かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:アルベニス イベリア全曲

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はアルベニスの「イベリア」全曲を収録したアルバムをご紹介します。

以前、アルベニスのピアノ作品全集は取り上げていますけれど、その時「イベリア」はぶつ切りで収録されていました。今回はその「イベリア」をまとめて聴いてみようと借りたものです。

イベリアという作品をふり返ってみましょう。アルベニス晩年のピアノ曲で、民俗音楽を基礎とした作品です。その意味では、多分に新古典主義音楽だといえるでしょう。

ja.wikipedia.org

まとめて聴いてみますと、風景が浮かぶだけでなく、その風景がカラーなんです。時代的にはようやく写真は白黒がいきわたり始めたという時代において、音楽がカラーを目指したというのは面白いですし、その才能を称賛するしかありません。

最後の第4集を聴いたドビュッシーが舌を巻いたのもうなづけるなあと思います。色彩感というのはある意味特殊なものですが、音楽で見事に表現できる人もそう多くはありません。アルベニスという人の総合的な才能を称賛する以外、どうすべきなのかという想いが私の中にはあります。

それをとにかく素直に楽しむ!色彩感あふれる民俗的な作品は、いわゆる「アガル」音楽だと思います。しかもそれは、強制的にではなく、自然な感じでアガルのがとても気持ちいい!

演奏するのは、岡田博美さん。これもまた私の知らないピアニストなのですが、ロンドンを拠点に活躍する日本人ピアニスト。感情的になりすぎず、しかし情熱的なピアニズムが、この「イベリア」では顕著だと思います。

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時に遠目で、時に近くで、風景を見るような作品の精神を、感情的にならずに情熱的に弾くというのは見事なバランスだと思います。もちろん、完全情熱的に突っ込んでいく演奏も私は好きですが、風景の中にいる自分がいるような感覚になるのは楽しいです。時に表現者であり、時に受け身でもあるのが、風景の中にいる自分というものではないでしょうか。となれば、ピアニストによりそれぞれの曲の表現が変化するのもまた、道理であるといえるでしょう。そしてそれは、アルベニスが目指した精神なのかもしれません。

 


聴いている音源
イサーク・アルベニス作曲
イベリア 全曲
岡田博美(ピアノ)

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