かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:デイヴィスとシュターツカペレ・ドレスデンによるシューベルト交響曲全集4

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリである、サー・コリン・デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるシューベルト交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第4集です。

最後の第4集には、第9番「グレイト」が収録されています。シューベルト交響曲の中で最も演奏時間の長い作品である第9番。「グレイト」というのは「大きな」という意味。それを「偉大な」とか勝手に定義づけているのは私たち聴衆で、作曲者はそんな気はさらさらないんですよね。確かに、偉大なベートーヴェンは意識していたでしょうが・・・・・

どこか人懐っこいこの作品を、どっしりとしつつも、躍動感ある演奏に仕上げているのはさすがデイヴィスだなあと思います。メリハリがついているんですよね、この演奏。だからこそ、聴いていて人の血が通っているように受け取れるんです。それがいいです、ほんと。

むしろ、そういった「人間的」な部分こそ、シューベルト交響曲の魅力だと思います。この演奏は見事にその「人間性」を引き出していると言えるのではないでしょうか。

ここまで全部聞いてきて、この全集の特徴は、一言で言えば「躍動感による生命讃歌」だと言えるでしょう。速めのテンポになろうと、どっしりしていようと、躍動感を感じる演奏であることが途切れたことはありません。生きていることの喜びが演奏から随所に伝わってくるこの全集、原稿を書くために聴きながら、生きているって素晴らしいなと思う演奏でした。

こういう演奏は簡単な様で簡単ではありませんが、シューベルト交響曲は比較的しやすい作品だともいえるのではないでしょうか。その意味では、シューベルト交響曲とは、実にそれぞれが優れた芸術作品であり、完成度も高い作品なのではないかと思います。その評価は我が国では薄い気がします。その意味では、この演奏はその日本での評価に対し、異議を申し立てる「匕首(あいくち)」だともいえるのかもしれません。

 


聴いている音源
フランツ・シューベルト作曲
交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレイト」
サー・コリン・デイヴィス指揮
ドレスデン・シュータツカペレ

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