東京の図書館から、今回から4回シリーズで、小金井市立図書館のライブラリである、サー・コリン・デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレによるシューベルトの交響曲全集を取り上げます。
西側の指揮者と東側のオケという、一時期はやった組み合わせですが、このシューベルトでもそんな組み合わせを見つけたので、興味をもって借りてきたのがこの全集でした。
すでに、CDでもリンピングファイルでも、それぞれ一つずつ全集を保有していた、シューベルトの交響曲全集。しかし、さらにもう一つくらいはもっていてもいいんじゃないかと思い、借りたのがこのデイヴィス/ドレスデン・シュターツカペレのコンビでした。
さらに、今回は使うプレーヤーをMusic Center for PCに戻しました。確かにHi-Res Audio Playerは便利なんですが、どうも設定がことなるような気がしたんです。基本的に、Music Center for PCのほうがクラシックとの相性がいいなあと思います。しかも、半自動であるゆえに余計な機能がなくすっきりしている分、音質がいいように思うのです。CDが聴けないのは残念ですけれど、しかもアップスケーリングで。
そのあたりは今度別途エントリを立てることにして、さて、この演奏、実にステディで、そして情熱的でもあります。ドレスデン・シュターツカペレという、歌劇場オケの面目躍如と言ったところです。歌う歌う!
シューベルトの交響曲は歌曲的だとよく批判されますが、ゆえに豊潤なサウンドが楽しめて、かつオケの歌いようを楽しむことができるのもシューベルトの交響曲の特徴ですが、まさにドレスデン・シュターツカペレというオケにぴったりな作品たちだとも言えるでしょう。これもまた、クラシック音楽の楽しみです。
ですので、私はシューベルトの交響曲が嫌になったことがありません。確かに、マーラーだとかブルックナーのような、重厚なものがお好きな人からすれば、軽薄なのかもしれません。しかし、マーラーはかなり作品が歌っているものが多いことはあまり知られていないなあと思います。それはもしかすると、シューベルトが念頭にあった可能性だって否定できないんですけれど・・・・・
そんなこともあり、ここに収録されている初期の作品二つと、充実した時期に書かれた「未完成交響曲」の3曲は、精彩を放ち、その演奏も実に歌謡的で、かつ魅力的。むしろ、ベートーヴェンの魂を前期ロマン派に落としこんだのは、弟子のリースではなく間違いなくシューベルトであると言えるでしょう。この3曲からは、前期ロマン派という音楽運動がなんであったかを、如実に表していると同時に、その運動への最大のリスペクトを演奏から感じます。
さらに、指揮者がデイヴィスということも、この演奏が魅力的であることの一助となっているでしょう。デイヴィスと言えば、オケをステディに鳴らす共に、歌わせることで有名です。まさに素晴らしいオケを伴侶に得て、シューベルトの作品が持つ精神世界を、存分に表現しているように思います。
聴いている音源
フランツ・シューベルト作曲
交響曲第1番ニ長調D.82
交響曲第3番ニ長調D.200
交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」
サー・コリン・デイヴィス指揮
ドレスデン・シュータツカペレ
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。