東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回と次回の2回に渡りまして、セルとクリーヴランド管弦楽団が来日したときの録音のアルバムをご紹介します。まずは1枚め。
このアルバムは、1970年5月22日に東京文化会館で演奏したものを、2枚に分けているもので、当日のプログラム通りにほぼ並んでいます。まずこの1枚めでは前半の1プロと2プロが収録されており、1プロがウェーバーの歌劇「オベロン」序曲、そして2プロがモーツァルトの交響曲第40番です。
いきなり交響曲ですか〜って感じですね。まあ、いかにも日本の聴衆をターゲットにしたプログラムだなあって思います。ちょうど1970年といえば昭和45年。まだまだクラシック音楽はメジャーではない時代で、日本のオケもよちよち歩き。聴衆が名演に飢えていた時代です。まだまだ巨匠も多数存命でしたしね。その1人が、セルなわけです。
セルといえば、クリーヴランドを立て直し、世界有数のオケへと育て上げた名指揮者です。一部のファンの間では神格化もされるんですが、私はどうもそれには同調できないんですよねえ。いや、この演奏は素晴らしいですよ。でも、同調はできないんです。なんていうか、例えば、モーツァルトの40番はアンサンブルは洒脱で、音も芳醇です。ですが、第1楽章、ゆったり入るんですよね。この曲、第1楽章はアレグロのはずなんですが・・・・・
それこそ、この40番こそ、クルレンツィス/ムジカ・エテルナ向けの作品だと私は思っていますが、未だ未収録のようですね。モーツァルトの激しさが内包された作品です。セルは第1楽章をモーツァルトのアイロニーとして捉えているようです。それはそれでいいかもしれませんが、もっとこの曲はストレートだと私は思っています。ですから、サヴァリッシュ指揮チェコ・フィルを聴いている私としては、とても残念な演奏だなあって思います。第4楽章が激しいだけに。
一方「オベロン」はさすがこのコンビです。芳醇なサウンドと強すぎずしっかりアクセントとしてつけられているアインザッツ。至福の時間を過ごすことができます。
まあ、人によっては、ロケーションが東京文化会館だからという人もいるかもですが。確かに残響時間としては短めなんですが、音の混じり具合という意味でのサウンドは決して悪くないホールです。セル/クリーヴランドというコンビなら、当時の日本のホールなら最適だと思います。今なら、ミューザかサントリーかってところでしょうが。
ホールへのアジャスト能力も優れたオケだと判断する材料の一つだと思いますが、クリーヴランドはまさに優れたオケだと言えるでしょう。たまにはこういった音源を聴くのも、いいことなんですよ。
聴いている音源
カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲
歌劇「オベロン」序曲
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
交響曲第40番ト短調K.550
ジョージ・セル指揮
クリ―ヴランド管弦楽団
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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