かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:指揮者 柳澤寿男 日本国外務大臣表彰受賞記念コンサートを聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年12月25日に聴きに行きました、指揮者 柳沢寿男 日本国外務大臣表彰受賞記念コンサートのレビューです。

このコンサートを知ったのは、「ぶらぼう」が毎年特集するベートーヴェンの第九コンサートの特設サイトです。その時目に留まったのがこのコンサートでした。当然ですが、当日のプログラムはベートーヴェンの第九です。しかし、そもそも受賞記念コンサートでなぜベートーヴェンの第九なのかって思いますよね?私自身は年末の第九鑑賞の一つとして選択したのですが、実は秘かに気になっていたのが「外務大臣表彰」という文言でした。

外務大臣表彰とはなんぞや?外務省のホームページから転載してみましょう。

外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し、我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている中で、特に顕著な功績のあった個人および団体について、その功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的としています。」

www.mofa.go.jp

指揮者の柳沢寿男さんは、2007年から旧ユーゴスラビアコソボにおいて音楽活動をされており、現在はバルカン室内管弦楽団音楽監督を務められています。表彰理由としてはコソボフィルハーモニー交響楽団の首席指揮者となっています。それは国連の活動に柳澤さんが音楽家として携わったことであると言えるでしょう。

ja.wikipedia.org

filharmoniaekosoves.com

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100706421.pdf

www.marscompany-balkan.com

柳澤さんも「諏訪の血」が入った人だったか!と驚きを隠せません。何か大きな力によって、私は引き寄せられたのかもしれません。私自身も、大田区民第九合唱団で対人地雷除去のための第九のコンサートに携わりましたし。

さて、柳澤さんが国連の要請でコソボ・フィルの首席指揮者に就任したわけで、そうなると音楽で縁が出来るのは実はベートーヴェンの第九なのです。なぜなら、EUの理念を表わすものとしてベートーヴェンの第九はEUの曲とされているからです。

ja.wikipedia.org

いわゆる「コソボ紛争」とはバルカン半島における民族紛争です。ユーゴスラビアという「完全体」が崩壊して民族自決の意識が強く出たため紛争にまで発展しました。その争った民族同士が、それぞれは自決しながらも一つとしてまとまっていくという、まさにEUの理念に沿った形での融和を図るため、柳澤さんがコソボでタクトを振った曲の一つがベートーヴェンの第九だったのです。

そしてその活動を支援したのが、日本の音楽家たち。主にアマチュアが支えました。2013年に新宿で第九のフラシュモブを敢行。その縁でつながった人たちがプロアマ連合で作ったのがWorld Peace Concert Orchestra。今回はそのWorld Peace Orchestraガオーケスラを担当しました。なお、そのフラッシュモブYouTubeにアップされています。指揮も柳澤寿男さん。そういえばこの動画は見たことがありました!ちょうど実家のあるたまプラーザで神奈川フィルが第九のフラッシュモブをやった動画を見て感動し、他にないかと探していた時に見つけたものでした。

www.youtube.com

当日プログラムを見てびっくり。参加しているオーケストラの中に、プロ―スト交響楽団さんの名前があるではないですか!まだコンサートに足を運べていませんが、この団体も私が注目しているアマチュアオーケストラの一つです。

prostsymphony.jp

そのほかにはJ Orchestraさんとアマデウス・ソサイエティ―管弦楽団さんが参加。そのJ Ochestraさんは柳澤寿男さんが音楽監督を務めています。

j-orchestra.com

アマデウス・ソサイエティ―管弦楽団さんは慶應義塾大学ワグネル・ソサイエティ―・オーケストラの卒業生で創立されたアマチュアオーケストラです。なんとコンサートの音源がmoraで配信されていると言う実力派。

amadeus-society.org

当日びっくりしたのが、アマチュアにある弦のやせた音が全くないことです。それだけの実力ある団体が集まっていれば、やせた音などはまあないよねと思います。知らず知らずのうちにすごいコンサートのチケットを取っていたということになります。ホールは多目的ホールである板橋区立文化会館大ホール。にも拘わらず、開演25分前程度について会場直後だったにも関わらず長蛇の列・・・コンサートを聴いてその理由に納得しました。

