのキリスト教宗教音楽において、カトリックプロテスタントを問わず重要な地位を占めてきたジャンルです。

モテット
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88

作品を見れば、カトリックのものもプロテスタントのものもずらりと並んでいることがお分かりかと思います。そのうち、プロテスタントのもので最も有名な作品を生み出したのがバッハだと言えましょう。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧
モテット
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F%E3%81%AE%E4%BD%9C%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7#%E3%83%A2%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88

実はこのアルバムは、バッハのモテット全集となっています。最も有名なのは上記ウィキのページでも検索できるように色が変わっている「イエス、我が喜びよ」BWV227でしょう。

エス、わが喜び
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%80%81%E3%82%8F%E3%81%8C%E5%96%9C%E3%81%B3

ですが、BCJは敢えて、第1曲目には、このブログでもスウェーデン放送合唱団のコンサート評でも取り上げている、「歌え、主に向かいて新しい歌を」BWV225なのです。

音楽雑記帳:スウェーデン放送合唱団コンサートを聴いての雑感
https://yaplog.jp/yk6974/archive/372

スウェーデン放送合唱団は、コンサートの終盤で取り上げたのに対し、BCJは冒頭に持ってきたのです。まるで歌を歌うことを宣言するかのように、序曲として使っているのです。

で、最も有名な「イエス、わが喜び」は中盤と、まるでモテットを序曲に使っているんですよね。このセンス、いいなって思います。その上で、左右各パートがくっきり浮かび上がるんです。このあたりはレコーディング・エンジニアの手腕かも知れませんが、それにしても見事な合唱が繰り広げられます。時に入交り、時にユニゾンする。それが信仰のよろこびと、生きる力が伝わってくるんです。

私は決してキリスト教徒ではありません。むしろ普通の日本人的信仰心であり、八百万の神と仏を拝む神仏習合的な信仰です。その私をもって、感動と生きる力をもらえる演奏なんです。人間の「声」が如何に力を持っているか。まざまざと見せつけられる演奏なんです。

美しい演奏なら、本場ヨーロッパならBCJ並みかそれ以上の団体など佃煮にできるほどあります。しかしそこに生命力とその讃歌、同じ人間としての信仰のよろこびはあるでしょうか。このBCJの演奏はそのどれもを備えるんです。ここにBCJの演奏の素晴らしさはあります。特に前回のロ短調ミサよりもはっきりとこのモテットのほうがカンタービレしており、その分ひしひしと伝わってくるのかなって思います。

そしてもう一つ、そもそもBCJは日本人だけじゃないんですよね。オケはほとんどが日本人なのですが、合唱はソリストも加わることから国際色豊かなんです。私はBCJの魅力はそこにあるって思っています。確かに立ち上げ当初は日本人によるバロック、特にバッハ作品を中心とした演奏を目指したからこそ、「バッハ・コレギウム・ジャパン」という名称になったわけですが、今ではその日本人たちの中に普通に海外のソリストたちが入り、演奏を繰り広げるのです。それは今までの日本人だけ以上の素晴らしい演奏となって反映されており、この演奏でも魅力的な部分です。

どうもBCJ好きな人たちに、多少国粋主義的な人たちも散見されるんですが・・・・・できれば、今では国際色豊かな部分も評価してほしいなって思います。日本人を「中心とした」バッハ作品演奏団体ととらえてあげるほうが、私は正鵠を得ているように思います。音楽に国境はないんだ・・・・・彼等のそんなメッセージすら、私には伝わってきます。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
歌え、主に向かいて新しい歌を BWV225
来たれ、イエスよ、来たれ BWV229
エス、わが喜びよ BWV227
主を讃えよ、すべての異邦人よ BWV230
恐れるな、私はあなたと共にいる BWV228
あなたを離しません、私を祝福してくださらなければ BWV Anh.159
御霊は我らの弱さを支え助け給う BWV226
おおイエス・キリスト、わが命の光よ BWV118第2稿
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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