かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ジークフリート・ワーグナー 管弦楽作品集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでジークフリートワーグナー管弦楽作品集を取り上げていますが、今回はその第4集です。

この第4集では、序曲ではなく、ジークフリートが作曲した交響詩が主に取り上げれられています。これは父リヒャルトはあまり手がけなかったジャンルです。

まずは交響詩「憧れ」。1895年以前の作曲とされており、ジークフリートの初期の作品と言えるでしょう。その最初期の作品は実に父親していませんw実に後期ロマン派的な、自然な作品となっています。

それよりも、後期の作品になる「幸福」(1923年)のほうがより父親の和声に近いと言えるでしょう。それでも初期に比べればだいぶ薄れており、確かにこれでは演奏頻度は少ないでしょうね、「リヒャルト・ワーグナーの息子の作品」であれば。

これが、父とは違った路線で行っていればもっと演奏頻度は高かったんでしょうけれど、まあ、そうもできないでしょう。ジークフリートの功績は指揮者として父の作品を後世へと残したことだと言えるでしょう。作品は・・・・・まあ、私は切って捨てないですが、流石に独創性があるとはいいませんね。ただ、必死に父とは距離を取ろうという姿勢は和声などに如実に現れていると思います。

スケルツォ(1922年)もこれまた距離を取ろうとしている和声ですし、その「距離を取ろう」としたことで随分マイナスに見られているような気がします。本当に父の亜流であればもっと演奏頻度高いはずですから。

言い換えれば、ジークフリートモーツァルトになれれば演奏頻度は上がったと思うのですが、なれなかったんです。モーツァルトも父レオポルトも作曲家ですが、父とは違った、新しい様式へと漕ぎ出したことで演奏頻度は格段に息子ヴォルフガングが上です。ジークフリートも父リヒャルトとは違った様式へと漕ぎ出していれば、また違ったろうになと思います。

その点で、前回私が指摘したのが、音楽学校(あるいは音楽大学)を出ていないって点だと思います。音大に行っていれば様々な学生と交流し、新しい様式にも触れ、そこで自分のスタイルとは何かを考える切っ掛けができたはずなんです。それが、音楽を学校で学んで居ないために、父リヒャルトとその弟子フンパーディングしか知らないわけです。後は父やフンパーディングの関係で漏れ聞こえる他の作曲家の音楽。実に狭い世界なんですね。これだけ優れた作品を書く作曲家であれば、もっと広い世界を見せてあげられればよかったのにって思います。この3つも聴けば聴くほど、その世界の狭さが残念です。

演奏は、指揮するはアルベルトで一緒なんですが、オケはハンブルク国立フィル。現在は州立歌劇場のコンサート・オケであるハンブルク・フィルハーモニカーと称しています。

ハンブルク・フィルハーモニカー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%BC

ハンブルクといえば、テレマンも居た都市で、非常に国際色豊かな場所です。そんなハンブルクのオケのサウンドの芳醇なこと!その芳醇なサウンドジークフリートの作品を聴きますと、あまりネガティヴには聴こえないから不思議です。しっかり生命が宿っていますし、やはり優れた作曲家だったんだなと思います。

ジークフリートの作品が、父とは切り離されて評価される時代が来ればいいなあと、この演奏を聴いても切に思います。




聴いている音源
ジークフリートワーグナー作曲
交響詩「憧れ」 (フリードリヒ・シラーの詩による)
スケルツォ《かくてこの世に悪魔があふれれば》
交響詩《幸福》
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト指揮
ハンブルク国立フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村