かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:チェルニー 48の前奏曲とフーガ1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回で、チェルニーが作曲した48の前奏曲とフーガをとりあげます。

チェルニーと言えば、ツェルニーとも表記される、ピアノを弾いていらっしゃる方なら知らない人はいないという作曲家です。

ja.wikipedia.org

圧倒的に「練習曲」で知られている人ですが、練習曲はそのほかの作曲家も書いているんです。バッハ、ショパン、リストなど、このブログでも取り上げた作曲家ばかりですし、該当練習曲も取り上げているかと思います。

ですが、私のようにピアノを「聴く」のではなく、ピアノを「弾く」人にとっては、圧倒的にチェルニーなんですね。なので私もチェルニーと言えば練習曲、と思っていたのですが、ウィキを見てみると結構手広く書いているのにびっくり。

そんな時に、棚で見つけたのがこの音源です。日本人ピアニストである神谷郁代女史が、48の前奏曲とフーガを「世界初録音」だというのです。思わず借りました。

この「前奏曲とフーガ」という構成は、バッハの時代を意識しているといえます。けれどもチェルニーが生き、活躍した時代は、古典派~前期ロマン派です。単純にバッハ様式で作曲されたのではありません。フーガにはそんな雰囲気もありますが、むしろそのバッハ的なものを、ピアノで演奏することを念頭に作り替えた、と言える作品ではないかと思います。

www.camerata.co.jp

上記はこの音源であるカメラータの宣伝文句ですが、なるほどと思います。ベートーヴェンの思想を継ぎ、前期ロマン派へと橋渡し、そして後期ロマン派の種をまく・・・・・こういう作曲家によって、バッハとベートーヴェンの精神が後世に受け継がれていったんだなと思います。第1曲目のプレリュードなんて、聴いたとたん本当に謳い文句通り、練習曲のつもりで聴いていると腰抜かします。

神谷女史のピアノにも、どこかしら共感している部分を感じます。歌うことをいとわないというか、この作品は歌って欲しいと言っている、と述べているかのように聴こえるんですよね。だからただ単にピアノをタッタか弾くのではなく、時にポルタメントし、時にレガートします。味わいながら弾いているのがわかるんです。この作品が単純な練習曲ではなく、チェルニーの遺言のように、普通に一つの作品として弾く・・・・

その決然とした姿勢に、引き込まれる自分がいます。このアルバムの一枚目で、いきなり頭をガツン!とやられたように思います。

 


聴いている音源
カール・チェルニー作曲
48の前奏曲とフーガ作品856
神谷郁代(ピアノ)

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