かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:「第九」カラオケ&合唱パート別レッスン

今回のマイ・コレは、ベートーヴェン「第九」のパート別レッスン用のカラオケCDです。

これを買いましたのは、もちろん第九のレッスン用であったわけなんですが、当時合唱団でいろいろ探してきて団内でこれ使って!ということをやっていたということもあります。このあたりから、私はだんだん団の運営にかかわるようになっていました。そういう自らの「地位」というものが買わせた一枚です。

しかし、評価は当時から実は低い一枚です。それは、第九を歌ってみないと理解できないかもしれませんが・・・・・

まず、各パートが完全に独立していません。それぞれのパート別にトラックが振られていますが、実際聴きますとわかりますが、他のパートの音もしっかりと聞こえてきます。つまり、音取用としてはあまり適していません。その次の段階である、ほかのパートとのかかわりという点で優れています。

ですから、当時から私は「このCDは初心者にはお勧めできない」と断言し、当時すでに出ていたカセットのほうを薦めていましたし、実は私もそれで練習したのです。

ショパン社:ひとりで練習ができる 歓喜の歌パート別練習用テープ ソプラノ アルト テノール バス
http://www.chopin.co.jp/vew.cgi?num=167&ptn=

今では、そのCD版も出ています。
http://www.chopin.co.jp/vew.cgi?num=166&ptn=

こちらのほうが、各パートが完全にセパレートになっていて、音取用としては格段に優れています。合唱全般そうなのですが、いちばん大変なのは音取りなのです。アマチュア合唱団に参加している人たちには、楽譜が読めない人も多いのです。必ずしも譜読みができる人たちばかりではありません。少なくとも、このCDはそういった人たちに向けて作っているわけではありません。

さらに、各パートを詳しく見ていきますと、まずアルトパートでは二重フーガで歌いかたに間違いが。第675小節と第676小節の"Wir betreten"の部分があいまいです。ここはしっかりと歌ってほしいのです。アマチュアのアルトの方が一番苦しむ場所なのです。私も練習時ここで躓いて練習が遅れに遅れたという経験は二度や三度ではありません。必ずと言っていいでしょう。このことからして、音取り重視ではありません。

テノールパートでは、ナポレオンマーチと言われる男声合唱(第410小節から第431小節)が独立していません。どういう意味かといいますと、テノールパートはここでトップとセカンドの二部に分かれるのです。つまり、合唱は声部としてはここは三部になっているのです。あまりこの点のアンサンブルに触れている批評がないのでスルーされがちなんですが、まさかそれを見越していい加減に作っているなんてことはないと思いますが(単に編集方針だと信じたいところです)。ここも音取り重視とは言い難い点です。

しかし、皆様は疑問をお持ちでしょう。ではなぜ、あなたはこのCDを持ち続けているのかと。その理由は、むしろ最初に収録されているカラオケの部分にあります。

カラオケ部分は尾高忠明指揮、東京フィルハーモニー交響楽団と、実は素晴らしいコンビなのです。つまり、「もし合唱部分がなければ、こういうことになっているよ」というのが一目瞭然なのです。仮に楽譜が読めなくても、此れなら第九の構造を理解することが出来ます。

例えば、通常合唱にかき消されて批評も少なくなる練習番号M(第543小節から第594小節)ですが、ここは合唱が付点4分音符でとうとうと歌っていますが一方でオケは8分音符で目まぐるしく動き回っています。そういった第九の構造がとても分かり易いのです。

ですから、私は合唱団時代こういっていました。

「まず、ショパン社のもので音取りして、その後このCDで構造を学んでください」

これは、今でもそう思っていますし、このブログを読んでくださっている方、そしてそれ以外のすべての第九が好きな人たちにも、この言葉を贈りたいと思います。



聴いているCD
「第九」カラオケ&合唱パート別レッスン(監修:小松一彦)
豊田喜代美(ソプラノ)
大藤裕子(アルト)
小林一男(テノール
勝部太(バリトン
二期会合唱団(パート別部分)
尾高忠明指揮
東京フィル・ハーモニー交響楽団
(ソニークラシカル SRCR 8570)



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村