神奈川県立図書館のライブラリをご紹介するコーナー、今回は4回シリーズでお届けてしている、アルベニスのピアノ作品集から第2集をとりあげます。
この第2集では、思いっきりスペインの情熱という曲としっとりという感じの曲とが混在しています。それはそれでアルベニスのピアノ作品のまさに「沃野」を意味しているといえるでしょう。
第1曲目の「スペインの歌」。第1曲「プレリュード」はバッハの同じ題名を想像していると、腰抜かされるでしょう。ここぞとばかりスペインの情熱!しかし情熱ばかりではなく、哀愁がこもったまさに「歌」。
第2曲目が「木の下で(ソルツィーコ)」。もう絵画としか言いようがない美しい曲。それはほかでも同様で、以降の曲も本当に魅力的で静的動的のコントラストが見事!
そんな作品たちを、これまた情熱的に弾くのが、このシリーズのピアニスト、上原由記音。特に1曲目は圧巻のクレッシェンド!煽情的ですがしかしそこに知的な視点もあり、私好みです。そもそも、アルベニスを聴く機会が少ない、もっと言えばスペインのピアノ曲を聴く機会が少なかった私にとって、スペイン音楽の魅力を語っているのが上原女史だと言ってもいいくらいです。ほんとに。
とくにアルベニスは、フラメンコからインスピレーションを受けることが多い作曲家で、ここに収録されている作品もいくつかはフラメンコから触発されて作曲されたものです(なので、フラメンコそのものではない)。舞曲のようで舞曲ではないが、しかし魂を揺さぶる作品に身を任せながら、そこに自分の視点を入れていくような感じ。主体的に身をゆだねているというほうがいいのでしょうか。
「ピアノとオーケストラのためのスペイン狂詩曲」ではそもそもオケが必要なのに、ピアノ一台で宇宙をそして世界を奏でるし、もうこれ以上酔うのに何も要りません!酒?私飲めないし飲んじゃいけないので要りません。こんな素敵な音楽があれば十分です。素敵な上原女史に完敗!いや、乾杯!
聴いている音源
イサーク・アルベニス作曲
スペインの歌 T.101
木の下で(ソルツィーコ) T.84
組曲「イベリア」(4巻からなる12の新しい印象)[第1巻] T.105
雄鶏のメヌエット(ソナタ第5番第2楽章) T85-2
ピアノとオーケストラのためのスペイン狂詩曲 T.71
ババーナ(《12の性格的小品》より 第8番) T.86H
上原由記音(ピアノ)
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