かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:テルデックレーベルの古楽演奏によるバッハのカンタータ全集6

東京の図書館から、78回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、テルデック・レーベルから出版された、古楽演奏によるバッハのカンタータ全集、今回は第6集を取り上げます。実際の全集では第3集の2という位置づけですが、便宜上CDの枚数で積算しています。なお、この全集はBWV番号順なので、成立順にはなっていません。収録されているのは、第11番1つです。今回の指揮者はニコラウス・アーノンクールです。

カンタータ第11番「神をそのもろもろの国にて頌めよ」BWV11
カンタータ第11番は、初演時が「バッハ事典」では1735年5月19日、下記ウィキペディアでは1738年5月19日が初演とされている、昇天節用のオラトリオです。この演奏が録音された1972年当時はどちらかと言うと旧全集に従った演奏が多かったため、アーノンクールカンタータとして収録しています。

さらに言えば、ウィキペディアには記述間違いがあると思われます。ページ下記に録音が列記されていますが、アーノンクールなのでレオンハルト合奏団はほぼあり得ず、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスであるはずなので、私はそのように記述します。ソリストなどを考えても、レオンハルト合奏団という可能性は低いからです。勿論、どうしても都合があってレオンハルト合奏団という可能性もあるとは思いますが・・・

en.wikipedia.org

さて、この演奏でも、ソプラノはウィーン少年合唱団ボーイソプラノですし、アルトはカウンターテナーのポール・エスウッドです。ボーイソプラノはちょっと荷が重かったかなという歌唱になっていますが、これもアーノンクールが与えた貴重な経験だったのでしょう。こういう経験を積んで、素晴らしいソリストになっていくはずなので。ポール・エスウッドが歌うアリアは、のちにミサ曲ロ短調のアニュス・デイに転用された曲。同じくアルトのアリアなので、この第11番を歌った経験があると歌いやすいだろうなあと思います。ただ、歌詞が違いますのでそこだけ気を付けないとですが、それはプロであればほとんど問題がないでしょう。

合唱も、ウィーン少年合唱団の存在感が大きく、どこか清廉な雰囲気があります。わが国だとこういうバッハを歌うとかのイメージがウィーン少年合唱団にあまりないわけですが、こう聴いてみますと堂々と歌っています。その意味でも、アーノンクールが合唱に加えたというのは高評価です。わが国でももっと少年少女合唱団をプロの演奏で使ってもいいと思います。私自身西六郷少年少女合唱団との共演経験がベートーヴェンの第九でありますが、全くそん色なかったです。むしろ私たちアマチュアよりも上手ですし・・・

この全集において、ウィーン少年合唱団が歌っているのを聴くたびに、我が国の現状を嘆かざるを得ないのは悲しいです・・・せっかく素晴らしいソリストも出始めているのに、もっと盛り上げる企画があったらと思います。子供向けの企画だけでなく、むしろ同じ年代の子がプロと歌って喝采を受けている場面を見ることが、子どもたちにクラシック音楽を経験したい!歌いたい!と思わせるきっかけになるのではと思うのですが。

 


聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第11番「神をそのもろもろの国にて頌めよ」BWV11
ウィーン少年合唱団員(ソプラノ)
ポール・エスウッド(アルト)
クルト・エクヴィールツ(テノール
マックス・ヴァン・エグモント(バス)
ウィーン少年合唱団/ウィーン合唱隊(合唱指揮:ハンス・ギレスベルガー)
ニコラウス・アーノンクール指揮
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

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