東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリである、デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるシューベルトの交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第3集です。
第3集には、交響曲第5番と6番が収録されています。必ずしも番号順ではないこの全集において、ここは番号順になっているのが第3集です。どちらも魅力的な作品ですが、この二つを魅力的に、ワクワクするような演奏をしてくれています。
どんなジャンルでもそうだと思いますが、冒頭を聴いてワクワクする音楽というのは、楽しいものです。クラシックはさらに、そこに魂で共感するか?という側面があるだけ、です(ですが、そこが重要だったりはします)。
ですから、たとえば、第1楽章第1主題を聴いて、ワクワクするか、というのはとても重要だと思うわけなのです。そしてそのワクワク感のためには、やはりある一定のテンポ感というものが必要だと思うんです。多ジャンルでいうグルーヴ感、です。
その「グルーヴ感」が、このデイヴィスとシュターツカペレ・ドレスデンでも十分に感じられます。そのうえで、デイヴィスの歌わせるタクト、それが生み出す爽快感と疾走感。なんという快感!
ロマン派という音楽運動が、「形を大切にしつつもそれにとらわれず自分の意思を全面に出していく音楽運動」であると考えたとき、まさにシューベルトの歌曲的という特徴はロマン派ならではだと言えるでしょう。そしてそのシューベルト作品の特徴が生み出すグルーヴ感。いやあ、素晴らしいの一言です!
シューベルトの「歌曲的」というものを好むと好まざると自由だと思いますが、嫌いな人は、おそらく、ロマン派という音楽運動が何たるか、理解していない人なんだろうと思います。そういう人がブルックナーとか好きと言っているのを見ると、余計ロマン派という音楽運動は、我が国においては正確に理解されていないなと思います。私にとっては、どちらも素晴らしいロマン派のシンフォニストであり、作品群だと思っているのですが・・・・・
シューベルトの交響曲において、円熟期に差し掛かりつつあるこの二つの作品を、グルーヴ感を大切にして演奏しているこの録音は、二つの境界線がそれぞれリスペクトした結果生み出された、奇跡のように思います。
聴いている音源
フランツ・シューベルト作曲
交響曲第5番変ロ長調D.485
交響曲第6番ハ長調D.589
サー・コリン・デイヴィス指揮
ドレスデン・シュータツカペレ
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。