神奈川県立図書館所蔵CD、今回もモーツァルト全集から宗教音楽のものを取り上げます。今回はその第9集です。ここまではミサ曲が来ましたから・・・・・レクイエムです。
指揮はペーター・シュライヤー。オケはシュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)で、合唱団はライプツィヒ放送合唱団です。ソリストはバスのテオ・アダムをはじめ、実力者ぞろいです。
実はこの指揮者とオケの組合わせ、マイ・コレで戴冠ミサの時にご紹介しています。
マイ・コレクション:シュライアーの「戴冠ミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/452
その時ほど八分音符が跳ねているわけではありません。さすがにレクイエムですから・・・・・でも、生き生きとしたオケの動きや、合唱団の力強くドラマティックな表現力は全く同じであり、さらに、宗教曲としての特色が出ているのがオルガンの音がしっかりと聞き取れるという点で、聴いたときに、あの時これが店頭にあったらならなあと思ったものです。
あの時とは、カラヤンのを買った時です。これも一緒に並んでいたのを確認しているんです。しかし選んだのはカラヤンでした。どう考えても、名前からはカラヤンを選びますよね・・・・・
ところが、戴冠ミサの演奏を聴いて、これはレクイエムも聴きたい!と思ったのも後の祭り・・・・・いつまでたっても店頭には並ばずじまいだったのです。
それが、10数年たって、神奈川県立図書館で見つけるとは・・・・・こんな発見が、図書館では結構あるものなのです。
ただですねえ、この演奏、一つだけ、たった一つだけ、不満があるのです。それは、発声に「H」が入ってしまうことなんです。サンクトゥスとベネディクトゥスの「オザンナ」の部分で、音が上下するところで男声だけ「H」が入ってしまうんですね><
そんなこと、どうでもいいでしょ?と思うかもしれません。では、たとえばオケを聴いていて、その音がなだらかでなかったら、しかも他のパートはなだらかなのに、例えばヴァイオリンだけなだらかでなかったら、いったいどんな演奏になってしまいます?それと一緒なのです。
女声はきちんとできているのに・・・・・なぜかはわかりませんが、おそらくは音が高いということが原因ではないかと思います。特に顕著なのがテノールなので。
テノールができていない理由は、ある程度推測できます。オザンナの歌いだしはとても高いのです。そこで「歌う体制」がきちんとできていないというのが、主な原因でしょう。これはプロとしてはちょっと残念だと思います。アマチュアであればそれは仕方ない部分もありますが、プロであれば何とかしてほしいと思います。
こういったことを避けるためには、他のパートが先行して歌っている時に拍子を数えるという手があります。それによってどこで歌う体制を整え、息を吸い始めるかを楽譜に記載し、それが実現できるまで練習するという方法があります。
特に、アマチュア合唱団の方々には、この方法をお奨めします。特にレクイエムの該当部分は、わたしも2度歌いましたが本当に難しいです(その前のオフェルトリウムもですが)。うまく歌うためには、どこで姿勢を整えて、息を吸い始めるかをパートで確認し、実行することが大切です。そしてそれを練習でしっかりやることです。
そうすれば、「モツレク」は攻略できます。その点でいえば、「反面教師」となるのでこの音源もぜひとも参考にしてほしいと思います。他の発声面では参考にできる点はカラヤンのと同じくらい満載で、私のライブラリの中ではカラヤン/ウィーン・フィルの次に素晴らしい演奏となっています。同じジュスマイヤー版ですし。
そして、実はさらに残念なのは、これを全集に入れるのであれば、戴冠ミサもシュライヤーのにしてほしかったなあと。確かに、ウィーン少年合唱団のも素晴らしいのですけどね^^;
以前も述べましたが、もしかすると、シュライヤーのあの解釈こそ、モーツァルトが作曲した当時の演奏に近いかもしれないのですから・・・・・
面白いですね、旧東側にそういった演奏がモダンで多いというのは。旧西側でも、こういった演奏がどんどん出てきてほしいものです。
聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
レクイエム ニ短調K.626
マーガレット・プライス(ソプラノ)
トゥルデリーゼ・シュミット(アルト)
フランシスコ・アライサ(テノール)
テオ・アダム(バス)
ライプツィヒ放送合唱団
ペーター・シュライヤー指揮
ドレスデン・シュターツカペルレ
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