東京の図書館から、今回から3回シリーズで、府中市立図書館のライブラリである、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲全集を取り上げます。まずは第1回目、第1集を取り上げます。収録曲は交響曲第1番です。
ブラームスの交響曲はもうこすり倒すくらい取り上げていますが、今回はサイモン・ラトルがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したものです。ちょうどラトルがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めていた2009年に収録されています。
ラトルと言えば、ベートーヴェンの交響曲全集では、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と生命力あふれた演奏を繰り広げました。こんどはブラームスの交響曲全集をベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とだとどんな感じになるのか楽しみで借りました。
この第1集は第1番のみの収録ですが、アプローチはきわめてオーソドックス。奇をてらうようなこともなく、保守的なスタイル。ですが細かいアーティキュレーションがついているのも特徴で、この辺りはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の時のベートーヴェンとなんら変わりありません。
そのうえで、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の硬質なサウンドと相まって、美しい綾を織りなしているのです。いやあ、味わい深い・・・さすがプロですなあ。
テンポもどっしりとしたものですが、生命力を随所に感じます。リズム感がはっきりしているのですね。ゆえにどっしりとしているのにどこか軽やかさすら感じ決して軽薄ではありません。これぞザ・ブラームスと言った感じ。
土臭いとも言われるブラームスが、本当に美しいのです。勿論土臭さも感じますが洗練された印象すらあるのです。テンポ一つでガラリと変わるブラームス。そもそもブラームスは繊細な人でしたがその繊細さが前面に出ているように感じます。この辺りはラトルのスコアリーディングの深さと、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の実力が合いまった結果ですね。
特に圧巻なのがやはり第4楽章。リズムをしっかり感じるので全く長く演奏が感じられませんしむしろ第4楽章でぐいぐい引き込んでいきます。最後のフィナーレも力強くも柔らかく美しい・・・まるでわたしみ(以下自己規制)
ドイツのオーケストラにはドイツの指揮者と言われることもありますが、ブラームスのような作曲家の場合、果たしてドイツだからドイツという単純な思考でいいのだろうかと思うことがあります。勿論ドイツ人の指揮者を否定するわけではないんですが、普遍的な内容を持つ作品を単なる民族主義で矮小化していいのだろうかとも思うのです。その意味ではラトルがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任していた2002年~2018年という間は素晴らしい時間だったと思います。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に確実に新しい風を吹かせたわけで、その風はしっかりとこの演奏でも爽やかに吹き続けていると言えるでしょう。重厚な中に軽やかさも存在して美しさを織りなしている演奏は、やはりスタンダードと言えるものでありましょう。ヴィンタートゥール・ムジークコレギウムやフーチャー・オーケストラ・クラシックスと共に、ブラームスの一面を表わしていると感じています。
聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第1番ハ短調作品68
サイモン・ラトル指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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