今月のお買いもの、令和3(2021)年2月に購入したものをご紹介しています。ローレンス・エキルベイが指揮したシリーズの二つ目、モーツァルトの戴冠ミサとヴェスペレを主六舌アルバムをご紹介します。e-onkyoネットストアで購入したハイレゾ、flac96kHz/24bitです。
モーツァルトのミサ曲の中で、圧倒的にアルバムになっているのがK.317「戴冠ミサ」だと思います。そしてそのカップリングとして採用される率が高いのがヴェスペレK.339。そしてこれは私が一番最初にであったモーツァルトの宗教曲でもあります。その時はシュライアー指揮シュターツカペレ・ドレスデンという、モダンオケ。今回は古楽インスラ・オーケストラ。
前回のベートーヴェンと、オケ、合唱団おなじ組み合わせで、モーツァルトを演奏してみるというのも面白いですし、生命の発露が感じられるのも同様ですが、それでもどこか宗教曲ということで構えてしまっている部分もあります。その点はマイナスかも。ベートーヴェンの三重協奏曲で感じたワクワク感、あるいはゾクゾクするという感じは少ないのが残念です。
ただ、途中途中、シュライアーのような解釈も見受けられ、エキルベイが目指す方向性を感じますし、その方向性は正しいのではないかと思います。特にそれを感じるのがヴェスペレ。これは私が今まで聴いた中でもシュライアーのと双璧を成すものと感じています。古楽ですから、それくらいのものになってもおかしくないんですけどね。テンポだとか、弓をどう使うかだとかはそれくらい重要なことなんです。
そのベースがあって、本来は例えばクルレンツィスのように立たせて演奏させるとかあると、表現としてより優れたものになり、魂を震わせるものになるのですが、どうもクルレンツィスは体さえ動かせばいいという感じになってしまっている感があり、共感できません。その点、エキルベイはマイナス面があったとしても、聴けば聴くほどわかってくる点もあり、共感できる点が多くなります。プロならこういう演奏をしてほしいなと思います。ハイレゾであったとしてもアマオケ程度の金取るわけですからね。
こういう、「真に音楽をわかった」演奏こそプロです。音楽の三要素を踏まえたうえで、ともすれば宗教曲という範疇から外れてみるという冒険をしたエキルベイとオケ、合唱団は高く評価したいと思います。そしてその演奏が、私の魂に共感を生み出したことへの感謝の念は、おそらく絶えることがないでしょう。
聴いているハイレゾ
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
ミサ曲第15番ハ長調K.317「戴冠ミサ」
ヴェスペレK.339
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)
レナータ・ポクピック(アルト)
ベンヤミン・ブルンス(テノール)
アンドレアス・ヴォルフ(バス)
アクサンチュス(合唱団)
ローレンス・エキルベイ指揮
インスラ・オーケストラ
(エラート 9029587253)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。