かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:アルベニス ピアノ作品集3

神奈川県立図書館が所蔵するCDをご紹介しているコーナー、シリーズでアルベニスのピアノ作品集をご昇華していますが、今回はその第3集をとりあげます。

この第3集では、情熱という言葉がぴったりな作品が多いように思われます。特に「エスパーニャ」と「イベリア」はその最たるものではないかと思います。

二つとも、風景を切り取っているかのような作品ですし、特に「エスパーニャ」はまさに風景を一つのアルバムとして扱い、その一枚一枚一ページ一ページという位置づけです。

ですが、こういったアルバムをめくるときの私たちって、単に風景が美しいと感じるだけではないですよね?そこには、思い出とかが詰まっていませんか?この「エスパーニャ」もそんな風景を切り取って、そこから湧き上がる情念のようなものが表現されています。

一方で、「秋のワルツ」や「プレガリア(祈り)」などはしっとりとした作品。そこにも、どこかやさしさだとか、繊細さだとかが浮かび上がるのです。こういった様々な側面が楽しめるのが、アルベニスの曲の楽しみだなあと思います。

演奏する上原女史もそのあたりを感じているのか、特に情熱的な曲は情念たっぷりに弾くんですね。まさに「天城越え」。え?わからない?川端康成の小説のほうではなくて、石川さゆりの演歌の方です。

https://www.youtube.com/watch?v=yvc0LadtZUk

この曲を聴いたとき、うわあ、情念の曲だと思いました。まあ、「天城越え」の場合は女性の愛情を描いていますからかなりドロドロですが、そんな強い人間の情念が、「エスパーニャ」にもあるってことなんです。もしかして、上原女史って天城越え好き?なんて思ったりして。

というのも、「天城越え」は発表当時、結構女性に支持された曲なんです。実はわたしの母も生前「天城越え」大好きでした。クラシックが好きなので聴かせてほしい私も、母の「これがいいの!」の鶴の一声でしょうがなく聴いていたのですが、その経験がここで生きるとは思いもよりませんでしたけど・・・・・

一方のしっとり系は、石川さゆりの歌で言えば、「津軽海峡冬景色」って感じ。でもこの二つの石川さゆりの演歌に共通するのは、ドラマです。アルベニスピアノ曲にも、そんなドラマが感じられるものが多いなあと思います。たとえそれがしっとり系であったとしても・・・・・

私と年齢的には近い、ちょっと年上なだけな上原女史。となると、年代的には石川さゆりのファンだとしても、驚きません。私自身、中学生の時の十八番は「氷雨」と「さざんかの宿」というマセガキです。第九ではないんです。まだ第九の歌詞や曲を全部聞く前です。その時代は演歌少年でした・・・・・

ですので、演奏を聴くと、ここは演歌かなあとか、感じてしまう部分もたくさんあるんですよね。かといって洒脱で、聴いていて風景と情念が一緒に想起され、適度に酔えるのもまた格別です。

 


聴いている音源
イサーク・アルベニス作曲
エスパーニャ。6つのアルバム・リーフ 作品165 T.95
秋のワルツ T.96
サラゴサ(《スペイン組曲第2集》より) T.90A
ババーナ(カプリーチョ) T.48
組曲「イベリア」(4巻からなる12の新しい印象)[第3巻] T.105
前奏曲(《アズレーホス》より) T.107A
プレガリア(祈り)(《12の性格的小品集》より 第4番) T.86D
上原由記音(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。