神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はダラピッコラの管弦楽作品を収録したアルバムをご紹介します。
先日のティペットに続き、また聞き慣れない作曲家が出てきました。聞き慣れないから借りてきたんですがw
ダラピッコラは20世紀イタリアの作曲家で、この人も時代に翻弄された人でした。
ルイージ・ダッラピッコラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%83%E3%83%A9%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%B3%E3%83%A9
12音音楽、セリー音楽という、20世紀音楽を彩った様式の作曲家だと記述がありますが、本当にそうだったんだろうかって思います。いや、音楽は20世紀音楽です。けれども、私が聴くに、現代音楽のいいとこどりをした作曲家だったんじゃないかなという気がしてならないんです。
12音にしては和声的ですし、セリー音楽にしてはオスティナートも存分にあるんです。なので、このウィキの記述はどうなんだろうなあって思います。いや、後半生の作品はもっと不協和音バリバリなのかもしれませんが・・・・・
少なくとも、20世紀音楽が目指した、調性の廃止には異を唱えた作曲家だったんじゃないかと私は判断しています。
ただ、何度も聴いていますと、あれ?これって現代の映画音楽で結構聴いたことある和声だなとか気づきます。後半生ではアメリカへ旅行にも行っており、アメリカ映画音楽にも影響を与えたことは想像できます。
このウィキの説明を読んだ上で聴きますと、第1曲目であるヴァイオリンと管弦楽のためのディヴェルティメント「タルティーニアーナ」は驚きます。しっかり和声しているんですから。タルティーニの音楽を引用しているわけですから当然なんですよね。そんなところにも、ダラピッコラの音楽性を見ることができます。
一方で、バレエ音楽「マルシア」による交響的断章や「管弦楽のための変奏曲」はまさに12音音楽という感じの作品。それでいて調性的でもあります。少なくとも、シェーンベルクよりはずっと聞きやすくかつ人間の内面をえぐってもいるように思います。その点ではむしろもっと聴かれるべき作曲家だと思います。
この個性豊かな作品たちを振っているのがノセダ。いやあ、この指揮者もいろいろ言われる人ですが、しっかとした視点を持っているが好印象ですね〜。オケはBBCフィル。え?昨日BBC響ってありましたけど?という、ア・ナ・タ。BBCはかつて複数のオケを持っていたんです。BBC響を設立したときにそういった地方のオケは廃止になったんですが、マンチェスターにおいて復活したオケがこのBBCフィルです。
BBCフィルハーモニック
https://ja.wikipedia.org/wiki/BBC%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF
日本で言えば、NHK大阪交響楽団とかになると思います。むろんそんなオケは日本にはないですwしいていえば大フィルと同じような存在ですかね〜。ただ、このBBCフィルもそもそもは放送局オケですから、日本には相当するオケがない、ということなんです。では、日本でもそんなオケが必要かといえば、そうは思いません。日本にはすでに佃煮にできるほどオーケストラがあるので・・・・・N響以外に役割を果たせるオケがあればそれでいいわけです(広くメディアというくくりであれば、日本では読売日本交響楽団というのがあります)。
とにかく、BBCフィルの雄弁で芳醇なサウンドは、ともすれば時代的には無機質な音楽になりがちな作品たちを、堂々と語っているのが素晴らしい!故に生命が宿っていて、作曲者の心の叫びすら聴こえてきます・・・・・
聴いている音源
ルイジ・ダラピッコラ作曲
ヴァイオリンと管弦楽のためのディヴェルティメント「タルティーニアーナ」
管弦楽のための二つの小品
ピッコラ・ムジカ・ノットゥルナ
バレエ音楽「マルシア」による交響的断章
管弦楽のための変奏曲
ジェームズ・エーネス(ヴァイオリン)
ジャナンドレア・ノセダ指揮
BBCフィルハーモニック
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