かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:オネゲル ダビデ王

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はオネゲルの「ダビデ王」を取り上げます。

オネゲルと言えば、フランス六人組の一人で、新古典主義音楽を主導した人でもあります。

アルテュールオネゲル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%82%B2%E3%83%AB

特に、このブログでも取り上げたことのあるパシフィック231はつとに有名ですが、オネゲルの名前を一躍有名にし、「フランス六人組の」という枕詞が取れたのが、この「ダビデ王」なのです。

ダヴィデ王 (オネゲル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%87%E7%8E%8B_(%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%82%B2%E3%83%AB)

例えば、AKBのメンバーが卒業したあと、自分の立ち位置を確立するまでは結構大変だったりします。オネゲルフランス六人組の中でもワーグナー賛美で異端の存在でしたが、この「ダビデ王」を聴きますと、自らの立ち位置を確立するため、ワーグナーを賛美しつつ距離を取り、それを判らない他の5人とも距離を取った人だったのではないかと思います。

そもそもは、音楽劇用に作曲したものを、オラトリオとして改作していますが、このアルバムはその改作したほうになります。いずれにしても、オネゲルの名声を確立した作品です。

ワーグナー賛美していたとはいえ、この「ダビデ王」ではことさらに感情に訴えるような和声は少なく、むしろ他の5人がやったように、あくまでも古きの中から新しいものを作りあげるという姿勢は変わりません。ですから、一風変わった和声が鳴り響きますが、むしろその和声が場面場面にぴったりだったりもします。

演奏時間は70数分で、この演奏は2枚組なのですが無理すれば1枚に収まるかもというくらいです。テクストが旧約聖書なので日本人としてはとっつきにくいと思うんですが、旧約聖書はよく読みますと日本神話にも通じる部分が沢山あるので、共感できる部分はたくさんあるのではないかと思います。

そんな旧約聖書からダビデ王の部分を取り出し、王が即位するところから死ぬところまでを抜き出して一つのドラマにしたのがこの作品なのですが、聖書の格言めいた部分もあり、単にダビデを賛美する物ではありません。そこに、オネゲルの姿勢も見え隠れするように思うのです。

そもそもは、舞台用の音楽だったものを、オラトリオへと改作したのも、この作品でオネゲルが「言いたいこと」があったからこそだろうと思います。フランス六人組だと言われ、反ドイツロマン派を言われても、オネゲルは是々非々だよと言いたいのだろうと思います。勿論、ドイツロマン派に問題がないわけではないけど・・・・・と言うわけです。その証拠が、この「ダビデ王」だと言えるでしょう。

演奏する指揮者ボドは、チェコ・フィルというオケを存分に鳴らし、自国の作曲家の作品をチェコのオケでも存分に演奏させています。あれ、チェコ・フィルはフランスのオケだったっけ?と思わんばかりです。合唱団も素晴らしく、宗教音楽でも素晴らしい演奏を聴かせるプラハフィルハーモニー合唱団が特にいい!児童合唱のキューン児童合唱団も秀逸です。むしろオネゲルだと、こういったフランス以外のオケや合唱団のほうが、オネゲルらしさが出ていいのかもしれません。

そもそもはフランス六人組でも「半端もの」扱いだったわけですし。けれどもその演奏からはむしろプンプンとフランスのエスプリが漂うのは、さすがボドだと思います。




聴いている音源
アルテュールオネゲル作曲
交響的詩篇ダビデ王」
交響的運動 第3番
テンペスト》のための前奏曲
クリスチアーヌ・エダ=ピエール(ソプラノ)
マルタ・セン(アルト)
チベール・ラファリ(テノール
ダニエル・メジュシュ(語り手)
アニー・ガヤール(語り手)
プラハフィルハーモニー合唱団(合唱指揮:ルボミール・マートル)
キューン児童合唱団(合唱指揮:イジ―・フヴァ―ラ)
セルジュ・ボド指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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