かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ローレンス・エキルベイが振る①ベートーヴェンの二つの「キワモノ」

今月のお買いもの、令和3年2月に購入したものをご紹介します。今回は指揮者ローレンス・エキルベイが指揮した二つの音源をシリーズで取り上げる第1集として、ベートーヴェンの合唱幻想曲とヴァイオリンとチェロ、ピアノと管弦楽のための協奏曲が収録されたアルバムをご紹介します。e-onkyoネットストアにて購入しました、ハイレゾ192kHz/24bitです。

この人、フランスだったと思うので、正確にはロレンス・エキルベイと記載するほうが正確かもしれません。ただ、ネットでは「ローレンス」で記載されていることが多いようなので、今回はそれに従いました。というのも、出身はシュヴァルツバルト、つまりドイツ、なんですね。ただ、現在活動の拠点としているのはフランスです。

https://jp.france.fr/ja/paris/article/146559

なぜ、このアルバムを購入したかと言えば、ベートーヴェン・イヤーの延長線であることと、指揮者エキルベイは女性である、ということがありました。私のライブラリの中でも、確か女性は一人しかいなかったはずですし、その点でも、ぜひとも興味がわいたところでした。

こう、彼女のルーツを紐解くと、多様性の塊のような人間なんだな、という気がします。なるほど、今回のアルバムはそんな彼女の「多様性」が反映されたアルバムなのだな、という気がしてきます。なぜなら、収録されている作品は界隈では「キワモノ」扱いされている、ベートーヴェンの合唱幻想曲といわゆる「三重協奏曲」ですから。

この二つ、いわゆる駄作と言われることが多いのですよねえ。特に、三重協奏曲は・・・・・けれども、三重協奏曲はかつて、カラヤンがスーパースターたちをソリストに迎えて収録した作品でもあるのですよね。そもそも、ベートーヴェンはピアノはルドルフ大公を念頭に置いて作曲したとも言われています。ただ、その分優しくなっているということで駄作とされていると言われていますが・・・・・

この二つは、一応作品番号がついているんですよね、マヂで。しかも、合唱幻想曲は初演時メインで演奏された曲です(ちなみに、前座が交響曲第5番と第6番ですよ!)。ベートーヴェンがどれだけ熱を入れていたか、です。三重協奏曲も、それほど簡単ではないです、ピアノパートは。

それがこの演奏、ハイレゾだからこそ解像度が高いためはっきりと聞き取ることができます。しかも、演奏は一見すると古楽なのでさっさと行っているように見えるのですが、合唱幻想曲の冒頭ピアノはどっしりしていて、情熱的。聴き手の魂をつかみます。そしてのびやかで力強い合唱。三重協奏曲は冒頭リズム感抜群で、ワクワクします。どこが駄作なの?と言いたげです。そして二つとも徹頭徹尾リズム感にあふれ、生命の躍動を感じざるを得ません。ああ、生きているって、いいよね!と。

この生きづらさを感じる世の中において、「ねえ、生きているって、いいでしょ?」と寄り添ってくれる演奏はありません。クルレンツィスなど比べようもありません。自身が多様性をもつエキルベイだからこその、明快な「生命讃歌」という解釈だと感じるのです。ああ、聴いていてこれほどの幸せはありません。私自身、結構自殺念慮などもありますので・・・・・死んじゃいけないよ、一緒に生きようよ、と言ってくれているようで、下手すれば涙すら出てきます。ありがとう、エキルベイ・・・・・

二人のピアニストもまた、ともにピアノを歌わせており、古楽につきものの「快速」さは聴けば聴くほど影を潜め、むしろその快速さは生命讃歌を引き立てるものであると認識するかと思います。ぜひとも何度も聴いてみてほしい演奏です。聴けば聴くほど、「うん、一緒に生きようね!」と思うのです。

 


聴いているハイレゾ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
合唱幻想曲作品80①
ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重協奏曲ハ長調作品56②
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ:1)
アナイック・モレル(メゾ・ソプラノ:1)
スタニスラス・ドゥ・バルビラック(テノール:1)
ロリアン・センペイ(バリトン:1)
アクサンチュス(合唱:1)
ベルトラン・シャマユ(1892年製プレイエル;1)
アレクサンドラ・コヌノヴァ(ヴァイオリン:2)
ナタリー・クライン(チェロ:2)
ダヴィッド・カドゥシュ(1892年製プレイエル;2)
ローレンス・エキルベイ指揮
インスラ・オーケストラ(ピリオド楽器オーケストラ)
(エラート 190295505738 flac 192kHz/24bit)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。