東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はメキシコ音楽のアルバムをご紹介します。
ムジカーナ・メキシカーナと題されたそのアルバムは、メキシコの作曲家たちの作品が収録されています。
皆さん、メキシコ音楽って聞いた時、何を想像しますか?多分、あまりピンとこないのではないかって思います。そもそも、メキシコという国をどのように捉えているのかという事とも関係してきます。
メキシコはサッカーも強い国で、実は中米諸国の一角。「アメリカの裏庭」とも言われるほど、アメリカとの関係も強い国です。とても民族色の強い音楽が多いのですが、基本的に政府としてはヨーロッパ的であると言えるでしょう。
メキシコ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%B3
そんな中で、伝統ある国でありながらも、その複雑な歴史からクラシック音楽が流入するのは比較的早かったと言えるでしょう。ですから、メキシコのクラシック音楽は少なくとも、ここに収録されている作品たちはとても新古典主義音楽的作品が多いのです。
まずは、ポンセのヴァイオリン協奏曲。ポンセはギター作品でつとに有名ですが、ヴァイオリン協奏曲も絶品です。そのロマンティックさと民族的様子が絡み合った音楽は、どこか抜けるような青空の様です。
マヌエル・ポンセ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%82%BB
次の作品が、チャペスの交響曲第2番「シンフォニア・インディア」。各楽章が連続して演奏されるという作品ですが、メキシコ民族音楽がそこかしこにちりばめられつつ、生命力あふれる作品となっています。
カルロス・チャベス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%99%E3%82%B9
チャペスは実は、ポンセの門人でもあるんですね。ですから、おのずと音楽は新古典主義音楽的になるのは自明の理だったと言えるでしょう。
最後がレブエルダスの「マヤ族の夜」。実はこれが入っていたから、借りてきたのでした。某mixiコミュにて紹介されたこの作品は、まさに民族的な作品で、メキシコ新古典主義音楽の代表的作品だと言えるでしょう。
■シルヴェストレ・レブエルタス (Silvestre Revueltas 1899〜1940)
組曲『マヤ族の夜』(1939年)
http://www7.plala.or.jp/compo/dependent/kigimunaa/t_classical/revueltas_mayas.html
元々映画音楽なので、どこかロマンティックさが際立つ作品でもあります。その意味では「センセマヤ」のほうがより民族的だと言えるでしょう。ここには収録されていませんが、是非とも聴いてほしい作品です。
演奏は、なんとヴァイオリンがシェリングなんですよね〜。ですからその艶のあることと言ったら!バティスのタクトも生き生きとしており、おのずと生命力が備わる作品を一層際立たせています。ポンセのヴァイオリン協奏曲はオケがロイヤル・フィル。メキシコの野性的な和声を存分に聴かせてくれますし、他2曲の担当オケであるメキシコ・シティ・フィルも、なんと美しいアンサンブルなのでしょう!もちろんんなことはプロオケでは当たり前だと言えますが、メキシコという国を私たちはどこか低く見ていませんか?でも、そんなことをするべきではないことを、演奏で語っているのが素晴らしい!
特に、最後の「マヤ族の夜」では、第4楽章の「魔法の夜」が魅力的!とてもエスニックなのに、どこか気品があるんです。それでいて野性的な部分はいささかも失われていない。これぞプロです。こういった演奏を聴きますと、ウィーン・フィルやベルリン・フィルを「頂点」としてヒエラルヒーで考えるのはいささかどうなのかって思います。それはクレンペラーやカラヤンを「祭り上げる」ことに貢献してはいないかと、思うのです。
聴いている音源
ムジカーナ・メキシカーナ
マヌエル・ポンセ作曲
ヴァイオリン協奏曲(1943)
カルロス・チャペス作曲
交響曲第2番「シンフォニア・インディア」(1935-6)
シルヴェストレ・レブエルダス作曲
「マヤ族の夜」
ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン)
エンリケ・バティス指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(ポンセ)
メキシコ・シティ・フィルハーモニー管弦楽団(チャペス、レブエルダス)
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