かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:フィルハーモニック・コーラス 第6回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回はこのブログでも何度か取り上げております、アマチュア合唱団、フィルハーモニック・コーラスの第6回演奏会を採り上げます。

兎に角、私はこれより素晴らしい合唱団を辻先生あたりの団体以外に知りません。それだけ、アンサンブルは申し分ない、実力を持った合唱団です。

とは言え、あの時のチャペルコンサートを思いだせば、隔世の感があります・・・・・

コンサート雑感:フィルハーモニック・コーラス チャペルコンサートを聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1062

でも、この時に、今回のコンサートの結果を予感させるものはたくさんありました。だからこそ、私はこのように述べました。

「まるでプロ?と聴き手を驚かす団体になると確信しています。」

回を重ねるたびにその要素はどんどん強くなっていきました。ただ、そのたびに問題になったのが、ppとffの差が小さく、pとfになっている、という点でした。言い換えれば、pとfはしっかりと謳い切れていると言うことになります。

コンサート雑感:フィルハーモニック・コーラス第4回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1228

この第4回では、だいぶ解消されており、もう少しってところまで行っていました。

コンサート雑感:フィルハーモニックコーラス 10周年記念第5回演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1407

この第5回の第九では、申し分ないレヴェルまで到達していましたが、やはりppとffの差と言うのが課題になっていました。

今回、それが全く問題なかったんです・・・・・

プログラムは、1プロがベートーヴェンの「合唱幻想曲」、そしてメインがメンデルスゾーン交響曲第2番「賛歌」でした。

どちらもこのブログで一度取り上げたことのある作品ですから、詳しい説明は省きますが、ベートーヴェンはあまりppとffの差がないので楽だったと思いますが、それでも発声が全開で、いやあ、飛ばしているなあ、そんなに飛ばして大丈夫なのかって思ったのですが、メンデルスゾーンでは、飛ばすどころか、課題が完璧だったんですから・・・・・驚きました。

神様は、この演奏までたどり着くために、今までの演奏会と言う機会を与えたもうたのだろうなと思います。作品によって力の入れ具合までコントロールするなんて、正に私が最初に言った通り、「まるでプロ?と聴き手を驚かす団体にな」ったわけ、です。これは本当にうれしかったです。

特にメンデルスゾーンが素晴らしかったです。ベートーヴェンは、フィルハーモニック・コーラスさんであれば十分歌いきれる作品ですからあまり驚きませんが、その力強い芸術の賛美である合唱幻想曲でも、発声の軽さは徹底されており、どこも余分な力が入っていないんですよね。だからしっかりと声が届くんです。

私が今回座ったのは、何と3階席の真ん前。ベートーヴェンでは舞台から見てど真ん中から一つ右、そしてメンデルスゾーンではど真ん中で座っていました。そこまで、力強い発声がしっかり届いていたのだけはなく、課題が解消されており、しっかりとppとffの差がついていたことが、本当に素晴らしかった!

だからこそ、ベートーヴェンでも、メンデルスゾーンでも、力強い中にしなやかさがあるため、力強い中に柔らかさが音にあり、それが表現力として説得力を持ち、作品が意図することを訴えかけるわけです。特にメンデルスゾーンは必ずしも力強い旋律だけはなく、神を賛美するためにいくつもの美しい旋律が使用されているため、力強いだけではまったく意図が伝わらず、単に勢いだけで歌ってしまいましたと言うことになりかねないのに、それが一切ないんです。

故に、演奏から喜びが伝わってきますし、それが「賛歌」という作品の本質を語るんですね。ゆったりめのテンポを河地先生が採用していましたが、微妙にテンポの揺れもあり、生命力がある演奏に仕上がっていたのもよかったです。

オケは、ヴァイオリンが両翼配置になっているにも関わらず、本当に素晴らしいアンサンブルでした。その上で、生の演奏を聴く醍醐味を楽しませてくれました。合唱幻想曲はよく、ピアノ協奏曲に合唱が付いたって言われるんですが、私はすこし異なる印象を受けたんです。合唱が入る前までは、ベートーヴェンがそれまで作曲してきたあらゆるジャンル、ピアノ・ソナタ、ピアノ協奏曲、交響曲弦楽四重奏曲などが再現され、声楽が入るとまず重唱が奏され、最後に合唱、つまりミサ曲が入ってくるという構造になっていることに気が付いたんです。

勿論、これは音楽をよーく聴けばわかることでもあります。しかし、弦楽四重奏はすこしわかりづらい。実際は四重奏とは言え、楽器は二つなんですから。だからわかりづらいんですね。

でも、歌詞を見れば、混声四部になるところで、芸術への讃美は最大になるんですね。よく考えられているなあって思いました。また、メンデルスゾーンの「賛歌」は、続いている曲がありますが、それは関係性があるから、なんですね。しっかりと塊になっているんです。だからこそ、「夜は明けた」というところでは、私は泣いてしまいました・・・・・それと、「心と口と手をもって、神に感謝せよ」の部分でも涙腺緩みっぱなし・・・・・美しいのなんのって。それがしっかりと喜びになっている。もうこの演奏は名演だといっていいとおもいます。対向配置なんて全く気にならないと言うか、それがむしろしっくりくると言う感じです。とても自然!

遂に、フィルハーモニック・コーラスさんは、芸術の高みへと登ったと思います。でも、それは毎回チャレンジ精神があればこそ、だと思います。次回の作品が何かはまだ発表有りませんが、是非ともまた素晴らしい演奏を期待したいと思います。できる限り、日程を調整して、聴きに行きたいなあって思います。今回、あまり触れていませんがピアニストもしなやかかつ力強いタッチで素晴らしかったですし、ソリストもさすが澤畑女史が出ているだけあって、しっかりと合唱団と共に力強さと柔らかさが表現されており、これ以上の演奏をどう臨もうかと言うレヴェルでした。




聴いてきたコンサート
フィルハーモニック・コーラス 第6回演奏会
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
合唱幻想曲 作品80
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲
交響曲第2番「賛歌」作品52
澤畑恵美(ソプラノ、賛歌)
盛田麻央(ソプラノ、合唱幻想曲1、賛歌2)
佐々木麻子(ソプラノ、合唱幻想曲2)
鈴木夏季(アルト、合唱幻想曲)
小堀勇介(テノール、合唱幻想曲2、賛歌)
高柳圭(テノール、合唱幻想曲1)
��田智士(バス、合唱幻想曲)
長瀬賢弘(ピアノ、合唱幻想曲)
鈴木啓太(オルガン、賛歌)
河地良智指揮
日ノ出フィルハーモニー管弦楽団
フィルハーモニック・コーラス

平成29(2017)年9月18日、埼玉川口、川口総合文化センター リリア メインホール




地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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