かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:テルデックレーベルの古楽演奏によるバッハのカンタータ全集37

東京の図書館から、78回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、テルデックレーベルから出版された、古楽演奏によるバッハのカンタータ全集、今回は第37集を取り上げます。CDでは第20集の1となっていますが、ここでは図書館の通番に従っています。収録曲は第76番と第77番の2つです。

この全集は指揮者2名体制で、ニコラウス・アーノンクールグスタフ・レオンハルトの2人です。この第37集ではその両名とも指揮を担当しています。そのためオーケストラもウィーン・コンツェントゥス・ムジクスレオンハルト合奏団のふたつが参加しています。なお合唱団はテルツ少年合唱団とハノーヴァー少年合唱団、コレギウム・ヴォカーレとなっていますが、それぞれが全てに参加しているのかそれとも別々なのかは記載の範囲内ではわかりません。ソプラノを担当するボーイソプラノが2名いてテルツ少年合唱団とハノーヴァー少年合唱隊の2つからそれぞれ参加しているため、個人的にはテルツ少年合唱団はアーノンクールの指揮において、ハノーヴァー少年合唱団とコレギウム・ヴォカーレレオンハルトの指揮で参加していると考えています。

カンタータ第76番「もろもろの天は神の栄光を語り」BWV76
カンタータ第76番は、1723年6月6日に初演された、三位一体節後第2日曜日用のカンタータです。第36集で取り上げた第75番の翌週ということになります。そのため、この第76番はバッハがトーマスカントルに就任してライプツィヒで作曲した初めてのカンタータとなっています。そのためか、第75番に引き続き2部構成、14曲からなる作品となっています。ちなみに、第1部はほぼ鏡像カンタータと言っていい構造です。

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第3曲はソプラノアリアですが、この第76番は指揮がニコラウス・アーノンクールのため、オーケストラはウィーン・コンツェントゥス・ムジクスです。合唱団は3つ全部かはわからないと書きましたが、このアリアを担当するのはテルツ少年合唱団のボーイソプラノ、ヴィルヘルム・ヴィードルです。第35集でも述べましたが、私はヴィードル君がテルツ少年合唱団のボーイソプラノでは好きです。ここでもプロのレチタティーヴォを受けてそん色ない、伸びやかな歌唱を見せています。その彼はテルツ少年合唱団なので、恐らく合唱団はテルツ少年合唱団のみだと考えています。男声も聴こえてきますがテルツ少年合唱団だと男声も結構聴こえてきますので、私は単独ではないかなあと思っています。特にそう感じるのは、アーノンクールは第1部と第2部それぞれの終結コラールを幾分速めのテンポで演奏させているからです。このコラールはどの演奏で比較的ゆっくり演奏されますが、アーノンクールは少年合唱団ということを考慮して、速めのテンポにした可能性も否定できないと思うからです。とはいえ、アーノンクールが全てのコラールを速いテンポで演奏させているわけでもないので確証はないんですが、この第76番だけということは、次の第77番との対比なのではないかなあと思っていたりします。

カンタータ第77番「汝の主なる神を愛すべし」BWV77
カンタータ第77番は、1723年8月22日に初演された、三位一体節後第13日曜日用のカンタータです。

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この第77番の演奏は、グスタフ・レオンハルト指揮レオンハルト合奏団です。合唱団はこれも3つ全部かは正直疑問で、第3曲のソプラノアリアをハノーヴァー少年合唱団のボーイソプラノ、デートレフ・ブラチュケなので、恐らくハノーヴァー少年合唱団とコレギウム・ヴォカーレだと思っています。特に第1曲の合唱で、pで始まるにも関わらず男声がはっきり聞こえることから、ハノーヴァー少年合唱団単独とは考えにくいですし、最低でもコレギウム・ヴォカーレは入っていると言えるでしょう。そうなると男声をコレギウム・ヴォカーレが担当するということを鑑みますとバランス的に少年合唱団は一つと言うことになりますので、ソプラノのソリストの存在からハノーヴァー少年合唱団と推理するのです。つまり、テルツ少年合唱団は参加していないということです。

勿論、少年合唱団を二つ使っているという考え方もできます。特にこの第77番では冒頭合唱のテンポはゆったりです(それでも古楽演奏らしくリズムははっきりしていますが)。息継ぎをしやすくするために少年合唱団を二つ使っているという考え方もできますが、とはいえ合唱団のバランスを考えますとテルツ少年合唱団は参加していないのではと考えています。テルツ少年合唱団はアーノンクールの演奏で参加しているのでクレジットに名を連ねていると私は考えます。

さて、そのブラチュケですが、彼もまたいい声なんですよ~。少年らしさ全開ですが、それでも違和感ないです。清潔感に満ちており、このソプラノは必ずしも女性の祈りというわけではないと言えます。勿論女性でも構わないと思いますし女性でも十分だと思いますが、中性な内容であればボーイソプラノでも構わないと思います。この辺りはバッハも当時使い分けた可能性はあるでしょう。実際ライプツィヒ以外からソプラノを招聘したという例もありますし。こういうことを理解できるのが、全集を複数聴く意味だと思いますし、それを税金で収集し広く公開し無料で利用できる図書館という施設は、音楽を楽しむにしても十分機能すると思いますし、ゆえに歴史上法が整備され施設が設置され充実化されてきたのだと思います。使わない手はないです。

 


聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第76番「もろもろの天は神の栄光を語り」BWV76
カンタータ第77番「汝の主なる神を愛すべし」BWV77
ヴィルヘルム・ヴィードル(ソプラノ、テルツ少年合唱団員、BWV76)
デートレフ・ブラチュケ(ソプラノ、ハノーヴァー少年合唱団員、BWV77)
ポール・エスウッド(アルト)
クルト・エクヴィールツ(テノール、BWV76)
アーダルベルト・クラウス(テノール、BWV77)
リュート・ヴァン・デル・メール(バス、BWV76)
マックス・ヴァン・エグモント(バス、BWV77)
テルツ少年合唱団(合唱指揮:ゲールハルト・シュミットガーデン)
ハノーヴァー少年合唱団(合唱指揮:ハインツ・ヘニッヒ)
コレギウム・ヴォカーレ(合唱指揮:フィリップ・ヘレヴェッヘ
ニコラウス・アーノンクール指揮、通奏低音チェロ
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(BWV76)
グスタフ・レオンハルト指揮、通奏低音オルガン
レオンハルト合奏団(BWV77)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。