かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:テルデックレーベルの古楽演奏によるバッハのカンタータ全集9

東京の図書館から、78回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、テルデックレーベルから出版された、古楽演奏によるバッハのカンタータ全集、今回は第9集を取り上げます。なお、本来は第5集の1ですが、私の方で連番にしています。

この全集はBWV番号順で、指揮者は二人体制。今回の指揮者はニコラウス・アーノンクールです。

カンタータ第17番「感謝の供えものを献ぐる者は、われを讃う」BWV17
カンタータ第17番は、1726年9月22日に初演された、三位一体節後第14日曜日用のカンタータです。

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今回はアーノンクールが指揮で、合唱団はウィーン少年合唱団にウィーン合唱隊ですから、一応これも大人の合唱団と少年合唱団という組み合わせになっています。ソリストであるソプラノの名前は判らずという形で、あくまでも合唱団の中から出ているという形を採っています。これはバッハ・コレギウム・ジャパンに近い形を採っていると言えます(バッハ・コレギウム・ジャパンにもソリストが記載されますが、実はそのソリストは合唱団の中に入って一緒に歌っています)。この辺りはレオンハルトが名前を出すようにしているのと異なります。名前が出るほうが役割がしっかりと与えられているとも言えますが、どっちがいいとは一概に言えません。

ソリストは毎度のポール・エスウッドがアルト、クルト・エクヴィールツがテノールで、バスがマックス・ヴァン・エグモント。そうそうたるソリストの中で、多少あどけなさが残る発声が際立ちます。かなり緊張しているようにも聴こえますが・・・それでも、私としては及第点です。大したものです。

カンタータ第18番「天より雨くだり雪おちて」BWV18
カンタータ第18番は、1713年2月19日に初演された、復活節後第8日曜日用のカンタータです。

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シンフォニアで始まり、続くのがレチタティーヴォ。どこか受難曲を思わせるような感じ・・・そこに、ソリストとしてウィーン少年合唱団ボーイソプラノが入るわけです。特に、第3曲はレチタティーヴォの中にコラールがあって、その先導をソプラノが務めるだけに、かなりの大役です。しかも、アリアはそのソプラノだけ・・・

でも、多少の緊張とあどけなさを含みながらも、歌い切っています。評論としてはダメ出しをしたい誘惑にかられる歌唱ですが、私自身はアマチュア合唱団員として活動していたので、尊敬の念しかありません。多少息継ぎがはっきり出てしまうところもあるのですが、しょうがないかなという印象です。フレージング長いですし。音を外しているわけでもないですし、少年合唱団のボーイソプラノではもう及第点だと思います。アマチュアでここまで歌えるかとなったら、かなり微妙ですし。

むしろ、この経験が、将来物凄く役に立つのでは?と思います。録音は1971年ですから、当時の少年はもう60前後かと・・・どんなキャリアになったのでしょうか?気になります。共演したソリストのうち、クルト・エクヴィールツはすでに鬼籍に入っています。

前回、レオンハルトの方がいいとは言いましたが、本当にこれは微妙な差でして、この第9集におけるアーノンクールの解釈と演奏は好きです。その意味では、むしろヨーロッパの古楽演奏の歴史と深さを見せつけられた演奏だとも言えます。この演奏を、バッハ・コレギウム・ジャパンは追いかけていたんだなあと思うと、現在のバッハ・コレギウム・ジャパンのレベルは本当に素晴らしい仕事だと思います。

 


聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第17番「感謝の供えものを献ぐる者は、われを讃う」BWV17
カンタータ第18番「天より雨くだり雪おちて」BWV18
ウィーン少年合唱団員(ソプラノ)
ポール・エスウッド(アルト)
クルト・エクヴィールツ(テノール
マックス・ヴァン・エグモント(バス)
ウィーン少年合唱団/ウィーン合唱隊(合唱指揮:ハンス・ギレスベルガー)
ニコラウス・アーノンクール指揮、通奏低音チェロ
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。