このホールのコンサートは前年に板橋区民第九を聴いています。その時のオーケストラはプロである東京フィルハーモニー交響楽団さんでしたが、それに勝るとも劣らない演奏なんです。とくにホルンやトランペットの安定感は抜群。そのうえで柳澤氏のエネルギー溢れるタクトも相まって前進力が半端ない!しかもタクトも打点が高く、これは演奏しやすいだろうなあと思います。トラウム・ズィンフォニカーさんが聴いたらさぞかしうらやましがるのではないでしょうか。

板橋区立文化会館は、多目的ホールであるがゆえに新しいホールに比べれば響きはデッドですが、それでもオーケストラは美しく力強い演奏です。アーティキュレーションの表現もしっかりしているため雄弁。第3楽章冒頭は相当遅めのテンポで入っているのでさすがにオーケストラも若干合わない部分もありましたがすぐ修正。正直やはりアマチュアだと思ったのはその第3楽章冒頭だけです。あとは完璧と言うべき演奏。

ティンパニも硬めにぶっ叩いてくれますし、ゆえに第1楽章主題展開部、そして第4楽章冒頭は感動的。そしてその第4楽章で、実は事件が起きます・・・

第4楽章、冒頭の3楽章を否定し歓喜の主題が入ってオーケストラユニゾンの手前でドスン1という音が。見ると合唱団のアルトでお一人座り込んでいます。合唱団は第3楽章で入ってきて実は立ちっぱなし・・・気合入っているなあと思っていましたが、体調を崩されたらしくどうやら意識が薄くなって楽譜を落としたようです。周りの合唱団員が支えて、最終的には袖へと運ばれていきました。その間演奏は途切れません。ですが合唱団員が抱えて救助する風景は、柳澤さんがコソボで見た国連の救援にもかぶさることではなかったかと思います。

それを踏まえて、ほめるべきは合唱団もです。安定した力強い発声!私はホール3階席中央付近に座っていましたが、十分声が届いているのです。久しぶりに泣きました・・・特に中間のユニゾン部分。常に私が指摘するvor Gott !の部分、vor1拍に対しGott!はなんと8拍・・・変態演奏でございます。しかしそれが何と違和感ないことか!二重フーガ部分でも安定した発声で言葉一つ一つが聴き取れます。魂のこもった、うまい演奏・・・そりゃあ、泣くはずだと思います。

それを、一人若しくは二人抜けているのに、しっかりとカバーして歌い切ったのです。最後のプレスティッシモも「しゃべる」歌で素晴らしい!思わず「ブラヴィ!」をかけました。まるでサッカーに於いて退場に依って数的不利になっているのに守り勝った試合の様じゃないですか!

なぜブラヴォウ!ではなく複数形のブラヴィ!なのか。それは、まずは合唱団のアルトのナイスリカバリーです。そのうえでレベルの高いオーケストラ。マエストロの熱いタクト。その総合が私の魂を揺らしたのです。ゆえに男性名詞のブラヴォウ!ではなく複数形のブラヴィ!でした。アルトの合唱団員で退場を余儀なくされた方の回復を祈ります。

本当に素晴らしい演奏で、今のところ今年聴きに行った第九のコンサートでは1、2位を争う演奏です。参加された3つのアマチュアオーケストラである、アマデウス・ソサイエティさん、J Orchestraさん、プロ―ストさんの演奏会にも足を運びたいと思います。他との絡みもあるのでどれだけ実現できるかはわかりませんが、この3つの団体の名前は是非とも記憶しておこうと思います。どこかで聴きに行けますように!

さて、今年最後に残ったのは毎年恒例のMAXフィルさん。MAXさんの演奏がどうなるかも楽しみです。

 


聴きに行ったコンサート
指揮者 柳澤寿男 日本国外務大臣表彰受賞記念コンサート
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125
きよしこの夜(アンコール)
天羽明恵(ソプラノ)
鳥木弥生(メゾ・ソプラノ)
村上敏明(テノール
近藤圭(バリトン
吉村美華子(ピアノ、アンコール)
World peace Concert Choir
柳澤寿男指揮
World peace Concert Orchestra

令和6(2024)年12月25日、東京、板橋、板橋区立文化会館大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。