かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ティッシュハウザー ブレーメンの音楽隊 他

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はスイスの作曲家ティッシュハウザーの作品集をご紹介します。

ティッシュハウザーって、誰?多くのクラシック・ファンがそう思うかと思います。ティッシュハウザーは現代スイスの作曲家です。説明等はネットにはほとんどなく、以下のサイトにようやくごく簡単にありました。

http://cafconc.asablo.jp/blog/2011/08/07/6033487

この活動している団体もすごく興味がありますが、今回はあくまでもティッシュハウザーと作品についてですから、それは置いといて。

第1曲目の「乞食の協奏曲」はこれまた何も解説等がないんですが、「貧者の協奏曲」とも訳される作品です。なんで貧者なのか、どうしてもわからないんですが、ではソロ楽器はと言えば、クラリネットなんです。ですから基本的にはティッシュハウザーのクラリネット協奏曲です。

とはいえ、いきなりそのクラリネットのソロから始まるという、様式的には実に尖がった作品。しかし和声はほとんど後期ロマン派の粋を脱していないという・・・・・

そして、2曲目の「ブレーメンの音楽隊」。これは副題に「音の力」と題されている作品で、基本的にはグリム童話の「ブレーメンの音楽隊」を原作とし、その原作をできうる限り楽器で再現するというものなんです。各楽器に役割が与えられ、その役割から逸脱しないというものなんです。引用もたくさんされており、特に泥棒退治をする場面では、その泥棒にクラシックの名曲たちが与えられているのも印象的です。

http://cafconc.asablo.jp/blog/2011/08/02/6007455

 

http://cafconc.asablo.jp/blog/2011/07/31/5997043

上記サイトでは、一説にはそのクラシックの名曲は泥棒が盗んだ宝物という設定とのこと。何度聞いてもなぜそこで泥棒役であるピアノにクラシックの名曲が配置されているのかが疑問だったんです。時として美しい曲もあるので。なーるほどって思いました。ワーグナーは実は楽劇「ヴァルキューレ」の「ヴァルキューレの騎行」がつかわれているんですが、それだけ聴くとなるほど、泥棒らしいとも思えなくないですが、途端にショパンの美しい曲となると、アレ?ってなるわけなんです。それが盗品だとすれば、ああなるほどなあって思うわけです。そしてこの作品も極力20世紀音楽らしからなぬ後期ロマン派的和声に終始しています。

こういう作品を聴きますと、20世紀とはなんと和声的に豊かな時代なんだろうって思います。もちろん、作曲家が様々なものを表現するために不協和音を使うことは私自身ネガティヴではありませんが、それだけはないということなんです。ちょっとホッとしたりもします・・・・・

そんな作品たちを、ソリストたちはほんとに楽しそうに演奏しますし、またソリストであるクラリネットのフリートリも実に堅実で暖かい音色を生かした表現をします。子供向きの作品でもある「ブレーメンの音楽隊」はそんなことお構いなしに、大人が楽し気に、かつしっかりとした表現をしているのが素晴らしい!某SNSで子供向けのコンサートを否定する人たちは、このティッシュハウザーの作品も貶めるんでしょうか?大人が楽器でまじめに楽しむ姿を見て、子供は楽器を使いたいと思うもんじゃないんでしょうかねえ。その意味では、このティッシュハウザーの作品をライブラリに入れるなんざあ、さすが図書館だと思います。

 


聴いている音源
フランツ・ティシュハウザー作曲
乞食の協奏曲~クラリネットと弦楽のための~
ブレーメンの音楽隊~音の力~
トーマス・フリートリ(クラリネット、犬)
アルブレヒト・クンツ(ファゴット、ロバ)
ピエール・ロッソ(オーボエ、猫)
クリスティアン・シュトドラー(フルート、雄鶏)
アガーテ・ヤッジ(ピアノ、泥棒たち)
アルミン・ジョルダン指揮
ローザンヌ室内管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。